おそらく2005年か、そのくらいの頃の話だ。私はスコットランドはグラスゴーのスタジオ、Secret Musicにいた。(と、ドキュメンタリー風の書き出し・笑)
いつもの無印良品BGMの仕事だった。本当はエジンバラにスタジオを押さえたかったのだけど、エジンバラのCastle Soundがスケジュールがあわず、レコーディングはグラスゴーで行われることになった。
なんとそれはカパーカイリーのお膝元Secret Music。懐かしいなぁ。すごくいいステジオだった。
エンジニアとプロデュースはカルム・マルコム。彼に頼んでおけば、どんな録音でもスタジオはなーーーーーーんにも心配ない。日本人アーティストの録音だろうが、なんだろうがカルムはスタジオの神だった(というと大袈裟か)
っていうか、ほんとレコーディングはキャスティングボードだよね。一方で間違った人を使うと、これまた何をやってもうまくいかない。
スタジオにはいろんなミュージシャンがやってきた。メインはハープの二人で、クライアントさんの発注でBGM7は、BGM4で評判のよかったケルティック・ハープをメインにしてほしい、と言われていた。
というわけで、シーリスのメアリーとパッツィがスタジオに来てくれて、こちらもまったく問題なくレコーディングはスイスイ(笑)
苦労したのがフィドルの録音で、当時ロリーナ・マッケニットの英国でのマネジメントをしていたイアンにおべっかを使うべく(笑)、私はマウス・ミュージックのマーティン・スワンに頼んだ。これは今思えば明らかにミスではなった。まぁ、でも大きな問題があるわけでなく、多少録音に時間がかかったくらいでおさまった。問題を収めてもしまうのも、これまたプロの仕事ではある。
加えて、当時の私は人脈も今みたいに多くなかったから、笛ものを誰に頼もうか悩んで、確かカラムかメアリー、パッツィの紹介だったと思うけど、Fraser Fifieldがやってきた。そのFraserが連れてきたのが、今、思うとびっくりなのだが、マーティン・グリーンだったのだ。
マーティンはそういう立場だったので、あくまでバックアップミュージシャンとして、そこにいたこともあって、ほとんど日本人チームとは言葉は交わさなかったし、おとなしくしていたと思う。演奏もソツなく。なにせ店頭BGMですから!
というわけで、マーティンのスタジオでの印象はあまりない。が、実は後で聞いたら、のちにLAUのファーストを録ることになるカルム・マルコムとマーティンの出会いはこのスタジオだったらしいから、本当に人生って何が起こるかわからない。
カルムのスタジオワークは最高に素晴らしく、マーティン・スワンのあまり上手くもないフィドルもなんとか形にしてくれた(Don't take me wrong。マーティン・スワンの素晴らしさはそんなところにはないのだ。彼が作ったMouth Musicは、90年代、素晴らしい作品群を残してくれたし、単にこのスタジオにおける私のキャスティング・ミスだ)
それを観ていたマーティン(グリーン)は、カルムのスタジオディレクションの腕に関心していたのだろう。
そんなわけで、ラウー誕生のある意味一つの重要な要素ともなったこのレコーディング。私にとっては、マーティン・グリーンを強烈に印象付ける出来事があった。それは演奏ではない。
それはなんと彼の履いていたブーツ。これがめちゃくちゃマーティンに似合っていて、マーティンのキャラクターを引き立てていた。
だからエイダンがバンドを組んだ、メンバーはこの人たちですよ、と名前を見せられた時、マーティンの名前を見て「あの時スタジオに来ていたブーツ!」と一発でマーティンのことを思い出したのであった。
というわけで、こちらはBGM。聞こえているアコの音はすべてマーティンですが、ソツなく営業しています(笑)。まぁ、ここでラウーみたいに弾かれても困るもんね…
こちらはマーティンがイライザ・カーシーとやってたころの音源。エディ・リーダーが参加している。2001年くらいの音源。
fbの中に、こんな写真も発見。昔の写真だから、クオリティが低い。しかもボケボケ。そうそう、暖炉がある素敵なスタジオだった。
ラウー、早くこないかなぁ。あと2週間か。
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