PRESSED FOR TIME

時間がなーーーい!!! というわけで、「PRESSED FOR TIME」祭りです(笑)

この曲、オリジナルはGordon Duncanというパイパーさんなのですが…

 

こちらは彼が亡くなったあと、おそらくモスクワのパイプバンドによるトリビュート演奏。なかなかかっこいい!

でも、まぁ、この曲は明らかにFLOOKが取り上げて有名になったよね。 

その後、WE BANJO3も取り上げ、有名になった。まぁ、オリジナルヴァージョンのバックがジェリー・オコナーのバンジョーだったから、バンジョー3にはやりやすかったというのもあるのかもしれん。 

  

個人的にはカルロス・ヌニェスあたりが、高音の音域をガイタでパラパラ高速で演奏してくれるイメージがあるんだけど、カルロスはカバーしてなかったっけ?

この曲をカバーしているアマチュア・バンドの皆さんも結構たくさんいて、You Tubeをググって眺めているだけでかなり面白い。みんな、うまい!!

しかし、なんだろうなぁ。これだけたくさんのヴァージョンを聞いていると、これまたフルックの良さが際立つ。ほんとかっこよさって、上手いだけでは成り立たない、別のところにあると思わずにいられない。いや、もちろんある程度上手くなきゃ、全然ダメってのもあるのだけれど。

例えばこれなんかもなかなかいいセン行ってる。ロス&アリィとかいう管楽器のデュオ。上手くないわけではない。だが、なんというかセンスが微妙ーーーに外れてるんだよなぁ。微妙に! 

なんというか、あまりにもノッペリしちゃってる。それはメロディ楽器よりもギターのセンスによるところも大きいと思うんだけど。でもそれならそれで、メロディ楽器が、もっとスイングしないとダメだと思うし…  なんというか…


とにかく私はFLOOKのヴァージョンが一番好き。BANJO3もかなり頑張ってるけど、なんだろう、こう、細部なんだよなぁ。細部の小技の効き具合が全然違う。

確かにフェスティバルとかの大きなステージでお客を盛り上げるだけなら、BANJO3のあの感じでいいんだろうけど、こう、私が好きなアイリッシュミュージックは、もっとデリケートな細部が活かしているんだよ。もっと、ヘッドフォンで聞いても耐えうるような、そういう繊細な細部なんだ。(すみません、好みの問題です)

いわゆるアマチュアとプロの違いってなんだろう、と思う。わかりやすいのはギャラをもらって演奏しているか、そうでないかという境界線だろうけれど、こう、もっと…何かが決定的に違うんだよなぁ。

なんだろう。音楽に対する姿勢? 確かにそこからスタートしているんだろうけど、いや、違いはそれだけとも言い切れないな。

カバーする時、メロディを追える上手いプレイヤーはたくさんいる。でもなんだろう、例えばシャロン・シャノンや、ウーロフ・ヨハンソンのメロディは、もっと、すごーくヴィヴィドだよね。なんというか、鮮やかというかメロディの中にリズムが強烈にあるというか、スイング感というか。

でもだいたいはバックのミュージシャンたちがリズム感なくて、それを消しちゃう。そんなほんの少しの線で、音楽はアマチュアとプロを残酷にも分けているような気がしてならない。

私も最近ピアノを自分でも弾き出したから、わかるのよ。で、自分の下手な演奏ばっか聴いてると、これでいいもんかと勘違いしちゃう。だから、うーん、やっぱりこの仕事しているうちはピアノから離れてた方がよかったのかな、とも思う。

でも「違いがわかる人」は、それだけ上手くなれるポテンシャルがある人だ。いつだったかマイケル・ゴールディとの会話の中で、ゴールディが言っていた。人は頭の中にないイメージは演奏できないって。

しっかり「プロの演奏」を自分の中にたたきこむ。そのためには、やっぱり本物と言われるすごいものを死ぬほど聴かないといけないのだと思う。自分で普段演奏している時に聞いている、自分の音以上に。

そうすれば、あのシャープな感じがすごくわかってくるんじゃないかな、と思う。

この曲をぜひカバーしている日本の若い皆さんも、ぜひ「本物」を一度見てほしい。フルックのメンバーがどんなに細部を作り込んでいるか。どのくらいシャープにリズムを決めているか、そこを見てほしい。

でも実際彼らが練習しているところはツアー中、ほとんど見たことがない。でもあれは相当隠れて練習しているんだと思う。そうだよなぁ。ルナサだって新曲ともなれば、めっちゃ練習していたしなぁ。先日のラウーなんかも、私に「昔の曲もやりなさい」と言われて、めっちゃ練習してたしなぁ。

そして、彼らの後を追う皆さんは、もちろん、フルックを完全に捉えたとしても、そこで止まっていては全然ダメで、まずは先陣である彼らの凄さをしっかり引き継いだあと、さらにそこから前進して、彼らを追い越し、自分の表現の道を見つけていかねばならないわけで…。

芸術の道はそんなふうにとても厳しい。でも頑張ろう、プレイヤーの皆さん。私もピアノの練習、仕事やめたらうんと頑張る(あ、違うか)。

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THE MUISC PLANT 次の主催公演は、2025年4月FLOOK。
詳細はこちら www.mplant.com/flook

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