この斜めレイアウトや歪んだフォントが、インパクトある『落下音』。チラシを映画館でもらった時から、ぐっと来ておりました。
で、東端さんもfbで紹介してらした、こちらの家系図がわかりやすいので、ここにも大きめに貼り付けておきますね。
私は公開して割とすぐ劇場に行ったのですが、入り口で配給会社の方かな?が、この、A5くらいの大きさの、ポストカードの2倍くらいのサイズのカードを、入場者に配布していました。
確かにこれがあるとないとでは、映画の理解が全然違う。
しかし複雑な家系図を必須で追うよりも映像の美しさと展開、音響も含め不思議な体験にどっぷり何も考えず浸るのが、もしかしたら正解なのかも。実際、考えながら見ると頭がこんがらがりそうです。
あれ、この人がこうなったんだっけ、で、この人がこうなってんのかな…みたいな。あ、この人はこうなの、みたいな。
それに時系列ではなく、いったりきたりするパターン。まるでみている側はこの家に取り憑いた幽霊になったような気持ちになる。
それにしても100年の時間。女性の人生。いろいろ考えが巡ります。まぁ、色んな意味で女性は抑圧されてきたのだな…ということをこの映画は表現している。。
こちらに監督マーシャ・シリンスキのインタビューがあります。すごくわかりやすいのでおすすめ。でも見終わってから読んだ方がいいかな。
実際、映画を見終わったあと読んだら、映画の解像度があがった。自分ではわかってなかった部分がたくさんあった。なるほど、とあれこれ納得。
監督も話しているように、映画の最初の部分が少女の視点だというのが、この映画の特徴をすごく押し出している。
まさにボーボワール(だったっけ?)の「女性に生まれるのではない、女性になるのだ」ってこと。少しずつ彼女は子供のピュアな観察眼で、社会をじっと見つめ、そうしているうちにあれこれ疑問をいだくのだけど、それを口に出していうことはなくただただ受け入れていく。
なるほど、この感じ、この感じ!! 自分もなんか覚えがある…ぞ!?
そしてこれらの時代の女性は…いや、この映画では2020年代まで描かれているので、今も女性はそうなのかもしれない…、つまり女性たちはそれを疑問に思うことはあれど、誰に話すこともなく死んでいくわけで…。
だからこの世に諦めとも言える感情を持つ彼女たちは、異常に「死」に魅了されていくわけで…。
加えてこの映画の怖いところは、作品が、そういった事象に批判を加えていないところだ。とにかく、この映画は淡々とそれを伝えるだけ。それが悪いとも良いとも、悲しいとも楽しいとも、言ってない。そこが怖い。
監督はベルリンの戦前に建てられた古い建物に住んでいるのだそうで、自分の住処を思った時、ここには100年前、どんな人が住んでいたんだろう…と考えつつ、この映画の構想にいたったとか。
すごく面白い。今年はすでに映画が妙に当たり年だけど、もしかしたらベスト5にいれてもいいかも、というくらい入り込みました。
で、もう一つ話題を。この映画、配給会社大手GAGAさんの「新設アートハウス映画レーベル」からの配給ということらしい。
残念ながら、小さな映画館の閉館がよく伝えられている今日このごろ。映画業界はアニメ、そしてシネコンの世界ばかりです。でもそれじゃ文化としてはダメだと私も思っているので…。
…っていうか、単純に私が見に行ける映画館、なくさないでー!! GAGAさんがこういうのやり出すの、すごくナイス。
先日拝見してとてもよかった『センチメンタル・ヴァリュー』もこちらの配給。このあとはアイスランドやフィンランドが舞台の映画が公開を待っている様子です。注目! そして応援!
まぁ、でもほんと出版業界もそうだけど、たった一人でやっているような配給会社さんや出版社が、丁寧な仕事で、かなりの規模のヒットを作り出すとか、よくある話。今や大手のマーケティングが効かなくなっているのも事実。だから、大きい会社は、そういうふうな丁寧な仕事の楽しさに飢えているのかな、とか思っちゃった(笑)
この映画をこんなふうに家系図まで作って紹介しているなんて、日本だけかも? それともこの家系図にはドイツ語版や英語版もあるのか?
何はともあれ、これにハマって、いろいろ考え出すと、ぐるぐる回っちゃいそう。
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◎1996年からかかげてきたTHE MUSIC PLANTの看板は2025年12月にて下ろしました。公式サイトは近日中にアーカイブ化する予定。自分の主催公演や招聘はもうやりません。ただ2026年も若干の雇われ・お手伝い案件(笑)があるので、そちらはゆっくりとこなしていく予定です。
◎現在リリースしたCDの販売は終了しておりますが、書籍はあいかわらず販売しております。アイルランド名盤ガイド。楽曲への配信のリンク(Spotify)や、来日時のインタビュー、エッセイなど充実の内容。ポール・ブレイディ、メアリー・ブラック、マーティン・ヘイズ&デニス・カヒルの3冊です。こちらへどうぞ。
◎神保町すずらん通りのパサージュにてケルト書房という棚を運営しております。ケルト関係の書籍や友人の書籍などを販売中。こちらへどうぞ。
◎パンデミック後くらいから作曲家:日向敏文さんのお手伝いしております。昨年の6月25日に新作「the Dark Night Rhapsodies」がリリースされました。こちらが特設ページ(Sony Music Labels)。アナログ盤と、ピアノ小品集の楽譜は日向さんのサイトで通販中。
◎その日向さんは、91年の大ヒットドラマ『東京ラブ・ストーリー』のサントラを手掛けていたわけですが、そちらが35周年記念のリイシューされることになりました。詳細はこちら。 最新インタビューをotonanoにて連載中!
さらに今まで配信されていなかった『アナザー・グラフィティ』『妹よ』『陽のあたる場所』『愛という名のもとに』『ええにょぼ』も3月25日より配信スタートしております。



