川内有緒「バウルを探して」を読みました



 アイリッシュ・シチューって初めて作ったが、あんまり美味いもんではないのう…。












アップルグランブルは、上手に出来るようになった。これでブリテン諸島へ嫁に行く日も近い?!

それにしても週末くらい、こうやって仕事の合間に料理もしたいもんだ。ここのところデリバリーとかに頼りすぎだった。





さて、今日は本も読みました。いやー これはすごい本だわ。和田静香がブログで紹介していて俄然読みたくなり、そのままポチってしまった。

レポで国連の話を書いていた川内有緒さんの「バウルを探して〜地球の片隅に伝わる秘密の歌」。

読み始めたら、ちょっと読むつもりが面白くって、最後まで行ちゃった。静香の感想の方が内容を掴んでいるので、ぜひそちらを読んでください。静香のブログ、投稿別のリンクが貼れないんだよね…このブログの2月7日の投稿を探して、ぜひ読んでください。静香も言うとおり、この本はものすごいパワフルな本です。とにかくグイグイ読ませるよ。

それにしても静香も書いてたけど、バングラディシュの人たち…なんて美しい人たちなんだろう、と思った。なんてピュアで心の綺麗な人たちなんだろう、と。いろんなエピソードにホントに涙がでまくり。最後の方とか、感動の嵐! 嵐!

ユネスコの口承、無形遺産にも登録されているバウルの歌をさがす旅。私はこのエリアの音楽についてはまったく疎いのだけど、でもこの本に書かれているすべてのエピソードは私が関わっているヨーロッパの伝統音楽にも言えることで、とにかく、もう共感しまくりだった。

グルと呼ばれるアイコン、何が本物のバウルで、何が本物じゃないか。何をもってバウルとするのかという問題、バウルは音楽か、哲学か。伝統を現代的にしてヒットさせてる若いバンド。歌がうまいがゆえにバウルを取り上げたら本人がびっくりするほど高く評価されてしまった女性歌手。あれこれ自分の価値観で分類をする学者、映画監督。こちらの思い入れがあまりに大きくなっていく中で、現地の人にとっては普通に現実だし日々の生活だという圧倒的な事実。そして以前は差別されていたものが、今では尊敬の目で観られている…つまりバウルは何も変わらないのに社会が変わった。学校とか作ったりユネスコの認定などいろいろあるが、そんなものでは伝統は守れない、などなど。原理主義的厳格オヤジもいるし、ユルそうに見えて、実はコアの部分を掴んでいるオヤジもいる…

まったくもってアイルランドとか、フィンランドと一緒だよー(涙)。今だにヤルヴェラ村にもウイリークランシーにも行けてないから、私が何を言えるだろうってのもあるけどんさー

これは、インドとかヨーロッパとか関係なく伝統とか、文化とかに興味を持つ人なら抜群に楽しめる本だと思う。まったくもってアイルランドでもフィンランドでも同じ。そこには人々の生活があり、そして伝統音楽がある。都会や外国からやってきた人は勝手に自分ことを投影させて思い入れたっぷりに接してくるが… でも、そうやって接してくる私たち外部の者までも、伝統音楽は優しく受け止め、また外部のものたちも100%理解はできないまでも、またその中に自分の姿を見いだしていく…という。

ここでもドニゴールを深く知る事は、世界のすべてを知ることと一緒だ、というアルタンの哲学(って大袈裟だけど)につながる。実は表面だけ広く浅く知識だけ集めていては、世界のことはまったく分からない。でも、ある1つの事を徹底的に研究したり、自分で自ら行動したりすると、ある時、世の中すべてがぱあっっと明るくなって、すべての事が深く理解できる瞬間が来るんだよ。

大事なことは、こういう事は、伝統だけじゃない。世の中に起きているすべての物事は、こういう事なんですよ、と理解する必要だがある。すべての物事にはいろんな側面があり、いろんな価値観がある、ということなのだ。そのすべてを知ることは出来ない。でも想像力を鍛えることは誰にでもできる。今、私たちはキリスト教やアメリカの価値観で書かれた歴史の教科書で学び、それが事実だったとある程度認識している。でも、そうじゃないんだよ。それは真実の一つかもしれないけど、すべてではない。1つ1つの物事に、こんな風に複雑にいろんなことが絡み合っているんだ、ということを知っておくべきなんだよ、という事。

私もまだまだその境地にたっしていないが。旅をすることは自分の心の中をさぐること、という事なのだ。この著者が面白いから、この旅も面白いし、この本も面白いんだね。

旅は自分探しとは良く行ったもんで、面白い著者が書いたものはホントに面白い。バカな人が書いたやつは面白くもなんともない。

先日もパディ・グラッキンというものすごい伝統音楽家と数日間一緒にいて、私はなんだか目からウロコが落ちるような事ばかりだった。まさにマウノ・ヤルヴェラ(JPP、フィンランド)につづいて圧倒的なショックだった。これについては、またパディの再来日が決まった頃、書く。伝統ってすごい。歴史ってすごい。

それにしても圧倒的な臨場感で、あっという間に読めちゃう。同じ著者による「パリでメシをくう」というのも読みたくなった。