明日何があろうとも…

昨日は早朝にJアラートが発動したようで、びっくりである。私は何も知らずにガーガー寝ていた。私のガラケーは何も発信しなかったが、うーん、これからは毎晩iPadを枕元において寝ないといけないのか…。と言いつつ、昨日もそれを忘れて本を夢中で読んで、そのまま寝てしまった。

しっかりコミットできる自信と時間がないかぎり、世界情勢を云々言ってもしょうがない。自分に出来ることには限りがある。次にJアラートが来たら、せめてiPadを持ってトイレの中に駆け込むくらいはしよう。うむ。

しかし、私の仕事というのは未来を作る仕事である。こんな不安定な世の中で、3ケ月後、半年後の事に向けて仕事をする事は、まともな状況とは言えないのではないか。実は企画は2019年の11月まで入っているんだが、まったくもってそれは正気の沙汰ではない。そしてそれに向けて日々努力するなんて…。ましてや外国から人を呼ぶなんて、リスクの大きさにビビリまくる。うーん、本当に考えちゃうよな。ウチらの仕事っていったいなんなんだろう、と。

しかし…だ。大きな地震がもうすぐ来る可能性があるとして、北朝鮮からミサイルが飛んで来る可能性があるとして、それでもミュージシャンが来たいと言ってくれるかぎり、私は未来の企画を実現するよう努力せねばならない。 それが仕事だから。

では事態がホントに緊迫したら、具体的にはどうすればいいのか。公演については…ミュージシャンと常に相談だと思う。マーティンとデニスが震災直後の4月に来てくれた時と同じようにするだけだ。あの頃、本当にほとんどの海外招聘ものの公演はキャンセルされていた。しかし2人は来日すると言ってくれた。あの当時の日記はこのブログでも追えるので、下の方にあるリンクで興味ある人は是非のぞいてみて。ホント私が私らしくて爆笑しちゃうんだけど…。
 
まぁ、なんだな… 言えることはアーティストと常に相談って事なんだよね。それに尽きる。それでアーティストが来たいと言えば、私はやる。それだけだ。チケットが売れる/売れないは単なる経済の問題なので、これは大きくはない。事態が緊迫してチケットが売れなければ、単に自分の貯金と比較して自分は赤字に耐えうるのかということを検討だ。結論は簡単に出る。

マーティンとデニスの時は、2人とマネージャーに英語で書かれた原発の状況が分かるサイトのリンクを送り、ストレートに相談したんだよね。結局のところそうするしかないからだ。最初はもうお互いよく知っている仲であるだけに「私からキャンセルしてあげた方が彼らに対して親切なのではないだろうか」と考えた瞬間もあった。でも…いや、それは違う。来てくれ、と言うことが私の仕事だろうと思い直し、あの時は来てほしいと彼らに伝えたのだった。ただ来るのであれば、反対する家族もいるかもしれないし、もし来たくなかったら、それはそれでいいから、とももちろん書いた。で、1週間あげるので検討してみて…と伝えたのだった。けれど彼らは1週間私を待たせることもなく3日くらいで返事をくれたんだよね。イエスの返事を。あの時は本当に嬉しかった。

で、そんなことがあった日の夜。たまたま原発で何か動きがあったのかな…、余震の大きいのが来たのかだったのかな…もう理由忘れたが、それがイギリスのニュースでも発信されたようで心配したグレン・ティルブルックがskypeしてきた。グレンに「今日素晴らしい事があって、ウチのミュージシャンがこの状況下で来てくれることになった」と言ったら、グレンはドライにも「いや、行くだろ、それは。オレだって公演があれば行くよ」と案外さらっと言うので、それはそれで、なるほどなと思った。確かに私も出張で、誰かが私を海外へ呼んでくれていて、何かのっぴきならない事が現地で起こったとしても、呼んでくれる人がそれを取り消さない限りは、やっぱり行くもんな…

そしてその後ラジオで聞いたいわき市の文化施設アリオスの方のインタビュー「来ないというのは当然なんです、なにせ原発が危ないわけですから。でも来るというのも当然なんです、仕事なんですから」と言ってらしたのが、一番すとんと腑に落ちた。

一番いけないのは人の判断を知りもしないくせに「あーだ、こーだ」と外野が言うことだ。いつだって自分たちで決める。それでいい。それだけでいいと思う。

うん、だから大丈夫。ウチは本当に幸運なことに311の時も公演キャンセルが出なかった。5月にもアラマーイルマン・ヴァサラットが来てくれたけど、あの時も誰もキャンセルしたいとは言わなかった。ヴァサラットについては原発のことは話題にすらあがらなかった。実はあの時ヴァルティナの女の子たちは来るのを躊躇していたのだが、マネジメントが1本メールをよこしただけで、結局その件はフェイドアウトになった。というのも、あれはフィンランド・フェストという企画で、他にもたくさんメタルバンドが来日する予定になっていたのだけど、その誰もキャンセルを言い出さなかったので、彼女たちだけが原発を理由にキャンセルというわけにはいかなくなったからだ。

ま、そういうこともある。何があろうと、どんな状態になろうとも、私は私らしくミュージシャンと一緒に物事を決めていくだろう。

しかし、そんな風にどんな仕事も「覚悟」がないとやってられない時代になっちゃったね。それは肝に銘じておかねばと思う。主催者としてどう状況を判断するかという事を。そして、こんな嫌な緊張に長く耐えられるわけがないので、やっぱりあと5年くらいでもうこの仕事は引退したいわ、もう…、とまた思うのであった(爆) で、引退するのであれば引退するで、1つ1つの仕事を丁寧に悔いのないように進めていかねばならない。

さーて、皆さん、今日も日常の平和に感謝して、毎日をすごしましょう!

アイリッシュ・ソウルを歌わせたら圧倒的なウォリス・バード。来日は11月6日。月曜日公演ですみません。詳細はここチケット申込はこちらへ。早くウォリスに会いたいな。



PS
友達がこのブログのウィルコ・ジョンソンの言葉を紹介してくれた。「ブッキングされたギグはやる。ただそれだけさ。この状況で俺がライヴをやることが迷惑にならなければいいな、とは思ったけど、一度やると決めたら、俺を止めるものは何もない! 怖くもない。だいたい招聘もとだって、本当に危険ならば来るなって止めるはずだしね」やっぱりこれだよね。これに尽きるわ… 決めたらつべこべ言わずにやる。そして招聘元との信頼関係。