佐藤尚之さん『ファンベース』を読みました。これは素晴らしい!


とか書いてて3ケ月たっちゃった。ひどすぎる。こんなに重要な本のレビューをまとめてなかった。忘れないうちに書かなくては…

「さとなお」こと佐藤尚之さんの本は、間違いなく勇気をくれるので、私はかならず読むようにしている。例えば『明日のプランニング』『明日の広告』…どちらも仕事で悩んだ時に、行く先を照らし出す明るい光のようなものをいただける本だ。そしてそれに続くのが、この『ファンベース』だ。

先に結論を言ってしまうと、今のこの激動の時代にあって、何ごとも成功するには地道な努力が必要だということだ。さとなおさんの本は最近流行の奇をてらった刺激的なタイトルであおるビジネス書とはまるで違う。誰でもがこの本を光として地道に歩ける、そんな方法を示してくれるのだ。決して最短の近道などないし「これで営業、大成功!」みたいな事も書いてない。でも読めばかならず納得。とにかく道はあなたの前にはないけど、さとなおさんの明るい光があなたの前に見えているよ、と。(あっ、髪の毛のことじゃないですよ、さとなおさん/笑)

と、まぁ、ちょっと大げさなイントロを書いたけど、今回の本も読んでみて自分にもっとも響いた部分を明日の自分のために書き出しておく。大事なことを忘れないように。

最近はホントにどんな広告もプロモーションも情報の砂の中に埋もれて行く。話題になったキャンペーンも広告も、最近ではまるで一過性。長続きしない。昔は「話題化」は正義だった。が、それも今はあまり効果がない。

確かに… 私もいつも感じている。いわゆる音楽を売る為のタイアップ…例えば大きなテレビ番組に取り上げられるとか、大きなフェスへ参加が決まるとか、ビックネームとの共演が実現するとか、CMやテレビ番組への楽曲提供とか… 飛び道具はホントに瞬間風速でしかないことを。万が一そんなオファーが来ても、今までの地道な努力がなければ、まったく意味がないというのはシミジミ感じてきた。あっちにも、こっちにも瞬間風速で終ったプロジェクトのなんと多いことか。だからそれを目指してはいけない。飛び道具はあくまでボーナスなのだ、と。

もっともそういった単発の企画でも、それなりに重要で必要なものだ。とにかく知ってもらわないと何も始まらないのだから。

だから短期キャンペーンを繰り返しつつ、それを長期的ファンベース施策につなげる事がとても重要だ、とさとなおさんは言う。短期キャンペーンは長期的ファンベース施策の上に行なってこそ、やっと効果が表れる。

超成熟市場である日本。そして高齢者は保守的だ、ということをよく認識するべし。新規顧客獲得をより困難にしていく。新しくプロジェクトを始めるのであれば、ライフステージの変化による新しい需要を模索しないといけない。これはすべての事業について言えることだ。

そして… これは忘れてはいけない大前提のだが、インターネットを検索して自分で情報取りに行く人は本当に僅か。しかも東京に一極集中している。だからまだまだ地方ではテレビなどを利用した従来型のキャンペーンも、まだまだ効きやすい。ネット使用人口、スマホ保有者が増えても,彼らはLINEとSNSとゲームくらいしかやってない。

そんな風に市場は今や両極端化。情報の洪水に覚えれそうになってる人たちにも、与えられたものしか手にいれない人たちにも、最高に効くマーケティングといったら、それは1つしかない。それは「友人のオススメ」。これはどちらの市場にも最強。価値が近い類友は、テレビやネットを凌ぐ最強のメディアなのだ。SNSなどの発達もある。が、ここで重要なのは単なるRTや情報の垂れ流しではなく、「オーガニック・リーチ」を目指せ、ということ。

単に情報をシェアするのではなく、かならず自分の言葉をそえる。それも熱意のある説得力のある自分の言葉を。それによって、驚くほど多くの賛同が得られるのだ…
(が、これも最近では難しいよね。多くの人がネット上で自分の意見を言うことをホントに恐れているから)

で、ここで私もはっきり書いてしまおう。

ウチのお客さんは、実はお一人様がホントに多い。チケットを同時に2枚買う人は、全体の10%くらいだと思う。ほとんどが1枚購入のお客様だ。みんな自分のチケットのみを買う。そして、それは実際良いことでもある。私も実際コンサートに行く時、何か行動するのに人の都合を聞くことはない。人の都合を聞いていたら、どこにも行けないし何も体験できないからだ。大抵はお一人様。でもその方が気楽で自由だ。だから1人で行動するお客さんの気持ちはすごく分る。私自身がそうだから。でも、ここで私があえて言いたいことは、ぜひウチのコンサートへは主催者(=私)を助けると思って、皆さん、お友達を自分の言葉で誘ってもらえないかしら?ということなのだ。

ウチのお客さんも良く私の投稿をシェアしてくれるんだけど、その時に…単にRTやシェアするだけではなく…ぜひ! ぜひ「心をこめたあなた自身のひと言」を付け加えてほしい。 それだけで、そのリーチはかなりオーガニックなものになり多大な効果をもたらす。
(ここで注意なんだけど、さとなおさんは、別にお客さんに頼めと言っているわけではない。それを自然と促すようなSNSの運営があるだろう、ということなのだ。これは誰かに知らせたくなる、そんなやり方。でも私はそんなに器用じゃないから、ここにストレートに書く。すみません)

しかし加えてこういう周辺の人々を引っ張る人材は、これまた全体の顧客の20%だということも覚えておかないといけない。所謂2/8の法則。これは統計が証明している → そしてこの20%を動かすようなマーケティングが必要なのだ、とさとなおさんは言う。コアファンは身内と同じ。

とはいえ、所謂おたくや自己中心的偏愛の人は必要なし。ちゃんと企業側のことを考えて賛同してくれる人を大事にしよう、と。

そしてファンになってくれた人たちの行き場を作る。商品ではなく「価値」を軸にコミュニティを作っていこう、と。

たとえばアップルの例。アップルのコア価値はかっこいいデバイスとか、薄いディスプレイとか、そういうことではない。「情熱を持つ人たちが世界をより良いものに変えることができると信じている、ということ」(by ジョブズ… やばい響きまくる!)これがアップルの真の価値観なのだ。それはアップルの製品のそこここに溢れている。お客はそこについてくるんだよ、と。企業は(そして自営業者も)これからは、こんな風に自分の価値観を打ち出していくべきなのだ、と。自分の普段の生活なども見せて価値観をシェアしていこうと、さとなおさんは言う。

うん、うん、だから私もこのブログに自分の仕事に関係ないことも書いているのだ。

そしてファンの人を「身内」として扱い、共に価値観をあげていく。一緒に成長していこう、と。

それがファンベースの構築だとさとなおさんは言う。そして素敵な社会を一緒に作っていこう、という結論にいたる。

以上のことは、とってもとっても時間がかかる。でもそんな風に時間をかけることをも楽しもう、と。これが重要。今後は狩猟タイプではなくコツコツ型の農業タイプの人の方が、ファンベース施策に向いている、と。そしてキレイゴトを楽しもう、とも。そんなのキレイゴトだろう、というネガティブ・オーラを振りまく人たちに負けてはいけない。キレイゴトには時間がかかる。が、いずれそれは価値観としてファンの人たちに認めてもらえる。うーん、さとなおさん、良い事言うなぁ!!!

以上、とにかく響きました。さとなおさん、お魚食べられないショックからたちなおっているのだろうか…気持ち、痛いほど分る。つらい。それにしても素晴らしい本を本当にありがとうございます。



今日も元気になれる1曲を。めっちゃ古い動画で、演奏もまだ甘いところがあるフルックだけど、スピリッツは当時とホントに変わらないよね。この曲はホントに名曲! 10月中旬、ツアーの詳細はここ