勝間和代、久保明彦、和田裕美『人生100年時代の稼ぎ方』を読みました


Kindleで購入。またのちほど詳しく書きたいと思うのだが、友人たちにあきられそうだけど、今、自分の中で第4次くらいの勝間和代マイ・ブームが来ていて(笑)、久しぶりにこういう本を買った。ちょっと前に読んだ『LIFE SHIFT』に近いものがある。要は寿命が延びた分、人間はそれらの人生がなるべく楽しいものになるように努力して時間を埋めていかないといけない。それは結構大変な作業だ、という不安に答える内容。与えられた時間をたのしく、そしてもちろん金銭的な安心も重要だ。

もともと人は…私の感覚だと不謹慎だが60歳くらいで死ぬことが、生物的にもちょうどいいのだと思う。子供を産んで、それが大きくなって独立し、さらに孫の顔みて、ハイ、自分の役割は終わり…みたいな。でも医療やら何やらが想定外に進歩してしまい、ちょうどいい年齢で死ねなくなってしまった。その分、私もそうなんだけど長生きはしなくてもいいが生きてる間はなるべく楽しく快適にすごしたい人間にとって、今やこの「生きること」は大変な事業となってしまった。周りを見回せば、世の中には「これからどんどん悪くなっていく」という不安をあおる要素しかない。まさに角幡唯介さんが『アグルーカの行方』で言っていた「生きるということは不快に耐えてやり過ごす時間の連なりに他ならない」だ。

それにしても統計などを観ればびっくりするほど多くの人が「仕事はしたくない、早く年金もらって引退したい」などと言っているらしくビックリだ。つまり世の中には、やりたくない仕事をしている人があまりに多いということを改めて感じる。みんなそんなに毎日我慢しているのか。でもお金をもらって生活の不安がなくなったところで人生は楽しくはならない。それより死ぬ直前まで社会と関わり、動ける間はなるべく社会に貢献できる方がよっぽどいい。これも後で書こうと思っているテーマなのだけど、人間は人の役にたつことで最大の喜びを得るのだ(と私は考える)。

まぁ、仕事の内容はともかく生活にもっと自由度が欲しいとか(朝、好きな時間に出勤とか)そういう事なんじゃないのかなとも考える。でもそういう事こそ、定年まで我慢する必要ないし、明日から変える努力すればいいのに… と、まぁ、それについては多くはここに書かないけど、また時間を取ってここにまとめてみたいと思う。

話がそれた…

それにしても例の年金不足、2,000万円問題とのタイミングがあいすぎる(笑)タイムリーな本だ。勝間和代さん、和田裕美さんの本はいくつか読んだことがあるが、久保さんについては今回初めて知った。この3人の著者がそれぞれの立ち場からリレーコラムみたいにして説明している。対談本ではない。でも文章のトーンから何から統一されていて、とても読みやすく、すごく分かりやすい。編集者がいいんだろうな、きっと…

勝間さんはいつものとおりキレッキレだけど今回特に良かったのが和田さん。特に刺さった部分をメモしておく。将来の自分のために(笑)

和田さん「自由とはお金から解放された状態」「お金は<誰かの役にたった>自分に対する対価である」

たしかに。和田さんの言うことはもっともで、ホントにフリーランスで成功している人はみんな自分を決して安売りしていない。安くやっていて成功している人をみたことない。ただでさえ世の中デフレ傾向。そんな中、ちゃんとしたギャラを得るのは大変だけど、自分で恥ずかしいと思わず、きちんとギャラの交渉が出来る。それでこそプロだ。特に時給1,000円とか、まったく意味をなさない。そういう時給?でやるなら、労働が蓄積される将来性のある、今この時間の労働を将来の収入に活かせる事業だ。結果時給で自分の時間を売ることを続けている人は、いつまでたっても楽にならない。(これ他の誰かも言ってたな… 誰だったっけか…。ちなみにこのブログを書くことも将来につながる。書いてもギャラなんかもらえないけど、Google Adから僅かながら蓄積されて、知らない間に小銭がたまっていたりする。やるとしたら、こういう作業の方が重要だ。

勝間さん「日本人は遺伝子レベルで変化を嫌う」それよりも「将来にBETする」が重要。

和田さん「お金の基本ルール ①稼ぐ ②節約する ③資産運用する
お金が出て行くルートは ①消費 ②浪費 ③自己投資」

和田さんの「人からどう見られるか、ということを気にして行動に移せず、引っ込み思案になる人は、実は自意識過剰です。加えて、自尊心が低いと自分の言動に自信が持てなくてネガティブになり、さらに消極的になります。どの職種においても、最も仕事ができないタイプです」という部分はめちゃくちゃ響いた。行動しない人は、極めてそういう傾向が強い。

私は自分の強みは、実は人にどう見られるか全然気にしないところであると常々思っている。そもそも自分が他の人にあまり興味を持てないのも原因かもしれない。自分が興味のない事については、ホントに覚えが悪い。誰の田舎はどうだとか、家族がどうだとか言うこともあまり覚えていない。実際に仲良くする上で本当に重要なことは、そんな情報にはない。そういや、いつだったかロビン・ヒッチコックと話していて、過去のツアーでのいろんなことの記憶があまりに無いロビンに「ホントに覚えてない?」と聞いたらロビンが「そんなことは重要なことではない。オレにとってはお前とタッドとコウイチとアキコの顔さえ覚えていれば、それでいいんだ」と答えた、ということにも由来している。ロビン、嬉しい事、言ってくれるよね! 普段化粧もしないし着るものにこだわりもないし私は、今の自分の状況もそれほど気にはならない。体調が悪いせいか髪はボロボロ、白髪も増えちゃってひどい状態なのだが、体調が戻ったら染めればいいっか!くらいに考えている。これが神経質な女性だったら、もうストレスで大変なことになっていただろう。一方で自分のやりたい事については絶対にゆずらない。そもそも派手に見えてしまいがちな音楽の仕事。外見を気にし始めるとお金がいくらあってもたりないし、そもそも自分が仕事上は頑張っていることを世間にアピールするのに忙しいが、それを人がどう思おうが勝手だと思っている。ブログは頑張って書くが、それを読む義務は誰にもない。興味がある人だけが来てくれて読んでくれればいい。とにかく時間もたりない。だから、このズボラな性格は今の仕事にむちゃくちゃあっていると自分でも思う。ロビンの言うとおり、そもそも絶対に譲れない大事なことなど1つか2つしかないと思っている。

またそこを補足するように勝間さんの言葉。「稼げるかどうかを決めるのは自分の能力は5%で、環境因子が95%」

これもごもっとも。今、稼げてない人は環境が間違っている。環境を変えて行く(会社をやめる、独立する、自分の裁量権を広げようと努力する等)が必要だ、ということ。「今の時代、収入の柱を1本しかもたないのは、かなりリスクが高い」とも。

これホントに共感する。私が、この業界にも兵隊ではなく事業を生み出せるプロデューサーがもっと多くなることが必要だ、と何度かここに書くのも「この変化の時代、人から来る仕事を待っていてはとてもじゃないけど自滅だし,自分で仕事を作り出せるようにならないと、今の時代生き残るにはあまりにリスクが大きい」からだ。今や時代は変わった。ここで変われるのが生物学的に正しい、強い生き方なのだと思う。

とまぁ、ごちゃごちゃ書いたけど、いずれにしても、こういう時代に生まれてしまったわけだから、それでもなるべく楽しい人生を歩むべく変化をおそれず楽しく行きたいもんです、ハイ。あ、そうそう、他にも「会社ブランド」ではなく「個人ブランド」を作れという久保さんの話も響いた。ホントそうだよね。

まさにお三方のおっしゃる通り。それにしても、この問題については一度立ち止まって自分の人生どうしたいのか、誰もがじっくり計画をねってみる必要があると思う。漠然と不安に思っていても、良い事など1つもないし、不安に思っている時間がそもそももったいない。それよりも楽しくワクワクする時間を作って自分を楽しませないと。

そういう私も、ちょうどこの夏はあれやこれやについてリセットの時期になると思う。このままこの仕事を続けるか。続けるとしてどんな風に続けるか。他にやりたい事はないか等々… 自分の人生、自分で責任取らないとね。 年金問題について言えば、私はエキスパートでもよく勉強したわけでも何でもないのだけど、情報の発信の仕方など与党のやり方が下手くそだという事につきるんじゃないかと思う。よく考えたら年金だけで暮らせた世代など今までに存在しない。たまたま上の世代は貯金が好きだったり高度成長うんぬんでラッキーだっただけだ。もちろん選挙に参加して、なるべく自分の希望するほうに世の中の流れを変えていく必要はあるが、それにしたって限度がある。北欧型の社会を作るには日本は人口が多すぎる。そして多くの人が変化を嫌う。本当に変わっていくには、おそらく向こう3世代くらい必要かもしれない。いずれにしても自分の世代にはおそらく間に合わない。そんな「狭間の時間」に生まれた自分はいったい何がしたいのか。

まぁ、いろいろ考える。そういった思考を助けるためには、すごく良くまとまっている本だ。『LIFE SHIFT』より全然短いし、端的で具体的だし、とにかくお薦め。