映画『ダンサー そして私たちは踊った』を観ました。すごくよかった!


スウェーデン人監督によるジョージア(グルジア)が舞台の映画『ダンサー そして私たちは踊った』を試写で拝見しました。ありがとうございます。

結論から言っちゃうと、「いや〜これは素晴らしい。絶対に応援せねば」という作品でした。まずこの映画。気をつけて情報みないとスウェーデン人の制作グループだということに気づかないかも。舞台はまったくのジョージア。監督であるレヴァン・アキン監督はジョージア系スウェーデンだそうで、北欧育ちならではのシャープな視線がいい。プロデューサーはアバのベニーの息子だって。すごいよね。しかもカンヌにスウェーデン代表として行ってるんだから素晴らしい。

それにしても画面が1つ1つきれいだなぁ。自然光の使い方、太陽の位置、とにかく素敵。っていうか、主人公がダンサーだからだろうか。彼の身体が美しいからだろうか。とにかく綺麗な画面だ。彼の生活自体は貧しく暴力もあり相当すさんでいるけど…

女の子が言う。ここはヨーロッパのふきだまりみたいだと。タバコも最低のクオリティのものがジョージアに集まるのだと。これはロンドンで買ったやつよ、どう?と。

家計をささえながら大変な思いでダンスを続ける主人公。ある日舞踊団に突然やってきた新入りのダンサーによって彼の人生に大きな変化がおとずれる。

「ナチュラルで官能的」というキャッチが「まさに!」って感じ。男性同士のラブシーンも本当に美しくて、素敵で、うっとりしちゃった。最後のオーディション・シーンは圧巻。ちょっと古いけど、フラッシュ・ダンスを彷彿させる?(笑) 主人公の射るような真剣な視線がいい。(か思うと、彼は思いっきり甘い表情も見せる。すごい表現者だと思う)

彼をなんとなくほど良い距離から応援してくれる女の子たちもみんなすごくいい。そして、最後、彼は自分の可能性を信じて羽ばたいていく。私はこれは爽やかなエンディングと見た。だらしないお兄ちゃんが最後はいい味を出している。

それにしても… すごいと思ったのはジョージアの伝統音楽とダンスだ。すっごいパワフル! こんなダンスがあるんだね。全然知らなかったよ。音楽もパーカッシブで、めっちゃかっこいい。ただこの映画の舞台は国立舞踊団なんで、そこでの伝統文化の捉え方はめちゃくちゃ保守的なんだけど(いただいた資料によると実際の撮影にも超非協力的だったそう)、そんな中で彼のダンスには新しさを感じさせる何かがあるんだわ。なんというか色気があるというか。繊細さというか。それが力強くマッチョなだけではない、絶妙なバランスの上になりたってる。まぁ先生方には「男らしくない」みたいな評価を下されちゃっているわけだけど。

これまた先日までプロモーションしてたポーランドの本物の伝統文化とは何か → 共産時代に生まれた国営エンタテイメントはフェイクローレ → ヤヌシュたちみたいな若者が本物を追求しだすという動き…というウチがプロモーションしてた図式に当てはまる。うーん、やっぱりこれから面白いのは、このエリアだよね。これからますます面白くなってきそうだ。かっこいい音楽とか絶対にあるし、若者たちがどんどん本物は何かということを自分で追求し突き動かされていく。ちょっと勉強してみよう。

主演の彼は本職がコンテンポラリー系のダンサー(当然だよな、これだけ踊れるんだから)だそうで、いや〜、本当にダンスシーンが素晴らしい。彼はサラエボ映画祭やオデッサ国際映画祭で主演男優賞をゲットした他、W Magazineのカンヌで最も刺激的なスターの1人に選ばれたそうだ。納得だよね。でも演技はこれが初めてだったらしい。

「のむコレ」にて年内特別上映される他、来年2月に東京はシネマート、ヒューマントラスト有楽町にて上映。なんか主人公のこの子、人気出そうだよな。ヒットするんじゃないか、この映画。とくにヒューマントラストに集まるおばさま方に超人気出そう。ポルーニンの映画より、わたしはこっちが圧倒的に好きかも。まぁ、もっともあっちはドキュメンタリー、こっちはフィクションなわけだけど。



監督良いこと言ってるね。「(このセックスシーンは、セックスだけではなく)あなたを受け入れてくれない社会の中で、自分を発見していくプロセスだ」

「この映画でもしかしたら社会を変えることができるかもしれない」と主演の彼もい言う。いい。すごくいいね! こういう感じがいい。いや、もちろんそれは大変な道のりだと思う。でも同じエンタテイメント業界に身を置くものとしては、そう信じたいんだよね。映画や音楽や芸術といった表現活動が、社会を変えるかもしれない、って。



こちらも要チェック。主演の彼はプロモ来日もしてたみたい。あぁ、本物見たかったな〜(とミーハー心/笑)。どっかで踊ったのかな…