真にすぐれた文化は無名になるのだ

最近「無印良品みたいな音楽」って形容詞を発見することが多く、ちょっと面白く思っている。











実はだいぶ前に、とあるレクチャーを聞きに行ったのだが(10名くらいの小さな勉強会)、そこでその講師の先生は日本のとあるお祭について説明されていた。そのお祭は伝統としてその地に根差し、実はどうやって始まったのかはもう誰もわからないということ。本当の文化というのは、そういうものなんですよ、苦労して始めた人の名前というのは忘れられるんですと説明する講師の先生に、そこにいた他の女性プロデューサーと「えーーーーっっ、それはない」「私たち制作者の苦労はどうなるのーっっ?!」「うかばれなーい」と言い合っていたのであるが…

そういえばこういうこともあった。私がヴェーセンをプロモーションしていることを知らず、私の目の前でヴェーセンの音楽をあれこれ説明し始めた若者がいた。あぁ、私もよく知ってますよ、そのバンド(笑)

今やヴェーセンというバンドの名前を知らない人が、ニッケルハルパに興味を持っている。Twitter検索すると、ヴェーセンというバンド名は出てこないのに、ニッケルハルパという単語はたくさん上がってくる。

そうなのだ、文化って、そういうものなのだ。私もちょっと大人になった(笑)

マイケル・ジャクソンが亡くなった時のことを覚えているかい。子供たちは競ってムーンウォークを真似していた。マイケルが誰だかわからずに。マイケルのダンスは、その時「文化」になったのだ。彼の苦しみばかりの人生、孤独、そんなこと知らないで、彼のダンスは創った人を踏みにじり一人歩きしていく。

そうなのだ。私が紹介しました、私がやりました、って全然意味ない。文化とはそういうものなのだ。なんか浮かばれないけど、ちょっと嬉しい。くすぐったい。っていうか、私たちもそもそも「浮かばれよう」と思ってやっているわけではない。っていうか、そもそも浮かばれる、ってなんだろう。いろいろ考える。

というわけで今日の音楽は、無印良品の音楽です。2台のハープによるデュオ演奏。これカルム・マルコム(ブルーナイルのプロデューサー)が録ってくれたんだよなぁ。



野崎がコーディネイトした無印良品のBGMは4(アイルランド)7(スコットランド)8(スウェーデン)17(アイルランド)24(フィンランド)です。ぜひチェックしてみてくださいね。無印良品のCDすべてはこちらに掲載されていますよ。