ネット上の誹謗中傷や表現について



テレビのリアリティショーに出演していた若くて綺麗で将来もあるお嬢さんが亡くなったようで、言葉が見つからない。親御さん、家族の皆さんの心中を察してあまりある。 いや、ほんと、SNSで言論人、芸能人、ちょっと名前が知られた方のウォールに行けば、彼ら・彼女らはひたすら叩かれっぱなしだ。こういうのってなくならないよね…  学校とかで「いじめ」がなくならないのと一緒だよ。こういうのは、もうあるもんだという前提ですべて動かないと、やってられない。

日本では特に匿名アカウントの言動がひどい。Twitterの匿名アカウントは、日本は特に多いという文科省の調査結果もある。そして多くの人が匿名なら何を言ってもいいと思っている。

亡くなった女性のニュースはいろんなメディアが取り上げていたけど、爆笑問題の太田光さんのコメントは素晴らしかったなぁ。彼は余計なことは言わず「ネットで誹謗中傷されても、それはほんの小さな世界の事なんだよ」と言うのをひたすら訴えていた。今まさに誹謗中傷で悩む人に向けてのメッセージにすべてをフォーカスしていた。あれは良かったなぁ。他のコメンテーターや言論人は誹謗中傷はやめた方がいいとか、法に訴える方法とかいろいろ言っていたが、それは正論だけど、今、まさに傷ついている人に対してはそんなことを発信してもあまり効果がないと思う。誹謗中傷で悩み自殺を考えるほどの人を思いとどませるのは、それでは足りない。そして残念ながら「いじめ」や「誹謗中傷」はなくならない。

だいたいメディア自体も、妙にビクビクしているのは、そういう連中というのは、一種のクレーマーみたいで、匿名でスポンサーなどに連絡してきたりするのだ。メディアにとって、それは一番痛い。

上の記事はおもしろかった。トイペやマスクがなくなり出した時、薬局は毅然とした態度を取った。そしたらみんなすうーっと暴言が引いていった。物があふれているとお金を払う側は際限なく横柄になる。だが、足りなければ、そういうことになるのだ。この世はすべてパワーバランスで出てきているのかもしれない。

反対に私もネット上の表現には気をつけないとなぁ、と思う。私もブログに書きたいことを書いているが、それだって知らないうちに誰かを傷つけているのかもしれない。と言うか、ほぼ間違いなく誰かを傷つけていると思っていた方がいい。…と言うかブログに書かなくても自分らしく生きようとすれば、誰かに迷惑をかけ、誰かを傷つけることになる。何かを表現するということだけで、人を傷つけているリスクは必ず存在するのだ。

じゃあ黙ってればいいか?って? いや、それは絶対に違う。芸能人に「歌手やってて知らないのかもしれないけど」と言うのと一緒だ。誰にだって言論や表現の自由はある。それを求めてみんな人間をやっているのだ。私に「黙れ」と言うのは「死ね」というのと一緒だ。

だから明らかな誹謗中傷はもっての他だけど、卑怯だと思うのは、匿名で発言をしている人たちだ。一方で鍵アカにしている人も私の価値観からしたら、うまく理解できない。そんなに人間が怖いのかなとも思う。時々、自分の意見を言いたいんだったら、私の意見を踏み台にしないで自分で実名で責任をもって発表すればいいのに、と思うことがあるよ。でも、そういう人たちはそれはしないんだよね。そんな人たちは何でも書きたいことをブログに書いている(ように見える)私なんぞはバカなリスク・テイカーに見えるのだろう。黙っている方が賢いのだよ、と。それはそういう価値観なんだろう。

それにしても、先の記事にもあるように日本の社会はクレームに弱い。イベントなどもそうだ。ホリエモンの北海道におけるロケット発射イベント。別に入場料も取ってない、人に集まれとも言ってない、それどころか「こういう状況下ですから、来ないように」と呼びかけても何もない田舎だから人が集まって来てしまうという。そして20人(だったかな)の町だか村だかへのクラスター発生を助長するのかというクレームで、それは中止になった。堀江さん、泣きそうになってたよな。でもこれはもう諦めるしかないのだ。愛知トリエンナーレだってそうだ。強迫されたら主催者は来場者の安全を優先するしかない。

ウチもいわゆるネット通販黎明期にはいろんなことを言われた。今でこそ、そんな馬鹿なことはなくなったが。そしてそのすべてが匿名。いわゆるネット上で物を売るという行為が、今ほどメジャーなことではない時代だった。友達でネット通販やっている人は、みんな妙なクレーマーたちに悩まされていた。だから孤独感はなかったのだが、ひどいのになるとウチの取引先やアーティストやそのマネジメントにまで連絡してきて「あそこはあぁだ」と「ちくり」みたいなことをしている輩もいた。明らかに営業妨害だ。いつだったか誰かが言ってたけど、ネット上では暇で時間があまってるやつが力を持つ。もっともよく考えたら、そんな匿名やよくわからないの相手からのメールや電話を、普段信用して一緒に仕事をしている相手以上に信じるわけがないのだが、それでも不快なことに間違いはない。ありがたいことに取引先の信頼に恵まれた私は、彼らのそういう投稿によって自分の仕事になにか具体的な支障がでたことは一切なかった。ただ「野崎さん、よくわからないお客を名乗る人からこういう連絡もらいましたよ」と面白がって教えてくれる人はいた。でも、これは運がよかっただけかもしれない。ウチに大きなスポンサーがいて、そこのスポンサーからの収入だけを頼りに運営してきて、担当者が数件の素人からのクレームでもびびってしまうような人だったら、具体的な被害が出ていたのは間違いないだろう。

と、まぁ、このように人間ってこのように匿名になると汚いことを平気でするようになる。そういう最低の存在なのだが、それでも未来に向かって努力していかないといけない。それは、本当に難しいことだ。私がブログを書いていることもそうだけど、口を開けば、おそらく地球上の誰かをどっかで傷つけている可能性は否定できない。口を開くなら責任を持たないといけない。「アップルクランブルを焼いたよ」とツイートすれば「作れない人に対して配慮が欠ける」「バターと小麦粉が不足している時期に不謹慎な」「平日の昼間に優雅だよな」とか思わない人がいないとは断言できない。

でも何度も書くが、私たちはよりよい未来のために少しでも戦っていくしかないのだ。伊藤さん、凛々しくてカッコよい女性。これは明らかに誹謗中傷。頑張ってください!