「バンドにエイド」えらいのはリスクを取る方 


これ、いい写真でしょ? 橋の真下から撮影した荒川土手。

クラウドファンディングは、あと5日間。泣いても笑ってもあと5日だ。なんか感慨深い。10月のポーランドの公演は残念ながらキャンセルになってしまったが、まぁ先日のレコーディングで彼らのギャラが払えてよかった。早く「バンドにエイド」のアーティストにも送金したいなぁ。

しかしアーティストもいろいろで、本来ならもっと生活が厳しそうな連中に送るべきだったのかとかいろいろ迷った。まぁでもまずは参加してもらう人に「CD」としての価値がある程度ないとなぁ、というわけでウチの昔からのレギュラー陣中心にまとめてしまったわけだったのだが。

ポーランドのヤヌシュたちは「バンドにエイド」に入れたかったが(自分たちで原盤も持っているし)、来日公演がうまくいけばギャラも少額ながら払えたし、レコーディングの件もあって仕事もまわせたからいいかということで、「バンドにエイド」には入れていない。

それにしてもみんなの気持ちの落ち込みが気がかりだ。アイルランドなんかはもう来年3月まで援助金が支払われるのが決まっているから(週一人300€だったっけか)それなりの金額で、それもあるせいなのか「もうここの2年はしょうがない」という諦めムードが漂っている。

辛いよなぁ。じゃあ2年間、ぼーっとしてお金もらってゴロゴロしてればいいかというと、そういうわけにもいかない。

なんだか、ここへきて「バンドにエイド」の意味が重くなってきたような気がしてならない。このクラウドファンディングをやって本当によかった。

それにしても自分で書いたCAMPFIREの「お願いします」文章を読んで笑っちゃうね。例えば「無印良品の音楽担当しました」とか、ここぞとばかり「無印カード」を使っちゃったりして(笑)でも本当に無印良品BGMの音楽を担当させていただいたことは、本当に助かっている。仕事をこなす、そのもの以上にこのカードの効果は大きい。2004年から長くご一緒できていることも、とても大きい。もちろん自分の仕事の方が、自分&ミュージシャン100%で進められるから楽しいのだけど、社会的な認知を保つためには、こういうクライアントさん仕事が重要なのだ。それを忘れてはいけない。

でも勘違いしないでほしい。無印をやってる私だから偉いのではない。ある意味、万人が知らない音楽をこうして拾ってくれる無印さんの方がすごいのだ。ちょっとスケールがあまりに違うから言いにくいけど、ボブ・ディランが文学賞取ってエラいのはディランではなく、ディランに賞を与えるノーベル財団だというのと同じ理屈だ。はは、スケールだいぶ違うわな…(笑)

よくクライアント仕事すると「すごいねぇー」と何も知らない一般人の友人や親や親戚は喜んでくれるけど、私に言わせればえらいのはクライアントさんの方だ。私はギャラをいただいて好きな仕事をしている、それだけであるのだから。そういう評価をする人たちは、その重要ポイントがまったくわかっていない。

よく見れば、無印良品こと良品計画さんは、このBGMシリーズだけではなくFOUND MUJIからスタートして地方や外国の辺境の素晴らしい文化を伝える役割も大きく担っている。MUJIという看板で、私たちのようなマイナーな音楽を盛り上げてくれているわけだ。

例えば音楽ライターさんたちや、普段お世話担ってるメディアの皆さんにだって、うちみたいな音楽を紹介する時は、誰もが知ってる超有名なミュージシャンを応援する時とは訳が違う。これだってリスクだ。

誰も知らないこの音楽を、良い音楽かどうか自分の耳で聴いて判断し、紹介しなければならない。そのリスクの大きさよ!! 無名のものを取り上げる勇気よ! 人の作ったものを安全な場所から批判していればいいという態度とはまったく違う。新人や無名のものを紹介する時、ライターさんや媒体の皆さんはリスクを取るのだ。これディズニー映画「レミーのおいしいレストラン」の受け売りなんだけど、本当にそうだよね。

そんなふうにこの一般的には知られていない音楽を、クライアントさんや、ライターや媒体のみなさんに助けられて、紹介していくのが、うちの使命なのだ。そして、さらに、それがちゃんと商売になるかはお客さんの判断にかかっている。

だからこそ! だからこそこのクラウドファンディングを私は誇りに思う。少なくとも製造費がカバーできるところまでは私の資金であり、リスクだった。それはお客さんのおかげで回避できたわけだが、そういうリスクを取るところが、野崎はすごいぞと皆さんに理解されたら嬉しいよな。大きな企業の仕事をしているからといって、全然えらいわけではない。

あと5日。果たして100%になるのかな。でもならなくてもここまでこれたんだから、それだけですごく素晴らしいと思う。

さて「バンドにエイド」金額を計算してみたら、現状、概算で1アーティスト¥100,976。おおおっっ! おおっっ、10万超えたではないか! でも送金手数料とレートの不安定さを考えたら、もう少しほしいかな。最後まで頑張ります。