コロナ禍における海外出張について(帰国編)


今回すべてのコロナ禍における海外出張のプロセスでこれが一番大変だった、自国への入国(笑)。

まず機内で、あれこれシリアスな書類を渡されます。ポーランド入国時があれだけシンプルだったので、それに比べると、これはとても煩雑。基本的には、まずいつも平時でももらう税関の紙(ほんと毎度意味ないよねー、これ)が1枚。

それに加えて「保健所から連絡がいきますが、それをLINEですませることができます、手続き10秒で完了!」みたいな案内の書類がホッチキス留めしてあって、3枚綴りになっている。



そしてこの件における個人情報の取り扱いについて、問題ないよというサインをする書類。


そしてこちらがメインの検疫所からの質問票。つっこみどころが満載だけど、資料として載せておきます。リファレンスを見ると7月24日からこの書類を使っているようだけど… ほんとこの手の書類ってわかりにくいよね。プロの人を入れてないのかな…

まず最初のどこ国に行っていたか…という質問ですが、これは「行った国に丸をつけてください」とあればいいのに、「これらの滞在していましたか?」と聞かれればYESというしかなく、右の四角の中にYと書くわけですが…  


正解は右の四角にYと書き、ポーランドに丸をつけるのが正解らしいです(笑)

国名もヨーロッパ、オセアニア、アジアとか別れていればいいのに、これまた見つけにくい。五十音順もなくアルファベット順であるようでイレギュラーもあり…

下は同じ書類の英語ヴァージョン。アーティストが来日した時とか、どんなのを書かされるんだろうということで資料として英語版もゲットしてみました。コンサート・プロモーター諸氏、ぜひ目を通しておいてください(笑)


これらの書類を書いてスタンバイ。

さて飛行機を降りてからの段取りをご案内しますね。あくまでスター・アライアンス(全日空)系、早朝到着の便の9月の時点での例としてご案内します。私の場合はこうでした。

飛行機を降りると、まずはゲイトの狭いエリアにスタッフによって溜められることになるんですが、ここで20名ちょいといえどもかなり密になるわけで「これでいいのかな」と若干思いました。ちなみに「密」が気になったのはこのタイミングのみでしたが…。全員揃うまで5分くらいかかったでしょうか。狭い場所にたったまま、どうなっちゃうのかなーとみんな不安な感じなので、とても長く感じます。子供連れの家族さんたちとか可哀想でした。「ためる」にしてももっと広いところに「ためて」ほしい。というか、ここでためる意味って? とっとと先に進めた方が蜜もできないし、良いのではないかと思いましたが…

そのあと、スタッフに連れられて延々と延々と長い長ーい通路を歩くことになります。サテライト43-45のさきっぽまで。つまりそこが検疫エリアになっているわけです。飛行機の混み具合によるけど、私の乗った飛行機はエコノミー20名、プレミアムエコノミー2名、ビジネス2名くらいの感じだったので比較的楽でしたが、飛行機が混んでいた場合、これはつらいかもしれません。長い通路には椅子が1m間隔くらいで並べられ、混む時はここに延々と長い列ができるであろうことが想像されました。

この延々と長い通路を歩いていくと、その先に会議机を前にフェイスシェードで顔を覆った人たちが机に座って、なにやら書類のチェックをしています。レポート用に写真を撮りたかったのですが、冷たくも「写真禁止」の張り紙が。撮る人多いんだろうなー。私みたいな好奇心旺盛、かつ知ったかぶりな連中が…。

で、機内でもらった書類は、ここで書くこともできますし、会議机上に書類も新たに積んであるので、ここでもらって書くことができます。おそらく各航空会社に配布するよう依頼してあるけれど、それがきちんとされてなかった場合の二重三重の処置なんでしょうね。それにしてもこういう「点検」が多すぎて、合理的じゃないのが、やっぱり日本の書類文化です。

まず用紙がきちんと書いてあるか確認され、検査番号の紙を渡されます。20名ほどの私たちの相手をするのは2名のスタッフ。まぁ、だから比較的スムーズですね。そこに(おそらく航空会社から提出されたらしい)乗客名簿から作ったのでしょうか、名前を書いたシールをはられ、検査キット(小さな漏斗のような形状のものと試験管みたいなもの、プラスチックの15cmくらいの高さのものです)を渡され、次に進んでききます。

そしてここでもまた用紙の内容の確認。その後、被験者はそれぞれ小さな個人ブースに入ります。これがまるで選挙の時みたいな感じ。検査スタッフからは見えるので、ここで不正を働いてないよう確認するってことなんでしょうが、なかなか笑えます。

そこにそれぞれがこもって検査キットにある試験管のようなものの中に唾液を出すわけですが、試験管の線が書いてあるところまで唾液をためるのが至難の技。結構一苦労。そして噂には聞いていたけど唾液がたくさん出るようにブースの中には梅干しとレモンの写真が本当に貼ってあるのでした(爆)。梅干しの写真とか外国人にみせてもわからないと思うけど…笑える!!! 私が受けていると検査員のスタッフの方もつられて笑っていました。なのでピリピリした感じはないです…というか私が空気を読めないだけかな。スタッフの方はたくさんいるので、「これで大丈夫ですか?」という確認も気軽にできます。

さて、なんとか十分な量の唾液をためると、試験管の下の方に装着されていた蓋状のもので蓋をし、唾液を提出。白衣を来た先生風の人がそれが何本かたまると奥の部屋に持っていっていました。

そのあと被験者はまたさらに奥へ進みます。これがゲイト43、44の目の前。ここは広いひろーーーーい待合エリア。ここで再び問診的なものもあり。またここで再度、用紙の確認。もう何度目でしょうか…「ポーランド」と答えますが、ほんとこのテーブルに行き着くまで自分がどこの国に行っていたのか3、4回同じ質問を聞かれているのでいやになります。まったく非効率な感じ。まぁ、でも現場スタッフは言われた仕事をひたすらやるのみ。外国人からみたらなんて非効率だという印象だろうけど、これが日本のお役所文化(笑)。現場に用紙の内容を改善する権力は与えられていないのでしょうな。まぁ、これから来日する外国人には、この部分とても「Very Japanese」だからイライラしないように伝えておくしかないです…

こう言っちゃなんですが、日本に来日しウチのような小さいプロモーターがLook afterするミュージシャンは下手すると本当の日本の文化に接しないで帰国しちゃうこともあるわけで、そういう意味では良い経験だと思ってもらうしかありません。

それはさておき、そこで席番号票を渡され、その席に座るわけです。ここは、まぁフィジカルディスタンスを取りつつ座って待つことにいなります。これが30〜40分かなぁ。一時評判の悪かった、立たせたまま1時間待ったなどということはなく、椅子が大量にあり(200-300名はゆ座れると思います)、加えて広い広いお手洗い、そして水のボトルも会場後方に大量に用意されています。あとCOCOAの案内とかも。しかしどうせなら帰国者が多いわけなのだから、モニターでも置いてTV流せばいいのに、と思ったりしたのですが、ここはあくまで「検疫」エリアなので厳粛なムードでも醸し出したいということなんでしょうかね。とにかくシーンとしています。

そして検査番号の番号札の番号で呼び出しがかかり、ここで呼ばれた人はゲイト45へ。自分は陽性だから呼ばれるまでに時間がかかるのだろうかと不安になりますが、呼ばれる検査結果の番号はとにかくランダムで、番号順ではなくまったく不規則な感じでした。なので気にする必要はないのかもしれません。

やっとゲイト45で検査結果かな?と思ったら、そんなことはなく、ここでもまた問診。そのあと、上へあがってやっと検査結果にたどり着き2名のスタッフさんから結果を聞くことになります。そしてまた下にさがったり…この先はゲイト45に帰国便の飛行機が到着したケースとまったく一緒ですね。ここからまた中央ビルディングの方までひたすらひたすらひたすら歩く。すごく遠い。人が誰もいない!!!

その後やっといつもの検疫エリアに到着し、インフルが流行ったの時と一緒で靴底消毒&おそらくどっかからサーモで熱をチェックされ、続いてパスポートコントロールという流れでした。ともにガラガラでした。がっらがら…

トータルで1時間半くらいかな? Twitterに様子を報告している人の感じだと、長くても2時間半とかそんな感じのようです。とにかくスタッフが多いわりにデレデレ同じことを確認ばかりしているので、非効率的な印象があとに残ります。その場、その場のスタッフは責任を果たしているのだと思いますが…  この感じはきっと日々の陽性者数の数を数えている担当者たちと同じ状態なんでしょうね。現場は必死で与えられた責任を全うしようと頑張っている。でも…以下自粛。

それにしても私が今回一番興味があったのは、自分のPCRの結果を聞いた時の気持ちです。どんな気持ちになるのかな、と(笑) もちろん結果が出た時は「陰性だ!」と一瞬ほっとしましたが、今日のところは友人の運転する車で優雅に帰宅するも、またどこで罹患するかは誰にもわからず… そもそも検査結果だって70%なわけで、そういう意味ではあまり爽快感はありません。っていうか、PCRが70%なのだったら、書類確認も70%でよくないか、とか思っちゃった。っていうか、こういうのって2度違う人間が確認したら統計的に正確度は何%になるんだっけか。忘れちゃったけど、なんか100%狙ってて、スタッフ多すぎて帰ってミスするみたいな… 。2回確認した段階で正確度は相当高いはずですので、それでいいんじゃないかと思っちゃいました。もちろん頑張っている現場のスタッフの皆さんには申し訳ないけど。

いずれにしても、なかなかできないシュールな体験だったと思うので、皆さんと情報シェアしてみました。

そして一応これから検査を受けた日をゼロとして2週間、おこもり期間を、と声をかけられます。「スーパーやコンビニに行くのはいいですよ」とも。海外なんかだとGPS付けられてどっか行くと罰金という話も聞いていたので、再びここまでの書類検査とのアンバランスさを感じましたね。あ、そうそう、帰宅も自家用車をと言われますが、普通にリムジンバスもスカイライナーも動いているし監視されているわけではないので、ほんとに書類検査と比較するとバランス悪いです。

他に何か書き忘れていることはないかな…  また思いついたらここに書き加えていきますが、皆さんの今後の海外出張の役にたつといいなということで。おつかれ>自分!(笑)

では元気にこのあとはケルト市、そしてヤヌシュたちの来日と頑張りたいと思います。

PS
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