アイリッシュ ・トラッドになっちゃった現代の曲

先日シャロン・シャノンが映画『ローカルヒーロー』のテーマを弾いているのをみて友人が感動しており「あれって、トラッドだったの?!」という話になる。

いや、作曲はマーク・ノップラーなんだけど、シャロンが演奏すると、めっちゃトラッドっぽいよね。(ちなみに同映画の中で頻繁に使われているスコットランドのトラッド「Mist Covered Mountain」も、とても印象的。こちらは完全に伝統曲。これなんかすごくいいでしょ。)

というわけで、アイリッシュ ・トラッドになっちゃった現代の曲をいくつかご紹介しましょう。でもこの言い方、語弊があるな。まぁ、なんというか、アイリッシュ・ミュージシャンたちが演奏すると、すべてアイルランド伝統音楽に聞こえてしまう、ってことかしら。そりゃ、マイケル・マクゴールドリックやブライアン・フィネガンが「伝統音楽のスタイルにのっとって」買いた新曲もたくさんあるけど、そういう意味ではなくってね。

まずなんといっても有名なのはこちらでしょう。同じくシャロンのレパートリーなんだけど 「MUSIC FOR FOUND HARMONIUM」

サイモン・ジェフスが京都で見つけた捨てられたハーモニウムのための音楽。こちらはそれを最初に取り上げたアイルランド伝統音楽バンド:パトリック・ストリートの演奏。パトリック・ストリート、いいバンドだったけど長く続かなかったねー。アンディ・アーヴァイン、ジャッキー・デイリー、ケヴィン・バーク、アーティ・マックギンというオールスターメンバーだったんだけど…。よく若い子つかまえて「そんなにたくさんのバンドやっていると大成しませんよ。ちゃんとバンドを育てないと…」って説教するんだけど、それってもう最近の話ではなく昔からそうなんだよね。これは伝統音楽を演奏する人たちにとっては、もう治らないかもしれない現象かも(笑)


こちらはおそらくそのパトリック・ストリートの演奏を聴いて自分でも取り上げたのであろうシャロン・シャノン。ルナサのリズム隊と演奏してまーす。いいよねー。しっかり自分の味付けになっているところが、さすがシャロン。アコーディオンが軽やかで、パトリック・ストリートの演奏がさらに一歩進んだ感がある。


この曲のオリジナルはもちろんこのバンドなんですが…


ちなみに余談ですが、このペンギンカフェの元メンバーには、時々ポール・ブレイディのバックバンドを勤めているジェニファー、サイモン、イアンさんがいる。こちらはそのOBさんたちで作ったバンドによる同曲の演奏。

 

シャロンといえばファースト・アルバムで取り上げらているフリートウッド・マックもいい。シャロンはこういうところすごくナチュラルかも。ちなみにこの曲やろうよと言ったのは、マネージャーのジョン・ダンフォードだったらしい。


そしてローカル・ヒーローのテーマについては、こちらの彼の演奏も素晴らしい。Tim Edey(2時間15分後くらいから)


なんでも演奏すると自分のものにしっかりとしてしまうミュージシャンたちは本当にすごい。このまま300年くらいが経過したら、この曲はもうアイリッシュトラッドということになってしまうのかもしれない。

昨日山下直子さんによるニューグレンジの講座で壮大な人類の歴史を感じさせる遺跡の紹介のあと最後のご挨拶として「今のパンデミックもおそらく世界史に残る」と直子さんが話されていて、はっとする。そうだよね、ミュージシャンたちも、聴いている私たちも、大きな大きな流れの中の一部なのだ。


PS
そうだ、こんなのもあった…まぁ、ちょっと違うかも、だけど。ジェリーのバンジョーがかっこいい。