早野先生の本、こちらも311までに購入し読み終わり感想をアップしようと思っていたのに、結局今ごろになってしまいましたが、良い本でしのでご紹介します。
言ってみれば、内容はいつだったかの早野先生の東大での最終講義と大きくはかわりありません。あのころ、あの講義に私たちは本当に勇気をもらった。(レポートはこちら)
この本でも何度も言及されていることだけど「アマチュアの心でプロの仕事をする」ということ。そして「楽しそうにやる」ということ。
「楽しそうにやる」ことの重要性… ほんとこれ教えてくれる大人が昔はまったくいなかったよね。これは前述の最終講義でも印象に残ったし、自分もことあるごとに実践できるよう努力している。思えば自分が子供のころ。自分の周りには仕事を楽しそうにしている大人は誰もいなかった。みんながみんな「大変なんだ」「自分で食っていくのは大変だ。自分で食えるようになってから言いたいことを言え」という調子だった。そんなのぜんぜん夢がないよね。でも私の子供時代はそれがデフォルトだった。これからは違う。これから社会に出る皆さんには、ぜひ「仕事って楽しいものなんだ」という自覚を強くもって社会に出てほしいと思う。それが未来を明るくするのだから。
ところで、震災時、twitterで、早野先生が一番もらった質問の多くは「あなたは東京にいますか?」というものだったそうで、それにはちょっと私もドキッとした。でも先生は、それには答えず、でも東京のビールの写真をツイートすることなのでさりげなく自分を表現をしてきた。早野先生みたいにフォロワーが多いとこういうことにも気を使わないといけないし、大変だと思う。そんな時、自分の軸をもつことが重要だということをこの本は説いている。確かに科学者や専門家、政治家の中に「私も私の家族も東京にいます」と直球で答えている人は何人か見かけた。でもそういう土俵には乗るべきではない、ということ。そして自分の「軸」を確固たるするための努力。政治との距離のとり方、自分の土俵はあくまで「科学の場」であるのだから批判も謝罪もすべてはそこでする、ということ。
とにかくありとあらゆる仕事術に、この本に書いてあることは応用できると思う。
あ、そうそう、意外だったのはスズキメソードがここまで大きく早野先生の人生に影響をもたらしていた、ということ。(先生の告知にさそわれてスズキメソードのイベントに行ったことはここにレポートを書きました)
そして、早野先生があまりにも「楽しそう」だから、これは意外だったのだけど、早野先生は自分のやりたいことをビシバシ追求し、ガシガシ進まれてきたのかと思いきや、意外と「流れ流れて」「周りから言われて」みたいなきっかけが多いのにも、ちょっとびっくりした。でもそのたびに(また同じことを書くが)「アマチュアの心でプロの仕事をする」「楽しそうにやる」ここに戻ってくる。そして、それが結果につながり、成功し、次につながる。
いずれにしても科学者が書いた本ということで、敬遠しちゃうかもしれないけど、めちゃくちゃ読みやすい本でした。あっという間に読めちゃうよ。
そして今朝もコロナのあらゆる数値を楽しそうに(というと誤解を受けそうだが)グラフにする先生の姿が私のタイムラインにはあるのであった。
先生が講義で話されていたことが思い出される。「こんなふうに平凡な線を描いてきたグラフがへんな動きを示すことがあるんですよ。ほら、ここ。こういうの見ると「ここには何かあるな」って思えて科学者としては嬉しいんですよ」みたいなことを先生は楽しそうにおっしゃっておられた。自分の立場をかっこたる態度でつらぬき、楽しそうに仕事をする先生は、やっぱり素晴らしい。
私にとっての「ぶれない軸」。前にも書いたけど、自分の好きなアーティストを応援すること。フィンランドのペッテリ・サリオラ。4月20日(火)代官山のライブハウスにて。小さな会場でちんまりやってますが、音と映像は迫力です。TOKYO SCREENINGの第2弾。詳細はここ。マンボウ発令されちゃったけど、感染対策がんばりますので、どうぞよろしくお願いいたします。科学者の方は科学者の役割を。プロモーターはプロモーターの役割を。粛々と(笑)