片野ゆか『北里大学獣医学部 犬部!』読みました これは泣ける、そして笑える 青春…自分にもあったよなぁ! 


映画がとってもよかったので、本も買っちゃいました。『北里大学獣医学部 犬部!』。映画を見た私の感想はここ。 

映画は犬部を立ち上げたカリスマチックな初代リーダーにスポットライトが当てられていたのだけど、こちらでは、その後数年に渡ってのサークル全体に話が続いている。現在進行系な感じだ。後書きにその後の部員たちの様子も書かれていたりする。

そして映画にも登場した印象的なエピソードも、あちこちに出てくる。多頭飼いが破綻してしまった「おっちゃん」とか。いろんな嫌な人たちも。当然ながら本の方は映画よりもうんとリアルに一つ一つのエピソードが沁みてくる。

嫌なやつというのは、あちこちにいるもので、動物をひきとったはいいけど、また責任放棄してしまう無責任な飼い主もいるようだ。涙を飲んで犬部の子たちがせっかくお世話して送り出したというのに。

そして、なんといっても、印象的だったのは、サークルを運営するってこんな感じだったよな…ということだ。自分の大学時代のこともあれこれ思い出す。

いやいや、私は「運営側」にいたわけではないし、無責任な部員だったと思う。私がいたサークルは「アメリカンTOP40愛好会」といって、いわゆる洋楽を聞くサークルだった。具体的にはLP盤を貸しっこしたり、コンサートに一緒に行ったり。合宿なんてのもあったなぁ。

大学時代のこの感じ。なんか分かるよ。いろんなことがあった。今となっては楽しい思い出。でもカリスマチックな先輩たちを尊敬しつつも、自分はあんなふうにはなれないと思ったり…とか自分のことを思い出したりする。

ましてや犬部の場合、社会的な活動をしているわけだから、社会からの視線ということもある。私たちみたいに自分たちが楽しめれば良いサークルというだけではないのだ。

そんな涙と笑いが満載のノンフィクションなわけだけど、私にとっては実は最大のツボ・ポイントはこの編集というか、構成というか、レイアウトだった。

具体的にいうと、これ文庫本だけの話かもしれないけれど、取り上げた犬や猫、そしてうさぎなどの写真が、それぞれの章の最後のページに掲載されているのだが、なぜか写真を見たとたん、なぜだかウワーーーっっと泣けるのだ。

お話部分を読んでいる時は「うわー これは可哀想だなー」「これは大変だ」ななどと感情移入しつつも、まぁ、それで泣きはしない。泣きはしないで、普通に寝転びながら読んでいる。

それがなぜかその章の最終ページを捲ると、主役の動物の写真が出てくる箇所が、数箇所あって、なんかそこで、うわーーーーっっと泣けるのだ。なんでだろ。

特に文章がちょうどページが変わる手前で終わり、めくるとその子がいる…みたいな場所でぐわーーっっと鼻のあたりがツーーーーーーンとしてしまう。

それこそ一人で、そのワンコなりニャンコなりの名前を呼び、声を出して泣いてしまう。「ホワイト、これがホワイトかぁ!」「うわー アズキー」とか。やばいよ、この効果。

皆さんもお気をつけください。泣きつつも「バカだな自分、いい加減にしなさい」と我に帰り、ページをめくるわけなのだが…そうやっているうちにあっという間に読み終わってしまった。

動物たちってすごい。でも動物たちをすごくしているのは人間たちの想像力でもあるのだ。何も語らない動物たちの気持ちや愛情を受け止めて、人間はさらに人間らしくなる。この本は私のそういう可愛くてバカなところを引き出してくれる。いいわ。ちょっと自分が可愛く思えた。

殺処分ゼロを目指して! 皆さん、ぜひこの本、読んでみて。そして映画もぜひ。