資金調達?

北欧のホテルの朝ごはん


先日、高知の皆さん向けにちょっとした講座をやったのだが、参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。聞けば、歴代講座参加人数最高の動員となったようで、担当者にも喜んでいただき嬉しいかぎり。なかなか段取りは難しかったけれど、楽しんでいただけたら幸いです。

さて、そこで事前にいただいた質問の中で圧倒的に多かったのが「資金はどうするのか?」ということ。

うーーーーーーーんん、資金のことは私ではなく銀行に聞いてください、という感じだが、借金経営が嫌いな私の一番最初の資金は自分がフリーランスで立ち上がった時(30歳だった)持っていた100万ほどの自分の貯金、それだけであった。

よく勘違いされるのだがうちは会社ではなく個人自営業です。THE MUSIC PLANTは単なる屋号。会社ではありません。だから資金もなかった。

でも若かったから、その100万は貯金ではなく自分が自由に使えるものと判断し、それを元手にここまでやってくることができた。フリーになったんだし、もう生活不安定だから、この100万は死んでも手放せない…なんて思っていたら、おそらく何もできなかったであろう。本当に良かったと思っている。

今でも積み立てなんちゃら以外は、ほぼ何もしておらず、あとは箸にも棒にもかからない僻地にある実家の親の家(二人ともまだぴんぴんしている)を老後の宛てにしているくらい。うーん、でもそれがあるから心の支えにもなっているのか。ないよりはいいのか…

一方で、私に資金の質問してくる人の中には、大きな薄型テレビ持ってたり、高知だったら車何台も持ってたり、大きな一軒家にご自身のファミリーで住われていたりする人も多かろう。

だから要は価値観の問題じゃないかと私は思ったりもしている。

あとこれは本当にバランスが悪いのだけど、好きなことに執着する人間ほど、そっちに短絡的にお金を使ってしまい、いわゆる資金になるような元手がない。でも好きなことを実現したい人ほど、勉強熱心でこういった講座に参加したりすることもある。一方で、お金をじゃぶじゃぶ普通預金で遊ばせている人間ほどやりたいことがない…と来ている。

まったく世の中、バランスが悪いんだよななぁ。

だからこればっかりは私の方が正しいとか、余裕があるとかとてもじゃないけど言えない。今、こうしてだいぶ大人になり(笑)、財産はないけど事業はある…という状態にまで持ってくることができた。なので、こういう生き方も正解の一つだということだと思うことにしている。

こっちの方が貯金に余裕があるよりも、薄型テレビや大型冷蔵庫を持つよりも、うんと幸せである。

お金に対するものの考え方って、本当に人それぞれで、すごいお金持ちに見える人が日々の生活の維持に苦労しているというケースも多い。特に音楽業界はその傾向が強い。なんか考えちゃう世界だよね、ほんと。

でもって、私の資金に関するポリシーは、自分の貯金以上の事業をしないこと。何かあった時、人に金銭的迷惑をかけるようなことは絶対にしない。そこ一点である。あ、あと人はフルタイムで雇わないこと。責任が出ちゃうからね。それは正解ではない。いつでも自分の責任だけで撤退できるようにしておく、これとっても大事。

もちろん何か事業を起こしたいのであれば、行動をおこしたいのであれば、そこに資金があるとないとでは大きく話が違ってくる。助成金の申請をするのも良いけれど、それにしたって日本においては、こちらがこちらの資金を使うことが前提となってくるのだ。特に100%の助成が出ない日本ではこれは絶対なのだ。

でもこれだけ世の中が悪いと多くの人が保身に回るのもわからないでもない。そこにあるキャッシュを手放したくないのはよくわかるよ。でもさ…

事業は10万しかないなら10万に、100万しかないなら100万でスタートできると私は思う。

10万あれば、例えば地方の小さなカフェで映画上映会とか充分できるよね。日本の配給会社が持っている映画の上映料はだいたい5万+消費税。インディペンデントな映画会社ならもっと安く貸してもらえることもある。(うちの「グリーンランドの夜明け」なんかもお安くしますよ!)

日本のアーティストでそれほど有名ではない人であれば、ハウスコンサートみたいなことも10万だって十分可能だろう。

そうそう、講座の途中で豊田耕三さんが彼らのツアーのからくりをお話ししてくれて、あれは本当によかったのだが、うまく情報が集まれば、例えば他の周辺の県などにアプローチし、ツアーを作り、リスクを分散することだって可能なのだ。

うちのミュージシャンだって週末ぽっこりスケジュールがあいて、せっかく来日したのに何もせずにオフになってしまうことも結構ある。そんな時は、普段の金額よりも安い値段で公演を打つことだって、可能なのだ。

要は相手は超巨大組織で、ガチガチで、相談も話もできない…なんて思い込んでいることに、そもそも間違いがある。相手がどんな人でも、一度公式ホームページなどに連絡をしてみて、ざっくばらんになんでも相談したらいいと思う。(ちなみにうちの連絡先はこれです)

ただ素人が、自分の貯金額以上の何かをまったく新しく始めるのは、私は賛成しない。なぜなら失敗した時に人に迷惑をかけるからだ。

もう20年くらい前だと思うが、私のところに「コンサートを制作したい」という相談を持ちかけてきた女性がいた。彼女は自分が真剣なことを強調するのに「これだけ赤字になっても、これだけは貯金を用意しました」と話していたのをよく覚えている。私は、すごくいいなと思った。真面目で、すごく堅実はプロジェクトだった。

ちなみに私に対して、彼女は何やらコンサル的なものを求めてくれていたのだが、この彼女なら自分でできるだろうと思い、それは辞退した。あの彼女、どうしているのかしら。

素人によくあることなのだが、彼女もたぶんあの一回だけでコンサート事業は続けていないと思う。それでも彼女の人生にとって、自分のやりたいことを一度だけでも実現できたことは生涯の思い出として、今でも彼女の人生を楽しい思い出とともに支えてくれているに違いない。

まぁ、私は運良く女ひとりで、この事業、お金も貸してくれる人がいないから借金もなくここまでやってこれたけど、これからどうなるかはわからない。でもとにかく人に迷惑をかけないようにというのは基本中の基本と思っている。だからこれからも借金はしない。いや、返さなくていいんなら、喜んで受け取るけどさー(爆)

さて今日もがんばります!