宮崎明子『極北の大地の深い夏』を読みました。素晴らしい!


積読本処理週間!! 積読が最近本当にひどい。だいたい本を買う動機は(1)おもしろそう(2)好きな作家だから(3)今後の資料になると思うから(4)この仕事してたら一応読んでおくべきだろう

…みたいな理由であることが多いのだけど、特に(3)と(4)は積読の山に埋もれてしまうことが多い。

これも2016年に買って、全然読めてなかったこの本。積読の山から救出し、やっと読んだ。

北極関係の出版物って、探検家ものか科学者的なものかに分類されると思うんだけど文化的なものや人々について書かれた物がなかなかなくて、あってもいまいちだったりするんだけど、これは気に入った。

というか、素晴らしいです。素晴らしい!

イヌイットを尊敬の目でみつめる著者が素晴らしい。どうやらテレビの取材で現地にいかれて生活をしばらく共にしていたというテレビディレクターさんらしい。私より30歳上だから、今、85歳…か。

イヌイットのアートがちらばめられた装丁も素晴らしい。内側は残念ながらモノクロだけど、著者による写真も掲載。

著者は帰国してすぐこの本を書いたわけでもなく、しばらくたってからどうしても忘れられなくて思い立ってこの本を書いたという。

アザラシを生のまま食べるその感覚や、大地の一部だという感覚…  いろんなことが本を通じて伝わってくる。

彼らの生活は素晴らしいけど、やはり極北での生活は厳しい。自殺も多い。貨幣経済、アルコール、外部からもたらせるいろんなものもある。環境団体による一方的な制約も…。イヌイットの暮らしは本当に大変で、そういう大変さも現地の人へのインタビューなどを通じてこの本には記録されている。

あぁ、いいなぁ、極北の暮らし。自分には無理だとわかっているけれど、憧れる。本当にこんな風に生きられたらどんなにいいか。