和田靜香『選挙活動 ビラ配りからやってみた。香川一区密着日記』を読みました。


映画『香川1区』に引き続き、こちらも拝見。あっという間に読めちゃいました。ご存じ和田靜香さん、『選挙活動 ビラ配りからやってみた。香川1区密着日記』

和田靜香の本をレビューする時にいつも書いていることだけど、しつこいようだけど、ほんとうに文章がうまい。この文章のうまさは天才だと思う。

とにかくテンポ良くがんがん読ませる。今回も2日間のお風呂タイム&寝る前の読書タイムで読めてしまった。あっという間。なんだろう。リズムがいいのかな。

特に選挙からあまり間もなく出版にいたっているところから考えると、あっという間に書いてしまったのもわかる。

高松に乗り込み、選挙前の2週間、現地取材。もっともビッタリ密着するのではなく、割と気ままな感じでのレポートだ。

選挙での理不尽なルールも 郵送で投票ができることなど(2週間もアウェイだと確かに期日前投票もできない)、私もよくわかってなかった。

しかし私も自分のアーティストが日本ツアー中とか、自分の海外出張とかしている中で、毎日レポートを書くことがどんなに大変かわかるので、いや〜実際、このレポートを書くのも大変だったと思う。

ほんとこういう時って、本当に身体中痛くて、睡眠も1分でも惜しいし、本当につらいんだよね。でも現地レポートはリアルタイムでレポートしないと意味がない。それを思うと、本当にパンデミック前の私はよく働いた…とこの本を読みながら、そんな自分を思い出したりした。

ブログを読んでいる人にはわからないだろうけど、本当に本当に大変なんだ。頭はぼっとしてるし、そもそも目の前で起こっていることに集中して楽しみたい…と思いつつもレポートを書かねばいけないあの感じ。

今、パンデミックですっかりだらけた自分に、再びあれができるのかは疑問だけど、特にツアーの場合、昔と違ってチケットは前もって購入されるのではなく「ツアーが始まってからチケットが動く」状態なので、手を抜くわけにはいかない。

そして和田さんよりも遥かに大変なのが、選挙にかける人たち。私の場合は、営利目的の自営業だからしょうがないんだけど…  例えば選挙みたいなものは、もっと「多くの人」、「身体の弱い人」「健康に自信のない人」も参加できるべきであるよなぁという和田さんの話には本当に共感した。

そして例の「本人」「妻です」「娘です」のタスキの話。それにもこんな裏があったのか、とびっくり。こんなの選挙運動が始まってから言われても、いや、終わる直前に言われても困るよね。でも気づいてしまったら、もう手を抜くわけにはいかない。それが選挙なのだ。

みんながみんな「選挙対策本部長になったつもりになる」というのも、妙にうなずいてしまった。それはウチみたいな小さな事業でもある。イベントなんて自分で一つも組み立てたことない人までもが、ありがたいアドバイスをくれる(嫌味です…by 黒のざき)。

ましてや選挙ともなれば、そうだろうなと想像できる。

まぁ、でも確かに私は小川さんの発言をすべてフォローしていないので何が言えたかという感じだけど、小川さんってジェンダー問題については確かに弱いと思う。

和田さんのこの本によれば、四国はなんと女性議員が衆議院ではゼロ! 参議院でやっと1名(ながえ孝子さんだけ)いるだけなのだそうだ。どんだけ遅れてるんだ…

あと平井さんに対しては「思ったより小柄な人だった」のひと言がすべてをまとめている。

しかし先の「選挙対策本部長」話じゃないんだけど、いろんな意見を拾ってこそ、それがチームを強くするんだなとも思った。いろんな人がいれば(チーム内に多様性があれば)いろんなところのプラス面を取り入れ、ベストなチームになれる。そういうことなんだろうなと思う。

とはいえ小川さんも選挙の中枢で働いている人たちも、本当に大変だと思う。余裕も全然ないだろう。しかし、そんなことは小川さんも他の皆さんも納得づくでやっているんだと思う。

それにしてもこの本では、和田さんの感覚が選挙のマグマとちょっと距離があるのがいい。選挙といってもびっちり密着ではなく、ある程度距離がある。疲れた、と言っては電話での選挙運動を早々にリタイヤしたり、一方でビラ配りは楽しくやったり。はたまた楽しくうどん屋をハシゴしたり(笑)

いずれにしても映画を見たあとに、見る前でもぜひ。映画とはまた違う視点でこのお祭り=選挙を見ることができます。