うーん、勉強になった。
なんか最近すっきりしない…生産性ちっともあがってないし、とにかくなぜかいつも追われている感じがする、そんな人のための参考書。この溢れる情報の海を溺れず泳いで生き残っていくためのハンドブック。そんな感じでしょうか。
佐々木さんの本というと料理本2冊の他に『時間とテクノロジー』が面白かったんだけど、あれが結構読むのに時間も体力も必要だったのに比べ、こちらはあっという間に読めてしまうシンプルな本でした。
しかし中味は濃い。実用的で今すぐ実践で使えそうなことばかり書いてある。
本の中味というか本文の装丁が、参考書みたいな装丁で(←写真みたいな感じ)重要なところにはマーキングがされている他、チャートも多い。先日久しぶりにパンデミック下で終日外出する機会があったのだけど、出かけた先や移動中に電車やバスの中で読んでいたら、あっという間に読み終わってしまった。
それにしても佐々木さん同様、フリーで自分の時間はほぼ100%自由になるというありがたい身分の私は普段から好きな時に好きなスタイルで仕事をしているからストレスがない
…のだけど、なぜか最近はどうも情報や仕事に追われている感がある。
一方で、自由というのは危険なもので、もう自分のスタイルが完全に自己流で出来上がってしまっているせいか、業務に大きな支障がないかぎり、何が問題なのかを追求している時間もない。なので、そのまま同じような日が何日も続いてしまう。
これがとっても危険なので、佐々木さんを始めとして、信頼できる人たちの仕事スタイルを知ることは、すっごく重要なのだ。
もちろんすべてがすべてこの本を同じようにする必要はない。ただこういった参考書をもとに自分の仕事スタイルを検証することはとっても大事なんだよ、ということを私は伝えたいのです。
それによって、自分一人では絶対に発掘できないすごいメソッドを短時間で手に入れることができるんだから。
もちろん「この部分については自分はもう自分自身のやり方で出来ているし、それで幸せだよな」という事項もたくさんあるし、それはそれで読みつつもいったん忘れてもいいと思う。
とはいえ、それも永久に同じで良いというはずもなく時代にあわせて常にアップデートしていかなくてはいけないわけで、そういった謙虚な気持ちも大切にしないといけない。だから本当に大変なのだけれど。
例えばこの本に書かれていることのうち、ネット上の情報を取りに行くことについて。それについては私はおそらく問題なくできている…と思う。といっても70点くらいかな? それでも佐々木さんを含め信頼できるジャーナリストさんたちのアカウントはもう何年もフォローしているし…
その方たちのアカウントが炎上したりいろいろあることも知ったうえで、その対応も含めて信頼できる人たちだなと思っているし…。だからこの本を読みつつも「良し、とりあえず自分は大丈夫だな」と再確認する。
「エコーチェンバー」をはじめとし、多くのトラップは本当にあちこちにしかけられている。本当に気をつけなければ…
一方で、私が、今のまったく出来ていない、大きな問題は何?ということになれば、この本で佐々木さんが言っているように集中力が目をみえてどんどん衰えてきてしまっていること。それについて日々自覚しいるのに、同じような毎日が続いてしまっていること。
これはもう否応無しに強く強く実感している。多くの人がそうだろうと思う。
でもまずはパニックにならず、情報や持っているもの、仕事の棚卸しをしてすっきり何が問題なのか測ることが重要なのだわ…とこの本を読みつつ思った。
そして、自分の頭の中の余白というか、机の上を整理するようにメモリーのスペースを整理して自分の思考があれこれ動く場所を確保する必要がある…と。
またさらに一歩進んで、集中力がないー 集中力が落ちてきたーということは、もうあらがえないものとして認め、そんな中でタスクや自分にしかできないことをいかに効率的にこなしていくかということを考るべし、ということも言っている。
タスクがこなしていければ、集中力なんてなくて良いのだ! ふむ。
自分の例をあげれば、まず頭の中にクリアなスペースを作ると言う意味で私が大事にしているのはメモであり書くことだ。机の上に置いている近々のTO DOリストはもちろん、普段使っている仕事のノートには5年以内に実現させるアイディアのページもある。
とにかくそんなふうになんでも書きつけておく。それによって、その案件を頭の中から「はずす」。
スーパーで買ってこないといけない常備する食べ物、調味料なども必ずメモっておく。(時々そのメモを忘れてスーパーに行っちゃうことがあるんだけど)
読んだ本の感想や映画の感想も覚えておく必要はない。なるべくブログにまとめて収納。だからこのブログは自分のため、という要素が大きい。
また机の上のメモと違って、世界にアウトプットすることによって、佐々木さんの言う「自分の血肉にしていく」ということが自分なりに実践できている(といいな、と思っている)。
SNSとの付き合い方も考える。自分はあいかわらずスマホは嫌いな性格だし、自分の時間が邪魔されるのが大嫌いな性格なので、自分が発信したいと思わないかぎりSNSにはリーチしない。
携帯も鳴ってもほとんど取らないし、多くの大事な人たちはそれを知っているので、これはまぁ大丈夫だろう。
ただここでも問題なのは「あ、あの件どうなってたっけ?」「あの件は確かメッセンジャーで返事来てたっけ」と仕事中でもSNSをチェックするはめになり、そのついでにタイムラインに引っ張られて友達が紹介している面白動物動画とかついつい見ちゃうことだ。
仕事中はSNSをシャットアウトし、仕事のことはすべてメールで!!と統一したいところだけど、ミュージシャン相手だとこれがうまくいかない。メールは不得意だけどfb大好きとか、あとメール送っても返事きやしないくせにLINEを送るとすぐ返事が来る、LINE好きの若い子もいる。そっちにあわせないといけない。
いや、でも私なんぞは良い方で、いまだにクライアントの親父から突然かかってくる意味のない電話にへーこらしている人もいるだろう。
うちは幸いにして日本人のクライアントでいきなり私に電話をかけてくる人はいない。が、ミュージシャンという生き物を相手にする時は…(以下自粛)
あと佐々木さんの本を読んで改めて気づいたけど、私のこの追われている感じは集めた情報のクラウド化に乗り遅れたあたりから始まったと思う。
それまでインターネットやコンピューターについては、自分でも中年女の割には世間の常識並みに追いついているという自覚はあったのだが、世の中がクラウド化したタイミングで私は一気に出遅れてしまった。
そして一度出遅れた「知」は、後からキャッチアップすることはとても大変なのだ。
今でもクラウドについては、考え方はなんとなく理解していると言えるけれども、まるで実践がついてきていない。デスクトップの上はもちろん、Dropboxの中も、外付けHDDの中もぐっちゃぐちゃだ。
だから、この本を読んで自分の弱点が整理されたように思う。まずはGoogle Keepくらいは使ってみようか。あー
あと最後に紹介されている15分を1枠として考えていくメソッドは参考になった。ただそれを自分が実践できるかは、まだちょっと迷うところだ。
なぜって私の場合は、集中力…というよりタスクに取り掛かる「やる気スイッチ」なんだよなと自分では考えているから。
自分のことはわかっている(つもりな)ので、いったん始めれば、それなりに集中して仕事が進められるのはわかっている。
わかっているからこそ、ついつい「大丈夫、やればできるんだから」と自分を甘やかし、好きな仕事ばかり先に進めてしまい、嫌いな仕事(請求書作ったりとか、契約書とか)が後回しになってしまうのだ。
いや、でもその点についても佐々木さんは書く。「やる気スイッチ(という言葉は佐々木さんは使っていない)」を入れるために、その仕事案件への飢餓感を演出するためにも、この15分集中法は効果的だと説明しているのだ。うーん、やっぱり試してみる価値あるかも。
それにしても、なんか頭が整理されて落ち着いた(笑)。佐々木さんのおっしゃるとおりで、私も自由にやりたいことをやっているだけなので、ワークライフバランスうんぬんと言われている現代社会において、その点は本当に恵まれている。だから焦る必要はないのだ。
こんなに楽しいのだから、まずは楽しもう。せっかくなんだから、この仕事人生をうんと楽しんでいかないと。そしてまず近々の問題は、その上で、クラウド化を実践し「集中できなーい!?」という焦りから解放されることだ。
よし、3、4月の5週間ツアーも飛んだことだし、この春の目標にしようっと。