人気あんだよなぁ、ニール・ジョーダンの映画『マイケル・コリンズ』。96年の作品だが、アイルランドでこれ以上にヒットした映画は『タイタニック』だけだったそうで(笑)。そのくらい人気の作品ではあります。
日本でも公開され、なんかもう記憶があいまいだけど、私もすでにアイルランドの仕事をしていたから試写会的なところに呼んでいただき、観たんだよね。帰り道、プランクトンの川島恵子さんやムヴィオラの武井みゆきちゃんと感想を話しながら歩いた記憶があり。
でもって、今、ウクライナ情勢を見るにつけ、この最悪の状態をいったいどう収めるのか…ということを考えるにつけ、アイルランドってどうだったけと気になり、再びこの映画が見たくなって、配信で見てみた。
アイルランド独立の歴史は複雑で、いつもいつも勉強しては、すべてを忘れてしまう、本当にこまった自分の脳みそだ…となげきつつ。今は配信で見れるんだから本当に便利だよなぁ。(Amazon / U-Next)
映画を再びみたが、ほんと25年ぶり? アメリカのプロダクション・チーム&配給なせいか、一部史実と異なることがあったり、動員のためにハリウッドの人気女優使ったり、音楽にわかりやすくデイヴィ・スピラーンやシネイド使って美味しいところを持っていかせたり、私としても両手をあげて大好き!?とは、とても言えないのだが…
(よく言われるけど映画で一番決定権を持つのは監督じゃなくてプロデューサーだからね。もちろん有名監督の中には仕事に取り掛かる前に「プロデューサーでも口だしできない」という契約をする人も多いらしい)
…でも中央郵便局のイースター蜂起から、マイケル・コリンズのあの時期までにフォーカスし映画のサイズに短くまとめたのは素晴らしい。当時はあまり好きな映画ではなかったけど、今、見たら結構好きかもとも思った。
最大の魅力は、もちろん主演のリーアム・ニーソン。いやーーー 今見ても可愛すぎるよね。オスカー・シンドラーやったのは、この映画のちょい前?か? とにかくいかにもチャーミングで、熱血ながらも心優しく、とても素敵なアイリッシュの若者を作り上げた。
この映画当時、リーアム・ニーソンはすでに40代だけど、マイケル・コリンズって31歳で亡くなってるんだよ…
本物のマイケル・コリンズもガタイがデカかったようだけれど(身体の大きい男性好き!の私としては萌えポイント)、この喋り方といい、チャーミングで強引ながらも人から愛されてしまうカリスマ性といい、もうマイケル・コリンズそのもの。
ポイント高いわぁ。これだけでも見る価値MAXよね。
その反面、本当に残念ながらジュリア・ロバーツの薄さが目立つ。実際アイルランドでも評判悪かったようで、英語版のwikiにもそう書かれていた。せめてアメリカ人ではなく英国人の誰かを使えなかったものかと思う。
私個人としても、このころはアメリカ嫌いがピークだった時期で、彼女はもっとも嫌いな女優のフォルダに入れられていた。今、見てもどうにもこうにも役作りが薄っぺらすぎる。これ、アイリッシュの女の人ではありえないよね… 。
(ちなみに彼女の最近の作品「ワンダー きみは太陽」は、すごくよかった。めっちゃ良かったのでおすすめです)
それにしても、マイケル・コリンズは結局31歳とかの若さで亡くなったから、本当にヒーローとしてアイルランド人の記憶に残ってる。
政治家としての実績を積む前に亡くなると、必然的にそうなりがちだ。ゲバラしかり、スーチー・パパしかり…妙にカリスマチックなヒーローとして人々をその人を覚えている。
長生きして最後までボロボロになりながらも頑張って仕事してたデヴァレラがちょっと可愛そうではなるのだが…
でも今、ウクライナ情勢を見るにつけ、この最悪の状態をいったいどう収めるのか…ということを考えるにつけ、今、またマイケル・コリンズみたいなヒーローがあらわれんものかと思う。
いや、マイケル・コリンズにだって問題はある。圧倒的な勢力の英国に立ち向かうためとはいえ、テロという手法をアイルランドに根付かせてしまったこと、北を英国にあげてしまったことなど、いろいろいろいろ問題はある。
でも誰がこの時、これ以外の方法を見つけられたのだろうか。
本当のマイケル・コリンズがそう言ったかどうかは別として、リーアム・ニーソンが映画で言ってたように、現実を見て、とにかく戦争を止めなければいけないわけで…
ただもちろんウクライナの未来を決めるのはウクライナの人たちだ。毛布代にしてくれと国連UNCHRに寄付したら素人は、黙って早くこの地獄が終わるようひたすら願うだけだ。
あぁ、もう早くなんとかしてくれ…
アイルランドの政治家たちのスピーチ集。政治家だけじゃなくて、シェイマス・ヒーニーとかイェーツのスピーチも収録。久しぶりにページを広げたら、ページが黄ばんできちゃってた。2007年の本。
ジョン・ヒュームも好きなんだよなぁー
こちらはウェストミンスターでのアハーン首相。
それにしてもウクライナのゼレンスキー大統領といい、真のリーダーの素養って、言葉持ってるかだよなぁ、と思う。加えて人を惹きつけるカリスマ性も。もちろんそういう人たちは、実務能力や調整能力などに欠ける場合や、政治家として未熟なところもあったりするかもしれない。
でもたとえ自分がわからないことがあっても、信頼できる人脈に恵まれていて、きちんとその筋のプロに任せられるような、そういう人。
有事下で、言葉が自分で出ないリーダーじゃ、国が終わるよ。