映画『ゴヤの名画と優しい泥棒』を観ました。これは最高の英国映画!


いやー 面白かった。主人公のキャラが最高。それを支える奥さんも。ジム・ブロードベントってサッチャーの映画で旦那さん役だった人だよね。「ゴヤの名画と優しい泥棒」を観ました。

そしてヘレン・ミレンが、奥さん役。この奥さん。なんかミセス・ドイル(アイルランドの架空の島を舞台としたシット・コム「Father Ted」の人気キャラクター。Father Tedについてはこちらを参照)にしか見えない!?

ミセス・ドイルがすごいのか、ヘレン・ミレンがすごいのか…そういう私の素人感想もあながち間違ってなくて、会話の中でちらっと出てくるんだけど、この奥さんはアイリッシュ系らしいんだわ。

あぁ、もうっっ! どうして貧しい家庭のお母さんって、全世界的に働き者で強くて優しいんだろう!! そしてお掃除大好き。凝った料理とか、そういうんじゃなくて、お掃除ばっかりしてる。そして、英国の場合、とにかくお茶ばっかり入れてる(笑)。ほんと涙でちゃう。

っていうか、この人「クィーン」で、クィーンやってた女優さんなんだよね。すごすぎるよ。振り幅が。

そして編み物をしているところや(あの編み棒の持ち方は英国式なんだろうか)、(おそらく奥さんが編んだ)手作りのティー・コージーや、ブリキでできたケトルとか、ティーカップも高級すぎないけど丁寧に使われていたことがわかる代物だし、いちいち萌えポイントが多いんだ。

まずはこの実際の事件が起きた時、10歳だったというピーター・バラカンさんのインタビューが最高だからぜひ読んでみて。

ピーターさんのいう「Put the kettle on」っていう表現、ほんとうにいい。私はそのフレーズでこの曲を思い出した。

 

 実はこの曲は、もともとアイルランド語のトラッドだったものに、ビルが英語で歌詞をつけたもの。そういやビルもサンダーランド(北イングランド)出身だ。 (このCD、うちはまだ在庫があるので是非。お買い物はこちらへ

そして映画で主人公が収監されるDurham刑務所も、もう響きまくり。おおおっっ、Durhamかぁ!と。そりゃDurhamといえば、英国フォークのファンならばみんな知っているこの名曲。


というわけで、とにかく英国がかっこいい国になる直前の(ピーターさんいわく、60年代が始まる前の)愛すべき可愛い英国、イングランドがいっぱい詰まった映画なのだ。見てないけど、「Always何丁目の夕日」の英国版みたいなものか?

あ、あと英語が響いた箇所として夫婦の喧嘩で「人類のためだ man kind」、「じゃ、うちはどうなるのよー our kind」っていう表現もなるほどなーーと思った。早く配信で出たら購入して何度も見て細部のセリフをチェックして楽しみたいわー 英語の勉強になるし。

ストーリーは割とシンプルだけど、ちょっとしたどんでん返しもあり、そのオチにも、とても幸せな気持ちになってしまう。主人公の、とにかく素晴らしく心を打つ裁判所でのスピーチには涙ぼろぼろ。でもなんというか、全体的には笑える映画なんだよね。

日本人って映画館であんまり笑わないのが本当に残念なんだけど(今はコロナもあるし)、この素敵なイギリス英語の可愛らしい表現にいちいち受けながら大声で笑いながらもう一度見たいわ、と思っちゃった。

っていうか、実際、私も4、5回、声出して笑っちゃったし、きっと英国ではどっかんどっかん最高に受けたんだろうなぁ!! はぁ、いいなぁ!!

まだまだ上映しているみたいなので、ぜひ映画館でどうぞ。

 

なお先日紹介した山田五郎さんのYou Tube番組でもこの映画にからめてゴヤのこの作品を紹介してたので、ぜひご覧ください。面白いですよ。
 
 

あっ、一つだけ不満が(笑)。

パンフレット、表紙のデザインが凝ってて、すごくいい内容。たとえば映画の中で使われている亡くなった娘さんの写真は、本物に忠実に作られているんだって。実際にあの写真はバントン一家のリビングに飾られていた。

当時、ああぃう着色された写真はとても効果で、ドロシー(奥さん)はそれを分割で払わなくてはならないほどだったとか。

…等々、泣ける話満載でパンフを読んでいて感動せずにはいられないんだけど、苦言があるのはヘレン・ミレンがお掃除にいくお屋敷について。

たぶん元の英語の資料が「middle class」って書かれていたからだと想像するのだけど、パンフに「中流家庭」と書いてあって、それが日本語ではどうもしっくりこない。いつも思うのだが、英国のmiddle classは「上流階級」っていう日本語に訳した方がしっくりくると思うんだけどな。英国文化ファンゆえの細かさか?(すみません)

ちなみに英国で言うUpper classは王族とか貴族とかになるらしい。

もうこの二人に萌え萌えだよね…

パンフの表紙を一枚めくると公爵さんが(笑)