86年の中西俊博さんがタイム・マシーンにのってやってくる #toshifumihinata #日向敏文

日向敏文さんのアルバムといえば、だいたいこの方が登場する。ヴァイオリンの中西俊博さん。

ウチの公演にもきてくれたことがあるんですよ… 2017年の5月。もう5年前だ。パトリック・ヌジェのコンサート@北とぴあ。写真を発見!


その中西さん、日向作品ではヴァイオリンの常連さんなのです。今回のレコーディングの風景。中西さんのfbページより。



その中西さんが、今回の新作『Angels in Dystopia - Nocturns and Preludes』にも参加して素敵なヴァイオリンを聞かせてくれています。タイトルは「Little Rascal on A Time Machine」。曲に関する日向さんのコメント:

僕の曲をサンプリングしてくれる人が多いので(笑)、冒頭部分で、僕も自分の曲をサンプリングしてみました。 
30年前の中西さんのヴァイオリンと今の彼の演奏が繋がっています。30年前の彼がタイムマシーンで行き来しているような!

まずこちらは90年のオリジナル。

 

そしてこちらがタイムマシーンに乗ってやってきた中西さんによる「Little Rascal on A Time Machine」


でも、この頭の数小節から新しいものがインスパイアされていくという事で、思い出したエピソードがひとつ。

いつだったかストックホルムに2週間ほど滞在していた時、ヴェーセンのミッケ(ヴィオラ)がロイヤル・アカデミーでの自分の授業に私を招待してくれたのだ。

冬だったから朝8時くらいでもまだ外は真っ暗で、星空の下(笑)電車の駅に向かう。寒い。やっとアカデミーに到着して、なんだかんだで3、4クラス受けた。

当然授業はスウェーデン語でちんぷんかんぷんだったけど、さすが音楽の授業。言葉がわからなくても何が行われているかはわかるものだ。あれはなかなか勉強になった。

中でも面白い授業の一つに、頭のメロディ(4小節くらい?)をミッケが提供し、それにつなげて伝統曲風の曲を作曲するという授業だった。その課題となったメロディ。実際はそのほんとどがヴェーセンの有名曲だった。

だけど生徒さんたちはたいしたもので、するすると別の面白い曲ができあがっていく。さすが曲を作る人たちはこうもクリエイティブなものなのかと感動したものだ。

授業を見せてくれたミッケに感謝。ちなみに私は音楽的素養はまったくございません(笑)だから、できた曲をこれだと聞かせられれば、なるほどと思うのだけど、自分では何聞かされても、何の一音も出てきやしない。

同じモチーフから全く違う曲作っちゃう、日向さんはますますすごいな…

さて、そんなわけで過去の自分の楽曲をサンプリングした、日向さんによる新しいLittle Rascal on a Time Machine。日向さん言葉にもあるように、日向さんの曲は、実は本当に多くのヒップホップやラップのアーティストがサンプリングしているんです。

あぁいう人たちって、ずっと新しい「ネタ」を探してるんですね…きっと。それが古いものであっても、違う国にものであってもまったく構わない。まったく偏見がない。とにかくフラットに何か新しいものを常に探している。

私も最初は、そう言う人たちの音楽を聞くと「うっ」「なんだ、これはー(怒)」「日向さんの曲をこんなにしてー」と怒っていたのですが、聴いていると、不思議な気持ちになってくる。そうか、こういうのも「あり」なんだと。

日向さんの繊細な3拍子の曲を無理やり4拍子にしてしまったり、彼らのやることは本当にすごい。何の躊躇もなく、すでに存在しているものを使って、新しいものをクリエイトしていく。

そのうちこのブログでもそういうおもしろい音楽を紹介していきますが、今日のところはこちらを。日向さんも過去の自分をサンプリングして、タイム・マシーン!(笑)

よかったら、皆さんも聞いてください。本日配信スタート。


Spotify以外のリンクはこちらです〜