角幡さんの新刊来たー いやー もう楽しみだったのですよ。「裸の大地」いよいよ第2部! 先日発売になりました。ちなみに第1部の感想はここ。
そしてウヤミリックの大事なところの怪我は本当に聞くに痛々しいのであった。そして出来上がったムケチン犬ウヤミリック。そして、その怪我によって、彼の意外な才能が明らかになっていく様も…
とにかく犬ぞりは有機的なグループで、常に変化し、更新されていく。それと格闘していく角幡親分。
犬をこころから信じられるようになり、すべてを託すという境位は「自力や自由よりも深いものがあるのではないかと考えるようになった」とも話す。
そして「私にとって、旅は生きている自分を実感するための方途であるだけでなく、作品でもある」と。
うん、うん、いい!!! これぞ角幡ワールド。生きてることは、自分だけに意味のある地図を作ること。そして角幡さんの行動や探検は角幡さんの作品なのだ。こういう他の人から見たら無駄な行為を通じて社会の価値観に揺さぶりをかける。それこそが角幡文学なのだ。
それにしても犬ぞりは危険と隣り合わせだ。おそらく一人と1匹でソリを引いていたころとは段違いの危険だと思われる。
でもって角幡さんは「未来を心配する」ことを振り切れない、みたいなことを言う。食料がなければないで「その時考えればいい」という真のエスキモー(イヌイットとエスキモーはまた違う)の境地にはなかなか達することができない、と…。うーん。
でも人間には生存欲求がある。しっかり計画を立てて未来を読める状態にしておいた上で行動するのは、しかしいってみれば現代人の発想。私もまだこの思考回路で旅をしている、なかなか抜け出せない、みたいなことも言う。
そしてコロナが地球を襲う。角幡さんは浦島状態で、コロナとはまったく関係ない人間社会から離れたところを旅する。そしてパンデミックによって、いろいろ理不尽な目にもあうのだが、それはそれで角幡さんの本質を変えるものではない。
うん、この感じは普通に東京にいて、パンデミックの最中も結構海外に行っていた私も同じだ。今となってはパンデミック中のあれこれも記憶が薄れつつある日々なのだが…。
「自分の旅は、社会的意味とは何も関係ない、完全に私個人の極私的行為だ。それなのに社会の側が勝手に私の行為をからめとり、その意味を語れという」
あぁ、いいなぁ!! これぞ角幡ワールド。
さて、この本は「裸の大地」シリーズの第2部であり、角幡さんの犬ぞり第2、第3シーズンの頭まで網羅されている。でも、今、角幡さんの現在地はすでに第4シーズンを終えている?とかそんな感じなので、まだまだ本が続くだろうということが、とても楽しみだ。
先日のトークでは4まで行っちゃいそうだ、みたいなことも話しておられた。まだまだ書きたいこと、やりたいことがある、そんな感じだ。ファンとしては最高に嬉しい。
ところで、こちらの高野さんが呟いている対談とやらが気になる。何を話されたんだろう。どこかの媒体で公開されるんだろうか。楽しみ!
久しぶりに探検部の後輩である角幡唯介と対談し、その後一杯やった。毎回思うのだけど、彼とはやっていることは全然違うのに、考えていることは不思議なくらい似ているというかよくわかる。とても刺激を受けた。
— 高野秀行 (@daruma1021) July 14, 2023
「『犬橇事始』を読んで、一神教の神がどうしてあんなに無慈悲で厳格なのかわかったよ」という感想には驚いた。そんな読み方ができるのは高野さんしかいない。
— 角幡唯介 (@kakuhatayusuke) July 15, 2023
…高野さんの感想、詳細が聞きたい! 乞う続報!?
すばる掲載の竹沢うるまさんの角幡さん新刊書評に震える。 pic.twitter.com/25JUyfJvZ6
— 野崎洋子 (@mplantyoko) July 15, 2023