今年のベスト映画はたぶんこれ。女の子を応援し、男の子を解放する、すごい映画『バービー』を観ました! #映画バービー

       

いやーーーー 良かった。やっぱりグレタ・ガーウィグの脚本に間違いなし。やっぱり私にとって映画は脚本なのである。『Barbie バービー』見てきました。(ところでGoogleでバービー検索すると画面がピンクになる。気づきましたか?)

抗がん剤治療もあるから、外出は控えていたのだけれど、お盆中の都心は空いているよというツイッターに誘われ、思い切って本当に久しぶりに外出。見てきましたよ、話題の「バービー」。

いろんな感想が飛び交っているけれど、内本順一さんの感想が私の感想に近いかな。内本さんのfacebookでの投稿、公開されているので、ぜひ読んでみて〜

『Barbie』とにかく前半はずっと笑ってた。後半は泣いたり笑ったり、忙しかった。で、『若草物語』に引き続き、私は、なんでグレタの映画がこんなに好きなのかというのをよく考えてみた。


(1)脚本がいい。言葉がいい。
グレタは、私が伝えたい気持ちを言語化してくれる。私が聞きたい言葉を言ってくれる。


(2)演出がいい。テンポがいい。
ダラダラしない。とにかくテンポがいい。無駄な部分が一つもない。あっという間に2時間がすぎる。基本がコメディだから、ちょっと芝居が大きくなりがちなのだけど、それも良し。


(3)出演の俳優、志が一緒なのがわかる。
主演のマーゴット・ロビーがすごくよかった。あとから気づいたのだけど「I, Tonya」(リンクは私の感想文)の彼女だねー あの映画も最高だった。彼女、ルックスもいいけど、同時にガッツがある人なのよ。トーニャの映画も自分でプロデューサーやってた。

いつだったか大好きな女優さんである小林聡美さんが「女優とは待つ仕事だ」とエッセイで書いているのを読んで、なるほどと思いつつも結構なショックを受けたことがある。もちろん人に必要とされ。その期待に丁寧に答えるプロフェッショナルは素晴らしい。

でも、人間は自分がやりたいことを自分でつくり達成した時の喜びの方が大きいと、すでにビック・データが科学的に語っている。

この映画は、グレタの前に、最初トーニャの方が映画化権をゲットしワーナーと話をつけていた。その後トーニャ、もといマーゴットは、これを監督するのはグレタしかいないと…そういう流れなのだ。だから彼女がこの映画の真のプロデューサーなのである。

『若草物語』だってそうだ。あれはシアーシャが「ジョーは私」と自分から立候補した。女優だって待ってない。やりたいことは自分で名乗りをあげる。人のオファーなんて待ってられない。そういう女たちがグレタのもとに集まってくる。みんな、かっこいい。


(3)細部へのこだわりが半端ない
たとえば『高慢と偏見』のミスター・ダーシー(コリン・ファース)を差し込んできたところ、絶妙すぎる。あの1秒くらいで、この映画の制作陣はいったいBBC(チャンネル4だったっけか?)に、いくら払ったのだろう(笑)。1,000ドルくらいか? 

でも、あれはジェーン・オースティンを読みながら、努力しないで、あーだこーだと言いながらミスター・ダーシーをひたすら待っててる女たちへのメッセージなのよ、私には通じたわ!! …と言いつつ、私もコリン・ファースの大ファンです、えへへ。


(4)グレタはおもろい
グレタは絶対に関西人だ。これでもかというほどジョークが仕込んでくる。それが細部に散りばめられ、とにかく楽しい。

英国ではおもろい人は頭がいい人ということで尊敬される。コメディアンの社会的地位が英国では抜群に高いのはそのためだ。しかもみんなオックスブリッジ出てる。アメリカでもそうなのだろうか。グレタは間違いなく頭がいい。


(5)音楽がいい
エンディングのビリー・アイリッシュ…良かったねぇ。沁みたよ。あれで泣いた人も多いだろう。ファウンダーのおばあちゃんとバービーの対話のシーンで流れるオケ曲(だったかな)も良かった。


(6)忖度しない
バービーへの愛を描いていると同時に、暗い部分にも目を背けない。というか、そもそもこの映画はマテル社の提供ながら、圧倒的な男社会の会社(一番下っ端の子以外、役員に名前がないのが痛快である)、それと戦ってきた天才女社長、その女社長の脱税疑惑や、廃盤になった妊婦バービーやまったく売れなかったキャラクターなど、会社の黒歴史もきっちり描く。

忖度しないグレタも容赦ないが、マテル社も心が広い。…というか、ここで厳しいこと言っちゃうけど、実力もないのにおべっかだけでスポンサーを獲得している日本のプロダクションとは違うのよね。


(7)こんなに内容がいいのに、メジャーである
私の偏見なのだが、メジャーなものは大味であるといつも思っている私にとって、こんなにまで素晴らしいものが、同時に大衆的であるということに、ものすごい希望を感じてしまう。

自分の好きなものが社会に受け入れられているという事実は、今いるこの社会が自分にとってもそれほど悪くない場所だという証拠だ。



…とまぁ、今のところグレタ映画の魅力を7点まとめてみた。また思いついたら追加で書いていきます。


とにかく最高だった。この映画は、女の子を応援し、男の子を解放する、すごい作品だと思う。

みんなも早く見てーーー そしてこの映画について一緒に語ろう!


全然関係ありませんが、この映画レビューをチェックしに、このブログに初めて来た方へ。わたしはアイルランドの音楽を広める仕事をしております野崎と申します。

今、この年末に来日する伝統音楽のグループ:ルナサのライブ盤制作のクラウドファンディングをやっています。よかったら、こちらものぞいてください。


あ、そうそう、一つ忘れてた。観にかれる方は、ぜひピンク色の服を着て行ってほしい。私は夏の良い服がなかったので、靴下をピンクにして、スカーフ(吉原真里さんにいただいたレニーカラーの素敵なハワイアン・デザイン)を持っていった。気分あがるよ!


PS
友人が教えてくれたヴォーグの記事。さすがヴォーグ、すごく良い内容。