中川五郎さん『ぼくが歌う場所 フォーク・ソングを追い求めて50年』読みました。感動!

五郎ちゃんと普段は呼んでいるので、五郎ちゃんと呼びたくなってしまう五郎さん(笑)年上の男性を「ちゃん」と呼べるのは、五郎ちゃんくらいかも。あ、松山晋ちゃんがいたか…(爆)

でもしばらく本当にご無沙汰しまっている、でも最近でもウォリス・バードを絶賛するコラムを書いてくださったっけ。その記事はもうWeb上から削除されていて読めないけれど、本当に良いライブレビューだった。

あれからご無沙汰しちゃってるけど、五郎さんのライブのパワーはウォリスのそれとベクトルが似ている。なんか自分をすべて解放するような…そんなパワー。

この本、表紙の写真からしてなんか倉庫みたいなところ(失礼)で、おそらく数少ないお客さんの前で、笑顔で歌う五郎ちゃんだったりして、なんかいいよなぁ。等身大なんだよなぁ。


五郎さんと出会ったのは、90年代の初めの方。最初は音楽ライターとしての五郎さんとお付き合いしていた。メアリー・ブラックの海外取材から始まり、とにかく私がやっているようなマスを狙えないような多くのアーティストが、この世の中に出るのをたくさん手伝ってくださった。本当に感謝だ。

でもって五郎さんが再び歌い始めると知って、ライブに時々行くようにもなった。5、6回は見ていると思う。でも、結局ここのところ疎遠になってしまっている。またライブ行かなくちゃ。五郎さんの歌がまた聞きたいのだ。あの情熱に触れたいのだ。

この本を読むと、歌うことがパフォーマンスすることがどんなに五郎さんにとって重要か、すごくよくわかる。私がよく知っていると思ってた「音楽ライター」としての五郎さんは、あの頃の「いっとき」でしかなかったことも。

帯にある「プロテスト・ソングの極北を目指す」って、本当にそうだなぁ、って思う。五郎さんは、そんなふうにどんどん先に行ってしまう。そんな時、私たち洋楽およびワールドミュージック班(笑)は、ちょっと寂しい。

週末に行われるライブに五郎さんを誘うと、だいたい五郎さんはご自身のライブで地方に行ってしまわれていることが多くて、こちらの公演には来てもらえない。でもこれが五郎さんの幸せなんだろう。本当に骨の髄から旅するフォーク・シンガーなのだ。

この本は、まるで五郎さんのお話をそのまま聞いているようなトーンで、それがすごくよかった。五郎さんの本は何冊か読んだことあるけど、これが一番しっくりくる内容だ。私が持っている五郎さんの印象というか、五郎さんのリアルにすごく重なる。

通販でこの本は買ったので、手にいれた本を開いて2段組ということでびびった。2段組は苦手だ…  でも読み始めたら自分の知っている人だということも手伝い、めちゃくちゃ乗ってしまって、あっという間。2日間で読み終わってしまった。

この本に書いてある細かいことがいちいち響く。五郎さんにライナーノーツを最初の最初に頼んだのはキングの稲垣さん(私も数回お会いしたことがある大先輩)だったという。多くのライター、みんながみんな一番最初に振られたライナーノーツ1号はよく覚えているもんだ。それは「ミシシッピ・ジョン・ハート」の2枚組のベストアルバムだったらしい。キングレコード、私の古巣。やるなぁ。

五郎ちゃんが、沖縄で作ったアルバムも、印象的なジャケットとともに、ものすごく印象に残っている。うーん、懐かしいなぁ。あと「腰まで泥まみれ」とか、「かけるレコードはブルーリバーがいいなぁ(僕の遺書)」など、いろいろ思い出される、そのくらい五郎さんの歌は印象が強い。言葉が強い。なんか一度聴くと覚えちゃうんだよね。


それにしてもあの歌に出てくる「隠し子」騒動はフィンクションだったのか!とちょっと笑ってしまった。五郎さんなら、それもありかなぁ、と思いながら聞いていたから。

その後も五郎さんは福田村のことを歌ったり、一台のリヤカーの歌を歌ったり、帯にあるようにフォークシンガーの極北をひたすら目指しているのであった。ピート・シガーさんの自宅に行った話は、やっぱり胸熱なのだよね。

五郎さんに会ったことがある方も、また五郎さんを知らない方にも、当時のフォークシーンの話とかもとても面白いと思うので、ぜひ。

そしてみんなで五郎さんのライブに行こう! 私も早く仕事引退して、時間ができたら、早くまた見に行かなくちゃと思っている。あの情熱に触れたい。


五郎さんのライブスケジュールはこちら。



五郎さんの故郷でもある関西でルナサが3晩連続ライブを行います。ぜひいらしてください。結構初日はもういっぱい(なんでだろ。月曜日なのに)、2、3日目は余裕があります。すごいこともしこんでいるので、できれば3日とも来てくださいね。東京からも日帰り可能!

詳細はこちら。