コロンビア大出身のイスラエル人の先生よる「シングル」の研究所。学者さんが書いた本って好き。なんか事実がひとつひとつ綺麗に解明されていくような感じがするから。
特に「これ、すごい、開眼!」みたいなネタはなかったものの、自分が普段思っていることが肯定されたようで、色んな意味で気持ちが良い本だった。シングルの人にはおすすめですよ。
私が結婚していないことを心配してくれる友人は多い。メアリーにも、ポールにも「結婚しないのか」と言われたことがある。メアリーは結婚はしなくてもいいからぜひ子供をとよく言われた。ポールには「結婚しないと年取ってから寂しいぞー」と言われたので「結婚してても寂しい時は寂しいよ」と言ったら、向こうは「そりゃそうだ」と黙った。
いや、ほんとすんません、わたし、みんなに心配かけてんだなぁ!
結婚して、幸せで、子供がいてもそこが全然ゴールではない。うちの姪っ子も甥っ子もどうなることやら、だ。子供のころならともかく、自立してくれないと親としては心配というか、下手すりゃ一生食わせてやらないといけない。
うーん、やっぱり私にとって結婚はリスクだなぁ。なんか結婚したら相手のことを一生面倒みてやらないといけなくなる。それは負担だ。自分が面倒見てもらうというのも、居心地が悪くていやだし、結局のところメリットは一つもない。
著者によるとおそらく今は声の小さな少数派のシングルの人たちも、じきに発言力のある多数派になるだろう、と明言している。確かにもうそれは時間の問題だ。
その例で東京ではCall For Democracy住宅政策にデモクラシーをという団体によって、政府に独身者にも公営住宅に入りやすい環境を整えるよう、頑張ってくれる人たちがいるらしい。そういうこともこの本には紹介があった。
それにしてもこの先生、よく調査してる。深澤真紀さんの「草食男子」や、日本の「パラサイトシングル」の紹介もある。
ただし生きていく上で、結婚している方が効率がいいということはある。一人暮らしと四人暮らしを比較すると、ひとりあたり農産物を38%、包装を42%、電気を55%、ガソリンを61%多く一人暮らしの人たちは消費しているんだって。
確かにトイペとか買う時、一人で12ロールも買うのはどうなのかなーといつも思う。シングルはどうしたって大量に物資を消費しがちだ。一方で、市場はシングルのニーズに合わせようとしてくる。
結婚を放棄する人は、教育レベルが高いというのもあるらしい。確かに。そしてまた別の研究によるとTwitterを盛んにつかう人たちは、恋愛関係の相手との衝突をおこしやすく、浮気、別離、離婚などにつながる可能性が高いらしい。というのも、もっと別のライフスタイルがあることを知っているからだ。
また離婚についても、うまくいかなかったら別れればいい…失うものなどないのだから…という考えは正しくないと著者は指摘する。というのも失うものはかなり大きいのだ。
また結婚したことのない高齢シングルの方が、配偶者を失ってシングルになる人たちよりも、一人暮らしに順応できていて寂しくないという研究結果もある。
また幸福な高齢シングルは、人生を振り返って、現在の自分の生活にいたるまでの状況を自分で把握できる能力を持っている、とも。
精神分析によると、自分の人生を振り返ることは、すごく進歩的なのだそうだ。幸せなシングルシニアは、自分の選んだ人生に意味を見出せる人たちなのだ。ナイス、先生!(笑)
また将来は家族やパトーなーというよりもネットワークでつながることが大事だという。確かに。
逆に結婚していながら「欲深く世間から孤立するカップル」というのも存在するそうだ。カップルのつながりが強いあまり友人たちをないがらしろにする。この欲深い結婚は、ますますエスカレートする傾向にもあるらしい。カップル同士で固まってしまい、友人との交流、社会との交流、外出、趣味の活動が薄くなる可能性がある。
シングルとして幸せでいいるためには「結婚している人たちよりも、より多様な人たちに出会い、さらに幅広い活動に参加しているから」ここ重要ポイント。
またベルリンという都市の魅力にも言及がある。確かに今、ヨーロッパのミュージシャン、アーティストたちは便利で比較的物価がやすいベルリンに集まりつつある。ウォリスもそうだし、晩年のスタクラもベルリンに住んでいた。
また脱物質主義的価値観を持つシングルの人たちは、スポーツに参加する確率も多い、とのこと。特にランニングなどのソロスポーツにその傾向が高い。(まるでオイラじゃん!)
いずれにしてもこの先生は、社会に対して、どんどん個人が生きられるように社会を整形していくことが重要だとも提言している。
いいよー!!!
また特に同性婚などで話題になることが多い、パートナーシップ。私が応援したいのは、将来友人同士で住むとかそういうことがあったとしても、一つの家族として生きる可能性も見出せるからだ。この本の先生によると、そういう「シビル・フレンドシップ」をコンセプトを提案している学者さんもいるそうだ。いいねぇ。
なんか最近の悲惨な殺人事件とか、家族同士の割合が多いように思うんだよね。家族同士とか、職場でも閉鎖的な場所とか… そういうところで悲惨な状態に陥りやすいのは事実。
私も親は高齢だけど、二人ともまったく手がかからず、そこは感謝している。別々に暮らしているからこそ距離を持ってうまく付き合えてる。でも一緒に暮らしたら殺人事件起こすタイプかも… と、いつだったか友人に言ったら、爆笑された(笑)
いずれにしても良き研究書でした。