鈴木おさむ『もう明日が待っている』を読みました。なんと感動してしまった! 全然わたしSMAPファンではないのに。

 


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SMAPについては、私はかなり後になるまで全員の名前を覚えられず、よくわかっていなかったのだが、病気になってYou Tubeをぼーーーっと見ている時期には、よく病院のベットでスマスマの番組を見ては楽しませていただいた。

たくさん本を持ち込んだのに、文字は一文字も読めなかった。だからスマスマの動画を見ていた。あれは頭をつかう必要はなく、ただただ楽しかった。

多分イリーガルなアップロードだと思うけど、彼らの動画は結構You Tubeに常にあがっていた。今もそうなのかな…

そのSMAPの冠番組「SMAP X SMAP」の構成をしていた鈴木おさむさんのペンによる、これはSMAPの物語だ。名前はすべて匿名っぽくなっているし、はっきりグループ名なども書いていないけれど、芸能界にうとい私でも、内容はすぐ理解できる。あ、これはこれだな、とか、これはあのことを言っているな、とか。

まずは、すごく興味を惹かれたのは、この本にたびたび出てくるイイジマサン。彼女のすごいマネージャーぶりには感動すら覚えた。ブレない、かっこいい人だと、この本では表現されている。

もっともとある人の話によると、喜多川 擴の姪のジュリーと、この飯島さんは性格がとても似ているのだという話を聞いたこともあるし、こんな私でも業界仲間から聞くジャニーズの裏話には、ことかかない。

実際はどうなんだろうとも思うが、頭がよくてブレないというのも、これまた彼女の本当の姿の一つの側面なのだろうと思う。それに頭がよくなくちゃ、こんなグループとは付き合いきれない。

まぁ、実際のところはこの本を読んだところで、よくわからないのだが、それでもすごいと思う。ところどころ出てくる彼女の発言には感動すら覚える。

著者の鈴木おさむさんは、それこそネットで動画などでインタビューを拝見し、文春の連載を読んだりして、なんとなく信頼できる人なのかなぁと思ったりもする。

その鈴木さんに何度も「僕が一番尊敬する人」と言われても、やっぱりジャニーズの闇については自分なりの考えがあって、まっすぐに信頼する気にはとてもなれない。

そうそう、あとこの本。ひたすら改行が多い(笑)。なぜかこういう大量に売る本は、改行が多いのか? 前にもあったよな。改行ばっかりの本。そうそう、夢枕獏の小説だ。

ページを捲るペースが、どう考えても早すぎる。改行が多いから当然本に詰まっている絶対文字数が少ない。紙の無駄なんじゃないかと思ったりもするのだが、どうなんでしょう。とにかく外出する日に1日外で読んでたら、それで終わってしまった。短い。

とはいえ、鈴木おさむさんの文章は、すごく面白い。鈴木さん、リーダーと、タクヤと同じ歳なのだという。そこもいいよね。

それにしても、うちのバンドですら一緒に仕事していると「この人、すごい」と震える時がたびたびあるのだが、鈴木さんの場合は、その相手がSMAPなんだもん、すごいのは簡単に想像できる。

そのSMAPに鈴木さんも全力で伴走してきた、すごい年月。そしてTVってひたすら数字なんだなと改めて感動する。たとえばレニー・クラヴィッツの登場をタクヤは喜んだが、数字は撃沈だったと言うエピソードにちょっと笑ったり…

でもそんなふうにひたすら数字と戦い、すごいプレッシャーの中、仲間たちと突っ走ってきたスマップと鈴木さん。そりゃあ仲間だよな。近くなるわな。

あくまで男の世界だけど、その男の友情にはやっぱり涙が出る。

まず森くんが脱退するシーンには私ですら泣いた。あとキムタクの結婚発表の時の話もすごいなと思った。仲間ってそうだよな、と思う。同じ仕事をする仲間。

タクヤが、ファンの前で一人話す時に反対したメンバーたち。でもツヨシの「タクヤの好きにしたらいい」と言う発言でぐるっと状況はかわったこと。そして「僕らが幕の後で控えているから、何かあったら出ていくから」という彼の発言にちょっと感動した。

(「水曜どうでしょう」の藤村Dのベトナムでの「ずっと見てるぞ」ってのにも通じる。そう友達はそうやって自分のことを見ててくれている)

そして福島の話も感動だった。「この仕事をしてきて本当によかった」とシンゴくんが言ったのを聞いた鈴木おさむさんは、涙が出たという。ほんと、それって素敵なことだよね。ここに嘘は全然ないと思う。素晴らしいと思う。

しかしそのスマップもついに力尽きる。みんなが全力で守ってきた「SMAP」の旗。それを「ソウギョウケ」による、理不尽な「今、僕らはここに立ててます」…そしてグループは解散となる。

まったく、ありえない! これについてはジャニーズファンの人たちはどう思っているんだろう。私だったら、絶対に許せないのだけれど。

SMAPがいなくなって、鈴木さんやスタッフの仕事に対する心の緊張が途絶えてしまうのもよく理解できる。

よく仕事仲間は友達じゃないというけれど、仕事仲間は仲間だよ。だって同じ価値観をシェアしてなかったら、一緒に仕事なんてできないよ。遊びは単に楽しいだけだけど、仕事は生活もかかっていることだからね。私は仕事仲間は本当の仲間だと思う。そういう私も普通の友達よりも仕事仲間の方が圧倒的に多いし、仕事仲間の方が好きだったりもする。

とにかくよく知らないけれど、新しい地図の3人には頑張ってほしいなと常に思う。リーダーと、タクヤについては、今でもよくわからない。

でもって、とはいえ。とはいえ彼らに必要以上に同情する必要はない。確かに彼らには自分の自由がなかったわけだけど、でも同時にお金や何やら良いことも享受してきたわけで、それによって、多くの才能ある人が周りで潰され消されてきたのは、すでに報道されているとおりなのだから。(私もリアルな体験を本人から聞いたことは何度もある。それにすいては前にこのブログに書いた。リンクははらないけど)

ジャニーズ、ほんとに怖い。でもそのみんなが怖がっているその相手は、誰よりも世間知らずで記者会見にも誠実に対応もできない、脇も甘々のナイーブな人たちだったということだ。

よく考えれば、タレントも子供のうちからこの世界にいて、この世界しか知らない人たちなのだというのをあらためて思う。でもSMAPの5人が、全力がで頑張ってきたのは圧倒的な事実。だ。そんな姿がこの本には刻まれていて、それを思うと、ちょっと泣ける。

あ、そうそう、あの「5人旅」の裏話も面白かったよなぁ。こういうハプニング的な番組作りって、スタッフとの絶妙な信頼関係がなかったら無理なわけで、本に説明されているこの番組の秘話はなかなかに感動させてくれた。

これ、ちょっと先日KOTOBAで読んだ「水曜どうでしょう」の嬉野さんのエッセイにも似ている。「丸投げ」の三角関係。そして自分を譲れない人たちが、それでもお互いを信頼し、一緒にベストなものを作っていこうと最大限の努力をするということ。

あぁ、いいなぁ、仲間って。いいなぁ、仕事って。

なんかあらためて鈴木さんが引退するというのもよくわかった気がした。こんな人生におけるスパーク、もうやってこないだろう。この感じは非常によくわかる。

私も自分にとって、ルナサやマーティン・ヘイズ、そしてヴェーセン以上のバンドが出てくるなら、今の仕事を続けると思う。だけど、おそらくそれは無理なんだよね。もちろんすべてをぶっ飛ばすようなアーティストが私の目の前にあらわれたら、私も考えるかもしれないが、たぶんそれはもう二度と起こらないミラクルなのだと思う。

でももう終わった。もう終わったというこの感じは、自分が一番よく理解している。

ちなみにこの本の印税は能登のチャリティにするというのだから、やっぱりさすがだと思う。

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