鈴木おさむ『最後のテレビ論』を読みました。これは面白い。刺激的な一冊でした!

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そもそも私が鈴木おさむさんの文章に注目したのは、週刊文春の連載を読んでから。文春を読んでこの人の書く文章、めっちゃ面白いと思ったのがきっかけ。上は特に心に残ったので、写メまでした週刊文春掲載のもの。

先日感想文を書いた『もう明日が待っている』の私のつたない感想文もツイートしてくれて、なんか感動。著者の人と直接つながることができるTwitterはやっぱり楽しい。本読みには嬉しい時代になったもんだ。

私が文春でリアルタイムで読んだのは「木村拓哉の熱湯風呂」の回とか、鶴瓶さんのマネージャーさんを紹介した「タレントに汗をかかせる」という回…  とにかく鶴瓶さんの回にはいたく感動した。このネタで自分の考えでブログ一本書こうと思ってたくらいだ。鈴木さんの文章は、上沼恵美子さんの悩み相談とともに私が文春を買う動機の一つとなった。

特にこれ。(写真まで撮っておいた)

この「マネジメントというのは、タレントを守ることも仕事だが、
面倒くさいことをさせるのも大事な仕事だと思う」

というのにグッと来てしまった。

私もコンサートの制作などを音楽業界の片隅みでやっていく中で、音楽についてはアーティストに口を出さないようにしている。というか、出せないよね。

時々「MCが長い」「セットが長い。コンサートは短めが基本」「今日の会場はドリンク売りたいから、休憩入れて二部にして」とか、言うことはあるのだが。

以前別のプロモーターさんと一緒に仕事をしていて、びっくりしてしまったのだが、その人は自分がヴァイオリンを弾けるのをいいことにエンディングをこうしたらいいんじゃないかとミュージジシャンに提案していた。脇で聴いていても汗が出る…  

どうしたらそんな発言ができるのか不思議だ。例え、万が一その指摘が正しかったとしても、音楽とは表現活動なのだ。人の表現活動に他人が何か言うなんて、もってのほか。好きか嫌いか、それだけでいい。そして嫌いなら離れればいいだけの話だ。

というか、その人はそもそもプロモーターとして、そのアーティストの音楽の才能に見合うくらいの仕事をしているのか?と思う。そんなことをアーティストにいうプロモーターは「チケットの発売日はこうした方がいい」「お前のマーケティングは間違っている」とか言うミュージシャンの言葉があった場合、従うのか?と思う。

話がずれた。

でも、ここに書いてあるとおり。アーティストのイエスマンになり、自分の好きなことだけをやらせていたらアーティストは前進しない。ぬくぬくとその場にとどまってしまうだろう。もちろんほおっておいてもチャレンジングが好きなアーティストもいる、(そういうアーティストはアーティストで手綱を握っていかないといけないこともある)

しかし、とにかくすべてはこの広い社会と(マーケットとも言うけど、それだと意味が狭くなっちゃうな)、そのアーティスト本人がいかに上手くやっていけるか、それをどう手伝えるかに尽きると思うんだよね。それがマネジメント。

よく自信のないマネージャーだと「囲っちゃう」「守っちゃう」タイプの人が多いけど、本来マネージャーとはそれではいけないのだ。

そういった普段自分が考えていることと共鳴する箇所もあったし、この本に書かれている「おもしろいことを考える若者」と「ハンコを押す大人」の話も面白かった。

他にも「自分が動かないと景色は変わらない」「勇気を出して、動いて景色を変えよう」とか、勇気をもらえる言葉も多い。いいなあ、鈴木さん。

あと面白かったのは「高倉健さん」のエピソード。健さんはマネージャーがおらず、弁護士的な人がついているだけなんだって。すごいね。そして打ち合わせ時に、本当に「自分は…」って言うんだ、健さん…と感動する荒井プロデューサー(笑)の話。 

この荒井さんがすごい。健さんに手書きの手紙を50通書いて健さんの出演OKをもらった。そして、とにかく健さんが素晴らしい。最初から最後までスターなんだそうだ。他人がやらない努力を積み重ねる。そして相手が「本物」ならば、その努力はきっと届くと鈴木さんは結ぶ。いいねぇー。

他にも「電波少年」の土屋プロデューサーのすごい話とか、浜崎あゆみって、すごいなぁ、とか、あれこれ思った。浜崎さんと言うとヤンキーのアイドルで、私はなんとも思っていなかったのだけど、このドラマ『M』の流れはさすがである。

時々政治家や有名人、著名人がバカな発言をしたり、脇が本当に甘かったり、この人、頭悪いんじゃないの?とか思うことが多い昨今だけど、大物は嫌なやつでも才能ないのに売れてる奴ても「さすが大物」と思わせる凄さがあってほしいじゃん。自分の好き・嫌いはいいからさ。

そして「世界にひとつだけの花」の誕生秘話。あの歌がどうなのか感想ははしょるが、生まれた経緯がすごい。

ヒットってすごい。例えばうちの妹の息子(甥)は、小さいころなかなかしゃべることができず親戚一同、結構心の中でみんな心配していた。その妹が、息子に向かって「世界にひとつだけの花」を歌って聴かせていたのを見て、ヒットってこういうことかと、ちょっと私ですら嫉妬を覚えた。

ヒットを出した歌や、有名俳優さんたち、羨ましいよね。知らない人でも一応「すごい」って喜ぶもん。ヒットなんて普段羨ましいと思わないけど、被災地とかに慰問に行ったりして、喜ばれているのを見ると、本当にうらやましくなってしまう。

またまた話がそれた。

いずれにしてもこの本、私的には他に読んだ2冊よりこれが一番リアルだったし、面白かった。

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