昨年の山口洋先輩の「ようこそ先輩」(笑)風の授業に引き続き、今年はなんと! 本物の先生:吉原真里さんの登場です。そして、さすがというか、なんというか、いやー 最高に引き込まれました。
まずは吉原さんが自己紹介を兼ねて、ご自身の話からスタート。
小学5年生の時、「親の仕事の都合」でアメリカにわたり、言葉がまったくわからない中、「このクラスで一番バカなのはわたしだ…」と絶望を感じながらも必死で語学習得を頑張った話をされたのですが、そんなふうに「絶望」を感じた人いますか?という吉原さんの振りから、ディスカッション風の授業が始まりました。
今回机をとっぱらって、丸く輪になって座ったのが良かったみたい。なんか大学のゼミとか、海外の学校みたいな感じだった。
生徒さんたちも共感してうなずいたり「私の場合はこうだった」等々、それぞれの経験を語ってくれたり。皆さん積極的に発言してくれて、すごく盛り上がったと思います。
っていうか、海外から戻ってきた子たちにも、こんなにも多くのパターンがあるんだ、と私自身もいろいろ目鱗でした。
今回30人弱の生徒さんだったのですが、3名除いて全員女の子! そしてほとんどがいわゆる「帰国生」。この「帰国生」という言葉も、アイデンティティの押し付け(とまでは言わないけれど)のようで、よーく考えるといろいろ違和感が湧きますよね。
『不機嫌な英語たち』にも出てきたアメリカの学校に通っている間でも日本から郵送されてくる「通信教育」の白いツルツルの封筒。それがいやがおうにでも「しばらくしたら私たちは帰国する」「帰属しているのはあくまで日本」という押し付けにも似た空気を感じさせた、と吉原さん。
確かに移民してくる人たちと、いずれは帰国すれであろう自分には大きな違いがあった、と。
日系3世で日本語がまるでしゃべれないのにマリの面倒見係になってしまったミカ・ミヤモトや、英語の習得がマリよりも遅かったマチコちゃん、日本からのいかにも垢抜けなかったジャージを着た留学生の子たち。そしてお母さんとのスーパーマーケットでの喧嘩など、参加された生徒さんたちも似たような体験をされたことがあるようでした。
一方で、まるでそういった状況をナチュラルに現状を受けている子もいたりして…。ということは、もしかしたら「帰国生」を取り巻く環境は吉原さんの時代より少しは良くなっているのかも、とも思いました。そう思いたいですよね。
そもそもこの学校ができたのが78年。まさに『不機嫌な英語たち』のマリがアメリカに渡ったのもその辺です。つまりその頃から駐在員の子供を受け入れる学校の必要性が出てきたんでしょう。
それにしてもすごい面白かったし、吉原先生をお連れした私も鼻高々!
そして、その吉原先生は、明後日にこちらが発売になります。「世界」の7月号。なんと水村美苗さんの対談ですよ! 夢の師弟対談。(しかしなんでここでも「妹」ではなく「弟」なんだろう…)
私はこちらの対談は立ち会わなかったので、今から読むのがめっちゃ楽しみ。どんなお話だったんだろう。(Amazonのリンクはこちら)
★
というわけで、本日素敵な授業をしてくれた吉原真里先生の著作『親愛なるレニー』をみなさんに強烈にご紹介したくTHE MUSIC PLANT初の「本」のイベントとあいなりました。
北とぴあ音楽と本祭 第1弾は『親愛なるレニー バーンスタインと戦後日本の物語』吉原真里さんの講演、広上淳一先生との対談、若手ミュージシャンによるミニコンサートの他に、ホワイエには音楽の本が大集合。http://www.mplant.com/lenny
スコットランドのトリオLAUが10月再来日。詳細はこちら。http://www.mplant.com/lau/
今年は春のケルト市はありません。秋のケルト市は豊洲にて10月に行う予定。7月1日発表。
THE MUSIC PLANTでは本屋も運営しております(神保町&渋谷)。よかったらのぞいてくださいね。時々店長業務もやってます。http://www.mplant.com/index.html#book
THE MUSIC PLANTではアイルランド音楽名盤ガイドをリリースしております。第1弾 Paul Brady、第2弾 Mary Black、そして第3弾は10月発売。すでに制作が始まっております。www.mplant.com/books/