映画『I LIKE MOVIES』を見た。うわーーこれは最高!!! なんでノーマークだったかな…

いやーーーーー これは最高です!!! 最高! 見たのは実はお正月明けてからだったんだけど、今年のNO.1早くも決定? いや、早すぎ?

この映画ノーマークだったんですが、たまたま町山さんのラジオを聞いて、俄然興味がわき、行ってきました。よ、良かった、見逃さなくて。

まぁ、そもそもこのビジュアル良くない? 映画おたくの映画だって、速攻でわかるよね。下手に日本語タイトルつけないのも潔い。だって、I LIKE MOVIESだったら、中学校出てれば、みんな理解できる英語なんだもの。


それにしてもこの映画、見逃さなくて良かった。日々ちゃんと映画は面白そうなものはしっかりチェックできていると思っていたのだけど、全然これ私のネットワークでひっかかってこなかったよ。危ない、見逃すところだった。

でも町山さんのラジオでの解説を聞いて、俄然興味が湧いた。実は『ALMOST FAMOUS』とか、『レディ・バード』とか青春の痛い映画、わたし、大好きなんだよね。

自分自身が相当痛いティーン時代を送ってきたことが理由からもしれない。いやーーー 痛い。痛いんだこの子。そして、私の中の何かも痛い。ほんとに何も分かってない。高校生ってどうして自分が世界の中心なんだろ? 私も高校生の時はそうだった。

っていうか、大学の時も、今もまだまだそうかもしれない。とにかく自分が世界の中心。そんなオタクの少年が主人公。

監督・脚本はカナダ人のチャンドラー・レヴァックという人で、彼女の自伝的物語だという。そこは『レディ・バード』に似ているのだけれど、自分=女性の話を男性に書き換えたのが、この作品の強みだと思う。

『レディ・バード』にものすごく似てるけど、『レディ・バード』より良かったかもしれない。それは、そこが理由だと思う。この監督、女性監督は女性のことしか描けない…というハードルにトライしたかったのだそうだ。すごくないか?

加えて、特に自分が映画の勉強をし、経験を積む中で「映画やポップカルチャーを盾に女性を人間とし見ないタイプの男性たち」をたくさん見てきた。彼女はこの作品を作ることで、そんな彼らを理解しようともしている。ますます、すごい。いや、参りました!

そして、なんといってもセリフがいい!! そして、いつもここに書くことだけど、いい映画は本がいい! セリフがいいのはグレタ・ガーウィクと一緒だなぁ。グレタも私が言いたいことをいつも言語化してくれる。彼女もすごいけど、このチャンドラー監督も素晴らしい。

一言一言が、とにかくよく書けてる。あーそれ、それ、それなのよ!と彼女の書くセリフすべてに共感マックス。

主人公と奇妙な友情を構築していくビデオ屋の店長がとても良い。最高だったのは、店長がイライラしながらも主人公を怒りまくり、そのあげく「なんで私はあんたに気に入られようとしてるのよ」という自分に対するイライラを嘆くこと。あそこ良かった! 

あそこは共感したよなぁ。あれってなんなんだろうね。自分がもっとも嫌いなやつ、それでも、そいつらからも認められたいと思ってしまう、あの感覚。こいつらなんていらない、と切り捨てられない、あのモヤモヤ。

あれ一体なんなんだろう、こんな何も持ってないやつ、未来以外に何ひとつ持ってないやつに何を言われても関係ないじゃないね。なんでそうやって、一掃できないんだろ。何やってんだろ、自分って(笑)。

あのイライラはわかるなぁ!!

でも彼女は上司として、主人公の才能を見抜き、また主人公の提案だった「推し棚」を採用してくれるなど、この二人の間には不思議な信頼関係が作られていく。

最後の最後にどんな映画を好きいなのと主人公に答えて、まっすぐと答える店長(いや、元店長になるわけだが)のあの演技も良かった。

それにしても主人公、私にそっくり!! 会社の推しものを「くだらない」と言って推せないあの感じ。キングレコードにいた時の私だよ。アーティストの皆さんがどんなに心を込めて音楽を作っていたか。私は全然わかっていなかった。会社の一押しなんて、本当に大嫌いだった。

主人公は悲しい過去を抱えパニック障害とも戦っている。「ルームメイトが自殺した」という店長の話に必要以上に反応する主人公の表情がいい。あ、あのショット良かったなぁ。あの表情素晴らしかったなと今でも思い出せる。

でも悲しい過去があるからといって、恵まれていないからといって、それで周りに甘えてはいけない。それによって、周りに甘やかされ、ダメ人間になってしまった人も何人も知っている。

この主人公は、ちょっとしたきっかけで、バイト先で致命的なミスを犯し、せっかく採用されたビデオ屋はクビになってしまう。

でも、すごいね。彼は成長していくんだ。そこが「未来ある子」の強いとこ。それはもうとことん傷つきながら。その過程が、本当に良く描かれている。さすがだ、監督!!

俳優陣はいやこれまた全員最高だけど、この主人公の彼はラッパーだそうだ。そのせいかセリフのテンポも最高にいいんだよね。歩き方とか、確かにちょっとラッパーかも(笑)

親友役の俳優さんは、もうキャリアもある子で、主役のオーディションに来た一人だったらしい。この子もいい味出してる。優しさがじわじわ来るような、素敵で繊細な子だ。

でも、いや、やっぱり脚本なんだよな。脚本の力。いい脚本の映画は、本当に最高だ。90分という時間も最高で、あっという間に終わってしまった。

いやーいいもんみた。監督、次の作品、期待しているよーー。カナダのグレタといってしまったら申し訳ないけど、今後の作品にも注目していきたい。



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