まだまだブックレビューがたまっています。
はい。この大ヒット本、小川さんとの新しい対話を追加して文庫化された。追加されたところだけを読むために買ったんだけど、結局また最初から読み始めてしまった。いや、ほんとによくできた本だ。っていうか、すごく時間かけて書いてる、というか、勉強しているというか。
そして和田さんはいつも自分の言葉で書く。そこが本当に素晴らしい。まだ読んだことない人は、今からでもぜひぜひ読んだらいいと思う。これは傑作ですよ。
3年前に発表になったいた部分については、過去ブログを参考にしていただくとして、3年後に新たにこの本に追加されたテーマは「戦争を起こさないために」。
そう、今の日本の事態はそのくらい切迫している。そして小川さんの回答がやっぱり良いよなぁ、と感心した。
が、が、が…この本に書かれているのは、それだけではない。その最後のテーマのための対談を始める前の小川さんと著者の「緊張」「一触即発」の事態。そこが、なんとまぁ赤裸々に書かれている。
なるほどねぇ…著者の和田さんをリアルに知る私としては、なんとなく想像できる(笑)。
でも、こうやって対話をしながら、進んでいくのがリアルで良いと思った。確かに例の「妻です」「娘です」のタスキ問題。選挙の終盤に来てそれはないわな、と、映画の中でも、ざわっとしたよね。でも、まぁ、それを突き進んでいくのが和田さんなのだ、と。
だが、小川さん陣営は実際ギリギリの場所で必死に頑張っている。そこに外部の人から気楽に言われたのだから、たまらない。
こういうのは私の仕事のレベルですら、起こりうる。とくに音楽の仕事は世間様からは簡単なものだと思われているのか、クソバイス(失礼!)は本当にたくさんもらう。もちろん同業者や先輩方のアドバイスはありがたく拝聴する。でも、何も知らない人からもよくもらうのだ、クソバイスを! なんでだろう。
簡単にやっているように見えるんだろうな、この仕事。普通、自分とは違う環境のオフィスで仕事してるにクソバイスしないよね…
それに、いくら業界の尊敬する先輩からもらうアドバイスだって、こっちの事情を100%知っているのは自分しかいないわけで、そういったいろんな事情も知らないくせに…ということも、たくさんあるのだから、やっぱりたまらない。
というわけで、いろいろ考えちゃうよね。そういうこともあって、私も最近ではあまり人のやっていることに対しては、その人の方向性を励ます以外、あーだこーだ言わないようにしている。
それはそれで、逆に冷たい人間なのかもしれないのだけれど。でもこの人なら大丈夫だろう、という自分からのその人に対する信頼の証でもある。この人は大丈夫なのだから、私のクソバイスなど、必要ないであろう、と。
でもって、ほんと余裕のない時は、人のアドバイスを笑って受け流せない自分がいるのも事実なのだ。もちろんたまに「はっ」とするような良いアドバイスをくれる人もいる。
でもそれにしたって、こちらからアドバイスを求めた時に限るわな…。聞いてもいないのに、アドバイスされればやっぱりムッとくることの方が多い。
いや、ありがたいんですよ。ありがたいの。でもそれを笑って聞きながせない自分がいる。人間が小さいんだよな。それは小川さんも分かっている。自分で分かっていてどうしようもないから、やっぱり悲しくなるんだろう。
でも実際、なんにおいても、特にプロデューサーという立場であれば、どんなことでも笑って受け流すくらいの度量がないとやっていられない…のであるのだが。
多くを経験しているはずである業界の先輩でも、自分でリスクをとって行動している人と、そうでない人はやっぱり明確に分かれる。年上の人にクソバイスされると、やっぱり「この人、自分でリスク取る仕事してないしな」とか思っちゃう。そういう時は、真っ黒のざき降臨(笑)。
でも、小川さんは偉いよ。その後の小川さんの真摯な態度もいいね。和田さんが文庫に残した言葉もわかるから、私はどちらもわかる(と思っている)だけに、きっぱりとジャッジは下せないのだけど、私はこの二人の関係は良いと思った。
うまく言えないのだけど、結局結論は、対話を止めないこと。それに尽きる、ということだ。
最後に和田さんもちゃんと後書きで「市民と国会議員のさだめ」と自分と小川さんのことを分析し、お礼も述べている。うん、いいよ、とってもいいよ。
小川さんは良い政治家だと思う。映画でもそう思った。ただやっぱり「そんなんじゃ総理大臣にはなれない」とも思ったのも事実で…。
しかし大人になって、昔より多少賢くなったのかしらと思いたいけど、結局生きている限りは勉強なんだなとも思った。結局生き方は誰でも間違うわけで、誰でも、年齢が幾つになっても常に勉強、そして試行錯誤の繰り返しだ。人生、ちっとも楽にならない。でも楽になったとたん、きっと成長も止まる。
きっとそういうことだと思う。そう思える人は、成長できる。もう年とったし、成長はいいよと思うのだけど、社会参加している限り、そういうわけにはいかない。
昨日のブログにも書いたけど、年取っても素敵な人ってどういう人だろうと自分の周りを見渡す。そういう人たちも、こんなふうに悩んでいるのだろうか。
何が起こったかはここには詳しく書かない。ただ知りたい人は、この文庫版をぜひ読んでほしい。
だから私は二人とも応援する。これが民主主義なのだから。頑張れ、和田さん、頑張れ、小川さん。そして、ぜひこの本の、ぜひ第2弾も企画してほしい。
あ、そうそう、この文庫編、松尾潔さんが解説を書いておられて、松尾さんの視線がとっても優しくて、心があったかくなった。松尾さん、今回の山下達郎の件においても思ったけど、本当に優しくて素敵な人だ。こういうまっとうな方が音楽業界にいらっしゃるというのは、それだけでとっても嬉しい。
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