高野秀行「ワセダ三畳青春期」読みましたー めっちゃ面白い!

信じられないが一気読み。昨晩は11時に布団に入り、そのまま3時まで。あっという間に読み終わってしまった。新年早々、高野秀行さんの2冊目である。いや〜〜っっ、これはめっちゃ面白かった。まるで良質の漫画を読んでいるような読みやすさ。いったいどうなっちゃうんだろう、という臨場感。そして最後はなんだかホロリ…最高のエンディングだった。これは読みやすい。素晴らしい本です!! 超お薦め!

高野さんって私と同じ66年生まれなんだよね。だから西暦何年…とか回想されると、自分の同時代が回想されて、読んでいてめちゃくちゃ楽しい。確かに街はバブルで浮かれていた。物が何でも高くてブランドがはやり、でも貧乏な自分はあまり恩恵を受けなかった。やりたいことは23くらいの頃から決まっていたが、迷走期間もあったし、もう少し早く勇気をもってフリーになっていれば、私の事業もバブルの恩恵を受けられたかも…とか後から思わないでもなかったが、自分の力だけで独立したわけではない私なので、それはありえないと思う。バブルが弾けて思ったことは、物の値段が安くなってホッとしたことだ。バブル時代はなんでも高かった、そういえば。

そんなバブル時代に、時代に取り残されたような下宿屋さんがあった。3畳一間で家賃12,000円。そこに高野さんは住んでいた。とはいえ、すでに「ムベンベ」本で有名になり、マスコミの仕事(なるほどザワールドの調査とか)をすでにガンガンしていた高野さんである。

こんな風に軽くおもしろおかしく書いているけど、当然熱血で信念を持ってワザと三畳に住んでたんだと思う。特にイシカワさんとどんどん内側にこもってしまうあたりは、ホントに心配した。そして「出し入れ」を出来るだけ少なくしようという「経済不活性化計画」を実行し、静かに寝てばかりすごすようになって行ったところとか。でもそのヘンがホントのピュアな高野さんの気持ちだったと思う。(と、勝手に読者は思い込む/笑)

わたしも大学に入った時、おばちゃんが大家という女子学生だけの下宿で生活していた。家賃2万円の4畳半。でも社会人になれば、普通に収入の1/3は家賃に使うようになった。うん、それが普通なんだ、それが普通。

この野々村荘が素晴らしいのは家賃が安いだけではなく、高野さんの長期探検にも平気でほったらかしに出来ることだ。そもそも普段から鍵もかけずに探検部の連中が自由に出入りしているという、すごい環境。あぁ、わたしもこんな風に暮らすことが出来たら、と思ったりしてしまう。

そして本当は書きたくなかったとブログで高野さんが言っている最終章の「恋バナ」だが、最後これがあることでホントに読んでいてほっとさせられ、最高の一冊となっている。これがあるとないとじゃ全然違うよ!! そして野々村荘を出て行く高野さん。がんばれ、高野青年!!と、この時の高野さんに声援を送りたい。

一応この話は「ノン・フィクション」ではなく「フィクション」だということになっているが、いや、これノン・フィクションだと私をはじめ読者は思ってますから!!! 気になるのは「守銭奴」さんの行く末だ。野々村荘,今でもあるのだったら見に行ってみたい。ホントにホントにすごい。すべては、こうやって良質のエンタテイメントとして昇華されているが、本当は凄まじかったんだろうな、と想像する。

ところで、本作品は集英社の文庫担当だった堀内倫子さんというすごい編集者が企画したのだそうだ。確かに「ムベンベ」より、文章も一歩先にいった感じがする。急に亡くなったという堀内さんのことを追悼した高野さんの文章がここにある。是非読んでみて。とても感動的だから。こんな風に物を作ろうというチームがあるんだ、と。ホント素晴らしいなぁ、わたしもこんな風にアーティストとタッグを組んで何かをヒットさせてみたい。そして月並みだけど、堀内さんも天国から今の高野さんの売れっ子ぶりを見て満足していることでしょう。

高野さん、おもしろい。人間の内側を見つめ、するどく文学的という意味では角幡さんの方が数段上かもしれないが、なんか高野さんの本はうんと気楽に読めるし読んでいて、自分に近いところをそこここに発見して、すごく親しみが湧くんだよなー。それにしても早稲田探検部、おそるべし! 今からでも入部できないもんかなぁ…