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2016年9月24日土曜日

高野秀行「巨流アマゾンを遡れ」を読みました。名著!

またもや高野本。あっという間に読んでしまった。これは友人が貸してくれた。いや〜これは名著。巨大な巨大なアマゾンを遡る旅。なんと高野さんが「ムベンベ」の後、まだ早稲田在学中に書かれた紀行である。

まずこの本の魅力は大きく分けて2つある。1つはもちろん内容が素晴らしいこと。高野さんご本人の後書きによると、この本は探検でも何でもなく、ほとんどの観光客が普通に行けるところを書いている、としている。が、それにしても、面白い。ハイライトの1つは「日本人の行商人に会った話」。

なんのことはない、実はその彼は同じ日本人の、高野さんの仲間の1人。それぞれアマゾンの逆方向から旅をしてきて真ん中で落ち合おうと約束したはいいが、彼は盗難にあい身ぐるみはがされ、しかし生存能力が高いというかなんというか、現地の人に助けられ、職を得、行商人になって働きながら帰りの旅費を貯めるべく市場にいるところを高野さんたちに発見されるのだ… これには大爆笑! アマゾンに身ぐるみはがされ、またアマゾンに上から下まで着せてもらった(笑)というすごいお友達さんの話。短いけどこれはハイライトの一つなので是非楽しんでください。爆笑です。

そしてインディオの人たちとの接触にも心を打たれた。部族の長が集められ、その集会に高野さんたちは潜入することに成功する。そこでいろいろ高野さんの頭の中をめぐる、いろんな考察が素晴らしい。お金を払うのなら写真を撮っても良いと言われたのだが、断り,代わりにポラロイドでみんなの記念写真を撮って、そのポラを彼らにあげた下りにはグッときた。「1枚くらいあんたも持っていけば」と言われたが、「全部あげるよ」「これは、君たちのものだ」とする。高野さん、かっこいいなぁ!

しかし、こんな方だからきっと普段の日本社会やいろんな理不尽なことに頭にきてしょうがないだろう、なんて想像をしたりもした。でもご本人、ほんとに優しさを失わず、人間に対する温かい視線を失わず、このあとに素晴らしい本をたくさんリリースされている。それにしても、このインディオの人たちとの接触の下りを読むと,高野さんにもぜひグリーンランドに行ってもらい、イヌイットたちの生活をレポートしてほしいなと思う。

そしてこの本のもう1つの魅力。それはこの本が世に出た信じられないような経緯である。いや、これぞ高野さんが高野さんたるゆえんか。高野さんの本当にすごいところか…。まずこの本は、高野さんが「地球の歩き方フロンティア」のシリーズで、この地の取材の依頼を受けることから始る。覚えてますか、「地球の歩き方」のフロンティアシリーズ。一時は「アイルランド」もこのシリーズで僻地扱いされてたから、覚えてらっしゃる方もいらっしゃるかもしれない。本編の「フランス」や「イギリス」よりも薄いペラペラな情報が少ない僻地シリーズ。

取材期間は1ケ月と言われたが、それでは短いとした高野さんとカメラマンの鈴木さんは、ギャラはいらないからと言って、取材に4ケ月かけることを決意し旅立つ。(若くてかっこいいね!)そして出来上がったのは、なぜか「紀行文」だった。これはありえない。クライアントの依頼はガイドブックだったのに!(笑)でもここで素晴らしい編集者が現れ、こんなに素晴らしい作品なのだから絶対に世に出さないといけない、ということで「地球の歩き方・紀行ガイド」として発売になったのだという。それって、大英断だよね。でもその編集者の気持ち分かる。これ、めっちゃくちゃ面白いもの。ガイドブックの範疇を大きく越えて文学作品なんだもの。そして今、この本は集英社文庫として私たちも読めるようになった。

しかしすごいよ。「ムベンベ」に続く、高野さんの若いころの文章。すでにめちゃくちゃ面白い。それに、ムベンベみたいに、妙に芝居かかった感じもする。高野ファンなら絶対にこれも読んだ方がいい魅力的な1冊である。あーーー,面白かった!!

さて、まだ積ん読本の中に高野さんの本はたくさんある。「恋するソマリア」「またやぶけの夕焼け「移民の宴」がある。どれから読もうかな〜。そもそも高野本はたくさんありすぎて、ホントは代表作以外読まなくていいかなと思ってたのに… なんだ、全部おもしろいじゃんかよーーー。まったくもって読書が止まらない。

PS
先住民族は…会議のテーブルについてしまったら終わりなのだ…という話があり、それにもちょっとグッと来た。イゾラドとかも、そういうことになるのだろうか。でもそれは確かにホントだ。

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Kindleセール来たよ!


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