青山透子『日航123便墜落 遺物は真相を語る』を読みました

迫力である。青山透子氏、今回の作品は前作よりも自信にあふれる書きっぷりだと思った。自信、そして怒りにもあふれている。元日航客室乗務員の青山氏による日航機123便墜落事件の謎を追究した本の第3弾。

前作の『日航123便、墜落の新事実』のショッキングな内容についての感想はここに書いた。昨年書いたこの投稿は、この夏、再びものすごいアクセス数を稼ぎ、通常のウチのブログの100倍以上のアクセス数となっている。

その前作よりも、今回はいろんな面で力強い。というのも,今回、この件について青山さんは「物証」を確保したからなのだ。科学的に実証できる物証。これ以上の証拠があるだろうか。そして彼女のもとに届く「真実をつきとめてほしい」という遺族たちの声。

前作に書かれたことは、ここには繰り返さないが、今一度確認すると日航機墜落事件において疑問は2つある。(1)日航機が墜落した原因、そして(2)なぜ機体/生存者の発見まで16時間もかかったのか。もっと助けられる人はいたのではないか。その2点だ。

(1)についての前作を読んで,青山さんの考察に間違いはないと確信した。彼女は丁寧にたくさんの目撃証言を集めて、この考察(というかほとんど真実)にたどりついている。それに自衛隊が民間機をやっちゃったのは、これだけではない。もちろん事故だし、そういう事故は…残念ながらありうる事だろう。

ただ(2)については… (2)については前作を読んだ時は「まさか…」と思って言葉を失った。まさか…とは思う。が、今回明らかになったのは(2)についての明らかな証拠なのだ。

前作でもその現場にいた人の匂いに対する証言から、かなりの確証に近づいていたとも言える。だが、まさかと思った。生きているかもしれない人たちを…見捨てる… いや、まさかとは思うが、殺してはいないだろうね… まさかとは思うが口封じのために…? 

でも助かった人たちはすべて自衛隊ではなく、地元の消防団によって発見されているのだ。

例えば青山さんは機長の制服がまるで残っていないことに疑問を持つ。隣りに座っていた人たちが比較的きれいに残っているのに…だ。まったくなくなってしまっている機長の制服。そして燃えやすい化繊で出来たディズニーのぬいぐるみたちが無事に残っている中、なぜ衣服が不自然に燃え炭化してしまった遺体の数。湿った森の中に落ちたのに、なぜ裏/表まんべんなく真っ黒に焼けてしまっているのだろう。遺体確認のために長時間奮闘した歯科医師の女性の話には涙がでる。大変な環境の中、確認作業を続けたそうだ。

そして航空機の残った燃えかすはいまだに御巣鷹山から次々と発見されているという。そして青山さんは、その中に…決定的な証拠を発見した。その詳細な科学的分析がこの本の中の多くしめている。

これは青山さんの執念だ。本としては前作の方が読みやすいかもしれないし、この事件について詳しくない方が初めて読むとしたら前作の方が適当かもしれない。が、こちらの作品の方が熱量が高い。

それにしても、もしこれが真実だとしたら… 常軌を逸している。こんなことが許されて良いわけがない。そしてどうにもすべてが不自然だ。どうして運輸省は証拠を処分してしまったのか。思えばボイスレコーダーのあの声も、日航や運輸省などの公式発表ではなくマスコミへのリークという形で私たちが聞けるようになったものだ。そして運輸省はすべての資料をすでに廃棄しているという… ありえない。

本当にどうか真実が解明されますように。