映画『私たちが光と思うすべて All we imagine as light』いやーーー これは良かった!!

今年NO.1の映画はこれかもしれないと思った。今年は他に何を見たっけか、すでにまったく記憶なし。これは、素晴らしいインド映画『私たちが光と想うすべて』

カンヌっぽいって言ったらカンヌっぽい。いや、まさにカンヌなのかも。しかし、いやー こういう映画、大好きである。同じカンヌ仲間の是枝監督が最大限の推薦コメントを寄せている。確かに是枝制作でも全く違和感ない、すごい作品だ。

大都会のムンバイに住む看護師の二人。ルームメイトとして暮らしつつも、ちょっと距離がある。年上の彼女は、年下の彼女の家賃を待ってあげるなど、それでもバランスの取れた共同生活を送っている。

インド映画ってキスシーンも禁じられている、だから興奮を表すために、いきなり踊り出すんだ、って説明を聞いたのはいつだったか?(笑) この映画にはセクシーなシーンもあり、いやー、なんといってもストーリーが素晴らしい。しかも女性主導。それがとっても素敵なのだ。

セリフもいい。洞窟の中で恋人と密会する若い方の彼女が壁の落書きに発見する。「自由」という言葉がズッシリと重い。あぁ、なんで女って自由じゃないんだろう。あのシーンから、あの映画のすべてが私の中にすうっと入ってきた気がした。

エンディングも最高だ。なんかこう「光」が感じられるんだよね。私も海を眺めながら、のんびりと女友達とまったりしたい。

浜辺で偶然助けた男性に、夫を投影し、そこに意志をしっかり示す、そんな主人公にグッときた。彼女は前に進んでいく。

86年生まれの女性監督。音楽もなんか素朴で良かった。まったく押し付けがましくなく音楽が流れていることすら感じさせない。

好きなインド映画ということでいえば『マダム・イン・ニューヨーク』以来かも。あれはかなりポップだったけど、あぁいう映画からさらに進んで、こんな静かなでも素敵な映画が出てくるようになったインド。すごいな。

そして購入したパンフレットはとても素敵な装丁で、上野千鶴子先生がエッセイを書かれている。これもまた涙。

上野先生が映画のパンフに寄稿というのは珍しいと思うが、プロの物書きに徹しているのか、この文章が単体で使われても(映画視聴者購入のパンフレットに掲載されていなくても)よくこの映画のことを理解できるよう、とてもしっかり書かれているのが印象的。

とにかくキャッチコピーやポスターの作り方まで、すべてに配給会社の愛情が感じられる。

しかし、この感じがわからない人には全く通じない作品らしく、終わったあとトイレに並んだ時、後ろの同じ映画を見たらしい親子の会話にイライラしてしまった。

でもわからないでもない。いろんな意味で、この映画はカンヌっぽい。そこが好き・嫌いを分けるかも?



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