音楽とは

数日前に届いた林田直樹さんがメルマガでシェーンベルグの言葉を紹介してらして、「当然のことだが、芸術はそもそも民衆のためのものではないのだ」。で、思うところもあって、これを書いてます。

かつ、ここは音楽家の方で読んでくれている人が多いみたいで、私の大好きな『オルフェウスの窓』ネタを書いたら、思いの外、反応が良いので気をよくして似たようなネタです。

つまり音楽って、何?ってことについて。映画『トールキン』でも芸術の存在意義があれこれ考察されていました。

というわけで今日のブログ。

それにしても、しまった…と思った時にはすでに遅く、『窓』が電子書籍でリリースされたことを数日前に発見し、ついつい大人買いしちゃった。『オルフェウスの窓』全18巻。全部で1万円近くしたよ。とほほ… どうやら(1)はKindle Unlimitedで無料で読めるみたい。興味ある人は是非。

で、また読みふけってしまった。療養中なんだし、いいよね。

感想はというと、いや〜っっ、長かった。すごーーーく長かった。でも今回は「音楽漫画だ」ということを頭に入れて読んでみた。とすると前半、そして最後の最後におけるレーゲンスブルグでのシーンがとたんキラキラしてくる。確かに池田先生が言うとおり、この漫画の主人公はイザークで、これは音楽をテーマにした話なのだ。まぁ、でも迫力という点ではロシア編が圧倒的ではあるので、そっちにひっぱられるのだけど。

私が全18巻中、一番好きなセリフがこれ。作者も大好きだったらしく何度も登場する。



あぁ、やばい。泣きそうだ…数えたら、合計4回出てくるね、このセリフ。

「きっときみも ぼくも ともに美しい音楽にみちて、生涯をおくれるのです」

あぁ、泣ける!! オレの人生もだ!(笑) オレの人生も結構いろいろあったけど、それなりに幸せで、かつ十分に素晴らしい音楽に満ちた生涯を送れている!(今のところ)

そして音楽は神さまから与えられた啓示だという話… 居酒屋でバイトしてまで頑張るイザークに対するモーリッツの言葉が印象的だ。「酒場のピアノ弾きにまで身をおとしてもなおピアノをすてられないのはなぜだ?」。そして「ぼくにはじぶんの全存在をかけてピアノへむかえとの神の掲示はなかった…」と嘆く。

息子のユーベルをバックハウスの弟子として送り出すイザーク。神に息子の才能をささげる、とイザークが思うシーンでは「きみはデイモンと手をたずさえながら神の高みをめざすのだ」と語る。「(とうさんは)行かない。とうさまはきみを神に捧げるんだぞ!」「きみは王道をゆくんだ…! とうさまが歩むことのなかった純潔の道。陽のあたる堂どうたる至高の道」ここでも作者は酒場のピアノ弾きは邪道、クラシックこそ神の啓示、と。(となると、我が伝統音楽の世界、大衆音楽の世界とは…ということになるのだけど)

バックハウス の言葉にも唸りまくりだ。「だからといって大衆の趣味にこびて身を屈することもないでしょう」うーん!!

「演奏をするということは決して楽曲を支配することではなくて自分自身を支配することです。すぐれた楽曲との出会いによってはじめて自分をも自分の音楽をも高めていけるのです」かーーーっっ、痺れる。

これ池田理代子、まだ相当若い時に書いてるんだよね。すごいよね…20代の最後の方とか30代前半とかだよ。すごすぎるよ。私は50すぎて、やっとこういうことを考えている。

それにしても音楽っていったいなんだろうね。音楽にかぎらず、すべての芸術に言えることだけど。

どうやら宝塚は83年にイザークを主役としたミュージカルをやったらしい。さすがだ…  まぁ、ベルばらは本当に当たったからねぇ…(私も確か2回くらい見たよ…)

とか思ってたら、さとなおさんのこんな投稿も。アマデウスとサリエリと神様の三角関係音楽は神様のものなのだろうか。面白いので、ぜひ読んでみてください。



さらに音楽ってなに?ってことを追求したい人たちには、この映画もおすすめ。フランスの映画なんだけど『めぐり逢う朝』

ここではコマーシャル的な成功をおさめたテクニック抜群の弟子と、真摯に音楽に向かう師匠の姿が描かれる。最後の二人の問答は圧巻。

私は英語字幕でしか見てないので、訳がきちんとしたものを見てないんですが、この映画において音楽は「言葉をもたないもののため存在する」と表現されている。木々の音などの自然、死んでしまった人たち、言葉にできないほど大きな人間の感情のため。

とにかく大傑作。音楽はあのサヴァールが手がけてて、これまた最高。



サヴァールはケルト音楽のCDも出してるけど… これイマイチだったんだよな。そもそも曲の選び方からしてイマイチ。やっぱりこの映画のサウンドトラックが最高なので、ぜひチェックしてみてください。それにしてもこの映画、ファンが多いのか結構高額になっちゃってるんだね、今となっては。

サヴァール、いつか生で見たいなぁ。マーティン・ヘイズが共演してるんだよね。サヴァールは何度も来日してるけど、だいたい東京公演は即日ソールドアウトなんだわ… たぶん大きな会場では本人がやりたがらないとか、いろいろあるんだろうと想像する。