(9月18日21:00現在、埋め込みリンク復活したようです。なんだったんだろ…)
ま、それはさておき。
さて! ちょうど病気療養中に公開時期が重なったため『ボヘミアン・ラプソディ』すら観ていない私ですが、今日はツアー前の外出リハビリデイだったので、八重洲でお寿司ランチをかましたあと、さっそく観てきました『ロケットマン』。エルトン・ジョンの半生を描いたミュージカル映画です。
いや〜、結論から先に言うとかなり好きでしたね。いわゆるミュージカル仕立てで、突然登場人物が歌いだすんですが、ステージのミュージカルを映画に落とし込んだ『ジャージー・ボーイズ』のように観客に向かっていきなり話しかけることはしないけど、とにかく音楽がたくさん出てきて楽しい映画でした。
友人が先行して観に行き「出てきた曲、すべて知ってたよ〜」と感激してましたが、さすが… !! 私は『僕の歌は君の歌』より前の歌はわからなかったし、知ってる曲が出てきてもアレンジがかなり変えてあったりするので、サビが出て来るまでわからなかったり… 2/3くらいしかわからなかったかも。そういやエルトン・ジョンってヒット曲は知ってたけど、それ以上のことはなかった…。もっとも映画で描かれていない、この曲が入ったアルバムはリアルタイムで体験し大好きでしたが…(ちなみにこの曲は映画では、契約前の音楽出版社のスタッフの前で演奏するシーンにちらっと出てくるのみ。そしてこの当時この曲がすでにできていたかは疑問)
— 野崎洋子 (@mplantyoko) September 17, 2019
それはともかくクイーンの映画が、あれだけヒットし、音楽ファンだけでなく多くの人を魅了し、本やCDまで売れちゃって、一瞬の洋楽バブルを復活させ、かつ監督が同じということもあって(『ボヘミアン・ラプソディ』を仕上げたのは、クレジットはないものの本作を監督したデクスター・フレッチャーだったとか)、比較されることが多いこの作品。実は私のタイムラインの業界の皆さんの反応は実はあんまり良いものではなかった。というか、100%褒めている人はいなかった。どちらかというとクイーンの方が絶賛されており、そちらに比べると…みたいなことを書いている人が多かった。
が。とある信頼できる筋の友人が数日前にfbで絶賛していたのと、もう一人やはり観にいった友人からリアルに会って話して感想を聞き、自分も観にいく決心がついたのだった。
そしたら… めっっちゃいいじゃーん!!(うーん、クイーンの方を先に見てると違う感想になるのかも?だけどね)
まず音楽がすごくいいのは当然として、とにかく主役の彼(タロン・エガートン)がすごくいい。めちゃくちゃエルトンにあっているし、歌もいい。そしてもっといいのが『リトル・ダンサー』主演の子役ちゃん(ジェイミー・ベル)が大きくなって演じたバーニー・トーピン! すごくいい!! 先日の『トールキン』でも『アバウト・ア・ボーイ』の子役の彼の成長した姿に感動したものだが、こっちも本当に素晴らしい。
いや、わかってたのよ、映画見る前から。バーニー・トーピンって絶対にいい人だって!! だってメディアにもめったに出ないし、かつ派手な話も聞かないし、絶対に思慮深い人だと思ってた。ちょっと伏せ目がちな感じでハンサム。いいわー いいわー
こちらは英国テレグラフ紙のインタビュー記事。
Bernie Taupin: 'Lyricist? I think of myself as a storyteller’ - Telegraph https://t.co/3udzGItwEK— 野崎洋子 (@mplantyoko) September 17, 2019
そして改めてエルトン・ジョンの楽曲って歌詞が素晴らしいのだ、と認識する。
いや、もちろん本作品はエルトンがエグゼクティブ・プロデューサーで製作総指揮とパンフレットには書いてあって、まぁ、Excecutive Producerだから資金出してるって解釈でいいんだと思うのだけど。そして本作品は「エルトンによるエルトンのための『僕の映画は僕の映画』」(と、パンフレットの解説に宇野維正先生が書いてらしたけど、まさに!)だということ。だからミュージカル仕立てということ以上に、すべてがエルトンの解釈と視点で描かれているのが、クイーンの映画とはだいぶ違うところだ。
でもそれでいいの。だって彼は生きているんだし。彼の解釈する彼の人生でいいのよ。彼が考えていること、感じていることを私たちは知りたいわけだから。(第3者の視点での映画は亡くなったあとでいいわ)
両親にうまく愛されなかった少年時代。そしてゲイだという苦悩。エルトンがカミングアウトしたのはイングランドでゲイが非合法ではないとされてからたった10年後のこと。まだまだ偏見は多かった時代だ。今とはまるで違う。そしておばあちゃんだけは彼の唯一の味方だったようだ。おばあちゃんだけはまっとうだが、両親については「子供にそんなこと言うかな…」っていうくらいひどい言動で、ちょっとびっくりだった。
ちなみに彼が生まれた街ピナーは、パンフレットにはイギリス郊外とか表記されてるけど「ロンドンの郊外」。私がかつて1週間ほどホームステイしたエッジウェアとかにも近い、ロンドンの北西の方。エルトンは子供のころからすごい才能で、一度聞いた曲はすぐにピアノで再現できたこともあって、ロイヤルアカデミーに入学が許されるなど、しっかりした音楽教育も受けてるんだね…
こちらは昨年のデパートのCMより。ご本人出演中(笑) 子供のころにピアノがプレゼントされたエピソードが下敷きになっている。
John Lewis & Partners Christmas Ad 2018 - #EltonJohnLewis 🎹 https://t.co/ytOuvD9pi9 @YouTubeさんから— 野崎洋子 (@mplantyoko) September 17, 2019
そして圧巻はこのピアノから「Your Song」が生まれる瞬間だ。もう最高に素敵としか言いようがない。この時、バーニーはわずか18歳だったそうで、エルトンは「この曲はあっという間にできて、見直すことは一回もなかった」と発言している。
タイトルになってる『ロケットマン』については、町山解説が熱いのでぜひ(しかし町山さんが熱弁ふるう時って何かに取り憑かれてるみたいだよね… 自分の中の響くものと、映画が共鳴してる!!って感じ。話してて、どんどん興奮してくる感じ。だから説得力あるんだろうなぁ)。
そして『ロケット・マン』といえば、秀逸なのはこの人のトラック。参考資料で貼り付けておきますね…(レゲエ風のアレンジなんだけど、なんとイリアン・パイプスのデイヴィ・スピラーンも大活躍)
それにしても、こんなに歌詞がいいなんて、改めて感動。Kate Bush - Rocket Man - Official Music Video https://t.co/eb0bb1HwkL @YouTubeより— 野崎洋子 (@mplantyoko) September 17, 2019
エルトンの曲は、バーニーが歌詞担当、エルトンが曲とパフォーマンス担当という共作で作られていた。ソングライター・チームって不思議だ。スクイーズのグレン・ティルブルックとクリス・ディフォードにちょっと似ている。お互いすごく近いんだけど、遠い存在。でもセックスするくらい赤裸々に自分をお互いにさらけださないといい作品なんて作れるわけがない。そして特に第3者の恋人の出現で2人のバランスが崩れることが多い。一度こじれると夫婦がこじれるよりたちが悪い…など。
エルトンの場合、ラッキーだったのはバーニーが芯の通ったまっとうな人だったということ。多少女好きではあったけれど、それ以上に静かに農場ですごしたい、とか、落ち着いた人だったバーニー。エルトンはつきあって50年以上、バーニーとは喧嘩をしたこともない、という。でもバーニーは残念なことに男の人を愛せなかった。
エルトンからしたら、すごく悲しいけれど、こういう二人は一緒になっちゃいけないんだ。一緒になるときっと彼らは万能を得て地球を逆回転させ天国と地獄を同時に見るはめになる。(山岸涼子『日出処の天使』参照)
あ、そうだ、さらにバラしちゃうと、エルトンって本当にいい人なんだって。グレンが言ってた。クリスも自伝で「必ず僕たちのCDが出ると二枚自分で買ってくれるんだ」とか書いてた。クリスはエド・シーランをエルトンの事務所に紹介したとかなんとかで、現在エルトンのマネジメント会社「ロケット」に所属している。(ここでも会社名として「ロケット」が出てくる。本当に思い入れがあるんだね…。ちなみにエドくんはすでにマネジメント会社ロケットを離れています。彼の歌でエルトンの「Tiny Dacer」が出てくるのがすごく好き。そして最後のバースで歌詞の〔we did not know the answers]と韻を踏む感じも! あそこを聞くといつも涙が出ちゃう!)
Ed Sheeran - Castle On The Hill [Official Lyric Video] https://t.co/SSkTGDNlao @YouTubeさんから— 野崎洋子 (@mplantyoko) September 17, 2019
最近のエルトンの元気な様子。カープールカラオケって本当に人柄が出るよね。このシリーズで私が一番好きなのはアデルの回なんだけど、エルトンのもの本当に秀逸。性格の良さが出てる。いいわぁ〜
Elton John Carpool Karaoke https://t.co/G9eTNpyWIz @YouTubeさんから— 野崎洋子 (@mplantyoko) September 17, 2019
『ロケットマン』のネタ元となったレイ・ブラッドベリの原作は読んだことないけど、一度読まないとなぁ。ちなみに萩尾望都先生の漫画の方(こちらは『宇宙船乗組員(スペースマン)』は購読済み。(でも思わずkindleで再購入しちゃったよ!)
『ロケットマン』本予告 https://t.co/l6Gktt5Jyt @YouTubeさんから— 野崎洋子 (@mplantyoko) September 17, 2019