なるほどねー確かに面白かった。ぐいぐい引っ張られる世界。原田マハの私にとっては2冊目。いや〜、圧巻でした。読むのとを途中でやめるのが嫌になるくらい、とにかく読ませる。
物語構成力が天才的。緻密なサスペンスというか、この感じは「ダヴィンチ・コード」をちょっと思わせる。あれは何年の作品だったか。とにかくグイグイ、次なる展開に向けて読者を離さない。すごい。
しかし!(と、私は言ってしまうのだが)いまいちやっぱりお話しがポップすぎる気がする。そもそもロマンスネタはなくてもいいのではないのか?とも思う。が、これがないと、爽やか度がなくなるし、やっぱり必要か…。それにしても、まるでテレビドラマでも見ているみたいにまったく読者に負担なし。あまりにすいすいすいすい、すーいすい読める。
この本に出てくる絵画のまとめも! これまとめた人の気持ちわかるなぁ…
原田マハ著『楽園のカンヴァス』に登場する絵画のまとめ - NAVER まとめ https://t.co/G9R9jzPx5Y— 野崎洋子 (@mplantyoko) May 22, 2020
ルソーは「日曜画家」「素朴派(ナイーヴ・アート)」とも呼ばれ、なかなか評価が定まらない不遇の画家だった。(ルソーはこの作品が一番有名かな… ニューヨークのMoMAにあるジプシーの女性とライオン)
1983年。ある日スイスに在住の伝説の富豪コレクターにルソー の作品の鑑定を頼まれたルソー研究家が二人。
一人は本当はボスのところに来た招待状をこっそりと受け、この挑戦にのぞむMoMAのティム・ブラウン。もう一人は新進気鋭のルソー研究家オリエ・ハヤカワ。二人の対決が始まった。二人に与えられた使命は、誰が書いたのかわからない手記(7章)を読みながら、ルソーの有名な作品『夢』の姉妹作ともいえる謎の作品『夢をみた』を鑑定すること。果たして、これは本物のルソーの作品なのか。ピカソ vs ルソー、テイト・ギャラリー vs MoMAという構図も面白いのだが、細かいこと書くとこれから読む人にはネタバレになっちゃうから、ここに余計なことは書かない。とにかく「えっ」「えっ?」みたいな展開で、ぐいぐいぐいぐい引き込まれる。
とにかくすごい。
そのすごさに、いっそのこと、ここで原田マハさんの大ファンになって、細部をあれこれ研究したり裏付けを取ったり、深追いしはじめたら最高に面白いだろうなぁと思えるほど。おそらくそれだけで残りの人生楽しくすごせるのかも、とも。
しかしここであえていうならば、話がうますぎて『ダヴィンチ・コード』もそうだったけど、ちょっと突飛に跳びすぎるというか、「そんな偶然ないだろ、おいおい…」と感じなくもないんだよな。そこが惜しい…かな。ただそれをやすやすと飛び越えるおもしろさとお話し引っ張り力があり、まったくもって文句のつけようがない。最後は圧巻のオチもあり、誰もが納得するエンディングで、読後感も最高なのだ。すごいな。これを完成度が高い作品っていうのかな… うむ。
加えて絵画への愛情にも間違いなくあふれる作品で、好きな人はドはまりしそうな感じである。うーん、原田マハ、おそるべし。人気あるの、わかるなぁ。
で、私は好きかと聞かれれば、まだはっきりしない。ポップであまりにも読みやすいのが難点か(難しい私…)。彼女の作品は、別のfacebookフレンドから勧められた『たゆたえども沈まず』もすでに入手済みなので、それはいずれ読むにして、そろそろ硬派なノンフィクションが読みたくなってきた。ノンフィクション挟んでから、またマハ・ワールドに戻ろうかな。とにかく、まぁ、これは「最高に面白い本だよ」と誰にでも勧められる作品であることは間違いない。気分が落ちている時の読書には最高の、現実を忘れられるものすごいフィクションなのである。参りました。