『絲山秋子展』に行ってきました。3/14まで!! 急げ!

群馬県立土屋文明記念文学館というところに行ってきました。絲山秋子展を見に! いや〜1月から始まってたこの展示、緊急事態宣言解除されたら速攻行こうと思ってたら、緊急事態が2週間延長になっちゃって、こりゃいかんというわけで慌てて赤羽から高崎線に乗って行ってきたよ。(赤羽からだと1時間半くらい)

いろいろルートを考えて、もちろん日帰りも可能なんだけど、ホテル代が安い日曜日の夜に高崎入りし、高崎のドーミーインのラジウム温泉でゆっくりしたあと翌朝文学館を訪ね、早めに戻ってこようという作戦です。

しかしドーミーイン良いね。サムソン高橋さんがよく利用されているようなので、いつか泊まってみたいと思っていたのですが、すごくよかった。なんといってもお金はかかってないんだけど、その中でベストをつくす、痒いところに手が届く感じの行き届いたサービスに感動。無料の深夜ラーメンや豪華な朝食もいただいて、さっそく出発。高崎のドーミーイン前のバス停からなんと25分くらいで目的地の土屋文明記念館に到着。いえーい!!(でもバスで440円もした。このバスも1日5本くらいしかないので要注意です)



それにしても、絲山さんのファンって男性が多いイメージだったけど、わたしが行った時、この展示に来ている方、全員女性でした。平日のしかも月曜日の午前中だというのにすごいな。で、みんな喰いいるように展示を見ていました。それぞれが思い入れのある作品を、それぞれ噛み締めていたのかもしれない。わかる、わかる、その気持ち。

そういうわたしもこのパネルの前でじーーーーーん。しばらく固まってしまいました。

『沖で待つ』はわたしの大好きな小説のベスト3に入るくらいの作品です。ご存知のとおり、わたしは普段はフィクションをほとんど読まないんだけど、これだけは特別。人に内容説明してても、泣いちゃうくらい、大好きな話です。あの感じは会社で一所懸命働いた人じゃないとわからない。あれは…会社で必死で働いていた25歳くらいのわたしの話だ。そんな風にいっつも感情移入しちゃうんです。特に太っちゃんの奥さんとの絡みがいいんだよなぁ。自分は営業職で、男の人たちと同等にバリバリやってるんだけど、総務とか事務系のしっかりした女性みたいな存在も会社にはいて、そういう人たちとのやりとり…みたいな。そして妻にも、恋人にもわからない、仕事仲間(戦友?)にだけしかわからないあの感覚。わたしも会社のおじさんたちには反抗してばかりいたけど、営業先であるラジオ局や出版社の皆さんに助けられ、応援され、なんとか仕事を頑張ることができた。いや、でもなんか言葉にしちゃうと違う気がする。とにかく『沖で待つ』絶対に絶対に読んでください。短いしすぐ読めちゃうから!! わたしも今夜もまた読んでしまうかもしれない!!

話がそれた。展示内容はまず、作家、人物:絲山秋子にスポットをあてたものから始まります。子供のころの写真とか、ロックバンドやってたころの写真とかファンなら必見の秘蔵写真たち。絲山さんは小学校にあがるまでは文字が読めず、でもいったん読み始めたら岩波文庫とか読みまくってるような子供だったらしく、ちょっと笑えますよね。

で、その後に作品ガイドが続くんだけど、これが素晴らしい。作品のテーマを(1)群馬(2)ロード小説(3)会社員小説(4)距離感(5)神様・異世界に分けて、それぞれが展示されてる。めっちゃ良い! 

そして展示室の島みたいになっているところに、絲山さんの作家以外の活動:書店員さんとの交換書簡の展示があるんですが、これがすごい説得力ある。作家の手書き文字って、それだけでなんか震えるわ…。この活動はわたしはTwitterでリアルタイムで拝見してたけど、本の雑誌社さんでまとめられてたんだね。知らなかったよ! 自分のアンテナの低さにバカバカっっ(笑)。そして、もちろん絲山さんの群馬での暮らしやラジオパーソナリティなどとしての活動も、紹介されていました。

← 図録より。この写真好き。ワンコたち!!


本当は土屋文明の展示とか、ゆっくり見たかったけど、あまり時間もないので、取り急ぎ図録とまだ持ってない絲山本を購入して、前橋経由のバスに飛び乗る。

近所にはなんとか古墳とか(バスの中から見えたけど、すごかった!)、野菜直売所とかもあって行きたかったけど、3/10に公開しなくちゃいけないホームページもまだできないので、あまり事務仕事をサボるわけにもいかないのだ。

で、高崎の駅でこれを購入して快速のグリーンで帰ってきた。満足。やっぱり群馬に行ったらこれでしょう。

というわけで、みなさんもぜひ出かけてみてください。3/14まで。火曜日はお休みなのと、お昼の1時間くらい消毒のため閉まってしまうらしいので要チェック。残念ながら絲山さんと行く散歩ツアーみたいなやつはもう定員いっぱいみたいです。車持ってる人は車で行くのが良いかもしれません。

図録の裏表紙

さて、この下に貼り付けた動画のインタビュー、この展示に向けて取られたものらしいんだけど、ものすごく面白いよ。特に初めて小説を書いたきっかけから(18分くらいから〜)、作品ができるまでの話とか…  あと最後の「クラウド」のくだり。なんというか、絲山さん普通に喋ってるんだけど、創作者としてのすごみが感じられる。これが神様とタッグを組んだ天才ということなのか。創作のすごみ。ミュージシャンもきっとこんな感じなのかもしれない。


で、ここ読んでいる人は絶対に『沖で待つ』読んでよー。あと最近のでは『御社のチャラ男』も最高! 群馬ががっつり舞台となってる『薄情』も。今日購入したのは『夢も見ずに眠った』『離陸』『忘れられたワルツ』。読んだら感想文をまたここに書いていきますが、ちょっと先になりそう。最近、積読がまたひどいことになっている。