高野さんは著作が多く、この私ですら(笑)読んでない本がまだある。『怪獣記』はそんな一冊だったけど、先日の辺境チャンネルで本の雑誌社の杉江隊員が熱くこの本を推していたのを聞き、速攻ぽちったのだった。
確かにおもしろい。とにかくおもしろすぎる。高野さん得意のUMAネタなのだが、トルコの東部ワン湖にすむ巨大生物ジャナワールを探しに行く話。
もうワン湖という名前だけで、「アヘン」で出てきたワ州じゃないけど、高野ファンは期待があがってしまう。そして、これが期待をうらぎらない圧倒的な名著であった。
いや、もちろんそんな生物はいるわけがなく(爆…と結論をいきなり書いてしまうが)でもムベンベと同じ。話の本質はそこにはないのだ。さらに最後にすごい展開があって、これが物語をぎゅっと引き締めている。
いやーーー 楽しかった! よく芸能人の人が高野さんに「ファンです、探検に一緒に連れてってください」とか言うの、気持ちよくわかるわー。
でも実際に同行したら、私なんぞは「そんなのあるわけじゃないじゃん」「バカじゃないの」とか平気で現場でつっこんでしまいそうだ。そのくらいこう言ってはなんだけど「バカな」旅なのだ。でもそれがいいんだよなぁ!!
それにしてもトルコの田舎いいんだよなぁ。例えば極右のおじさんですらも素朴でチャーミングなキャラクターの人たち、出てくる食べ物もシンプルなんだけど、妙に美味しそうだ。二人の現地アテンドのドライバー&ガイドのやりとりがめっちゃいい。
クルド人問題とかも実際はどういうことなのか、下手な報道番組を見るよりも、高野さんの本の方が圧倒的に実感が伝わる。
ところで爆笑ネタのひとつで「日本からジャナワールを探して部数10万部をほこる小説テンダイ(笑)のジャーナリストがやってきた」という新聞記事の話があるのだけれど…
こういう田舎の素朴&誇大ジャーナリズム、私も経験があるんだよねー。
私も90年代はアイルランドのラジオや新聞に出たことが多くあった。アイルランド音楽を探して日本人が来たぞと珍しがられ、ラジオに出てしゃべった。
当時のアイルランドはでていくばっかりで、子供と老人しかおらず、白人だらけで、中国人すらいなかった。お隣の英国ではどんな小さな町にもチャイニーズテイクアウェイがあったが、アイルランドにはそれすらもなかった。
そういやダブリンのブルームス・ホテルでサンプルとしてもらったアイルランド音楽のCDを絨毯の上の並べて、その前で女っぽく斜めに座り(笑)写真を撮らされたことがある。あれは記事となったんだっけか。見てないけど(爆)
あれもフリーの記者の売り込みネタだったのかもしれない。
あと爆笑だったのはグリーンランドに行った時「ナヌークのスーパーファンが日本からやってきた」というニュースになったことだ。現地語がわかる友人によると、私がしゃべったこと(日本語でしゃべれと言われて日本語でしゃべった)とは全く違う字幕が付けられていたそうだ。
ああ、もうっっっ! それはフェイクといえばフェイクだが、フェイクの意味が違う。なんていうかなぁ、旅人の到来を嬉しく思ってくれるその感じ。そういう田舎の罪のない素朴なところ大好き。
そういうなんか、こう、そういう出会いを求めて旅がしたいんだよなぁ。