映画『カセットテープ・ダイアリーズ』今ごろ見た! 80年代の英国、いいねぇ〜

 


今頃やっと見た!! なんで見に行けなかったんだっけ? コロナだったから? もう記憶にないけど、ブルース・スプリングスティーンのファンのお話をベースにして作られた映画『カセットテープ・ダイアリーズ』。

ボスの音楽うんぬんもある。が、ボスの音楽をたぶん7曲くらいしか知らない私にとっては、他にかかる音楽も懐かしかった。映画にこういう音楽使うの、高いんだよね。シンクロ料いくらかかってんだろ…と思うとクラクラする。先日のa-haも2回くらい登場する。時代だよなぁ。

主人公はパキスタン系のあまり裕福ではない保守的な家庭に育った高校生。お父さんは失業。息子をまったく理解しないしお先真っ暗。でも父の力が圧倒的に強い家。高校生の彼は自分に未来はあるんだろうかと思い悩む。

80年代の中頃。私にとって、英国は初めて行った憧れの国だったが、本当に「終わってる感」が半端なかった。あの空気懐かしいよなぁ。「英国病」って言ったっけ。まったくもって未来がない。そんな感じだった。

でも、最近読んだ「失敗の本」にも書いてあったけど、人は落ち込んだ時、鬱になりそうになった時、先が見えなくなった時、なんらかの「推し」が見つかると立ち直れる、といった話を思い出したんだよね。

よく人は自分のことではなく、他の人のために動くと元気になれるというが、例えば応援したい人、もっと言ってしまえば助けたいと思う人。そういう出会いがあると、人は開花していくんだわ。

主人公は偶然知ったボスの音楽の虜になっていく。

ボスの音楽は、彼に寄り添い、人生のそここで彼を励ましてくれる。こんなふうに考えているのは自分だけじゃないと自分に寄り添ってくれるのだ。女の子とのやりとり、親とのやりとり、学校でのフラストレーションなど、とにかく自分のすべてにおいて。

本人はもちろんだけど、主人公を取り巻く周辺キャラクターがいい。主人公の才能に気づき、早くから応援してくれる若い女の先生。

一家を一定の距離を持って見守り重要なところで暖かい励ましの言葉を主人公にかけてくれる近所のおじさん。クラスの違う可愛いガールフレンド。彼女は社会問題にとても興味がある。その娘を一見理解ある視線で見守る彼女の両親。いかにも80年代のイギリス小僧といったテイの子供のころからの親友。そして音楽で繋がった親友。

いつだったか見たボスのファンのドキュメンタリーの続きみたいでもある。ボスは本当にファンに感謝してるんだねぇ。彼のやることすべてが彼の歌そのものだよ。ブレない人だ。

とまぁ、ボスに詳しくない私が何を言うかだけど、それが映画の「コア」となって、本当によくできた作品に仕上がった。

そして、それ以上に私とってよかったのはこの頃のイングランドの絵描き方だ。先日の「ゴヤの名画と優しい泥棒」もそうだったけど、私も「あの頃」を書いた映画についつい引かれるような歳なのかも。「ALWAYSなんちゃら」は見てないけど、あれもこんな感じなんだろうか。

まずルートンだというのがいい。ルートン。行ってみたかったんだよ。なぜってポール・ヤングの生まれた場所だから。名前は知ってたし、地図で何度も確認した。カーゴ系で使われる空港があるんだよね。

そしてパキスタン系というと、私は80年代半ば自分が必死で英語を勉強していた時の「FOLLOW THROUGH」というBBCの英語教材を思い出す。

「FOLLOW ME」という初級教材は簡単すぎるのだが、「FOLLOW THROUGH」は中級程度の映画教材で、今でも有効活用できるフレーズがたくさん登場する。

あれで学んだ言葉は多い。教科書というかテキストは今だに持っていて、時々開く…というのは嘘だが、なんか必死で勉強していた頃の自分が宿っていたようで、引きもしないのに持っている英語の辞書と一緒に、いまだになぜか捨てられない。



ちょっとした英語のフレーズはこの番組で覚えた。今でもよく思い出す。大学の授業とは別に週に2回の語学学校に通っていた私は、よく自習室にこもってこの教材で自習をしていたっけ。

教材はテレビ局のプロダクションチームらしき職場が舞台。そこでバイトするビリー。ユニークな同僚たち。理不尽なボス、めげない女性秘書、黒人の陽気なアメリカ人のスタッフに混じって、実は彼らの中で英語を一番きれいに話し、高い学歴を持つ男性職員はパキスタン系だった。

彼はあまり性格がよくなく、アメリカ人の英語をよく馬鹿にしていた。懐かしいなぁ。

私が一番傾倒していたころの80年代のイングランドがここにある。本当に大好きだったなぁ、イギリス(笑)


そうそうパキスタン系といえば、この映画も大好きだったよなぁ!! って、今、wiki見たら、これスティーブン・フリアーズだったのかぁ! 配信はこちら。U-Next Hulu

なんと映画と同じ名前のアパレルブランド見つけたよ。マジかっっ(笑)