Z世代はなんとオタクに憧れているのだという。そして深掘りできる何かを探しているのだという。この本を読んで一番びっくりしたのはその箇所だった。
まぁ、この本に何も答えは書いてない。ただ「Z世代とはこういうもんです」とひたすらそれだけを書いている。
「しかしまさにこれはパンドラの箱であり、おそらく今、ものすごい勢いで彼らの文化は根をはりつつある。国を超え、時間を超え、まったく違う場所で、違う花や果実となって、思いもかけない場所に顔を出している…」というのが著者の考え方だ。
気になったところをメモ。今の若者は忙しい。映画は倍速で見る。会話のないシーンは飛ばす、ネタバレサイトでなんでもチェック。とにかく損をしたくない、時間がない…
そして倍速、飛ばし見についても、自分は変わったことをしているという認識はまったくない。だからわかりやすいものが喜ばれる。
そして感想を口に出すとしても、「おもしろい」と褒めるのはものすごく勇気がいることと著者は分析している。えーーーーっっ、そうかぁ!?
でも、なんとなくわかる。ちょっとした映画や本でも自信を持って薦めている人って、実は本当に少ない(だから私みたいな素人ブログでもはっきりと良いと断言しているブログが読まれたりするのだ)
作品を自分の責任で自信をもって薦める人、本当にほとんどいない。(加えて「面白くなかった」と発言するのも勇気がいるのだそうだ。その作品を理解できないのはお前が馬鹿だからと思われるから… だそうだ。もう、なんか絶望的)
テレビもテロップが異様に多いのは、視聴者を逃さないため…等々、ほとんどここに書いてあることは、なんかすでにわかっている気持ちになっているようなことも多いのだが、私が一番「おお」と思ったのはZ世代の若者は「個性的であること」「人とは違う自分であること」がとても重要視されている、というのだ。
だから「オタク」に彼らは憧れている。夢中になって何かをする人を羨ましく思っているのだ、ということ。
私を含む年長者にとっては、これはびっくりポイントだろう。だってオタクは私たちの世代ではどちらかといえば、嫌われ、疎まれている存在なのだから。
スマップの「世界に一つだけの花」(2003年)以降、潮目が変わったのだろうか。しかし一方で「人と違った自分であれ」という価値観は彼らを縛り付けもする。ゆとり世代の反動ということもあると著者は解く。
加えて、この「オタク」度合いもあまりマニアックではこまる。ある程度広がるもの(この辺の感覚が難しい)
例えば、ロックフェスなどに行って、セルフィーをあげるくらいが彼らの「オタク度」でもある。でも、その行為においては自分が主役。ステージ上にいるのは誰でも良い。そのフェスティバルを見に来ている自分が彼らにとっては一番大事なのだ、と。
Z世代は、SNSを使いこなし、しかしお金をつかうことには消極的、ものよりもコト消費、多様性を認め、個性を尊重しあい、社会貢献思考があるのだという。安定志向、現状維持志向で出世欲や上昇志向があまりないということも。
SNSの、自己紹介欄に書ける何かポジティブな要素がほしい。そしてオタクが楽しそうにしているのを見て羨ましく思う。自分の希少価値を高めるものは大好き。
そのくせ頑張り通すとか、石の上にもなんたら、みたいなのには同意しない。というのは、どんなに頑張っても、未来の保障がないからなのだ。何も悪いことはしてないのに、世の中は突然変わり、全ての努力が無駄になるさまを彼らは何度も目撃している。
だからこそこの瞬間に生きる。コスパが悪いことを極端に恐れる。無駄なことに時間をさくのを恐れる。
さらに悪いことに(?)大人が子供の気持ちを先回りしていて察しようと動く。子供は大事に大事に育てられる。「失敗してもいいからやってみろ」は、Z世代にとっては、すでにイジメに近い。
そうそう角幡さんの言葉が本の中で引用されれていたのにも笑った。「冒険は社会の役にたっているんですか」という若い記者の質問に角幡さんは絶句したのだという。とにかく若い人たちへの精算性の向上や期待は「圧」にもなっている。
以上、本を読んでいて気になったところをメモりました。
ところで、この本を読んだのは、日向敏文さんの26年前の楽曲「Reflections」が、最近Z世代の皆さんの間で話題になっているということを知ったから…。
@doryartist @linka144 (song: reflections by Toshifumi Hinata) #art #арт #искусство #художник ♬ reflections - blaisezabinis
でもみんな本当にビシッときまってるよね。かっこいいなぁ。靴や帽子、小物、ちょっと腕を上げて時計を見る様も(時計もいい時計なんだろうなぁ。私にはわからないけど)
ふっ…: In Beyoncé we trust?https://t.co/Nw2YQX6HDz
— 野崎洋子 (@mplantyoko) August 6, 2022