アラマーイルマン・ヴァサラット。私が現在もっとも注目しているバンドの1つである。今週末、いよいよやってくる。いったい何が良いのか、というと、このバンド。いろんな意味でキャラクターがたっていてバンドコンセプトも面白く、非常によく出来ているバンドだなと思うとともに、やはり音楽が非常に面白いから好きなのだ。
私はインストバンドが基本的に好きだしよく聞いているのだけど、いわゆる楽器ヒーローというのは好きではない。たとえばうっとおしくもうるさいギタリストとか、音数のめっちゃやたら多いキーボードとか、自己陶酔のサックス奏者とか。ジャズ? ジャズは好きだけど、今一歩、自分と共鳴できないのはそこなのだ。
だからやっぱりロックバンドがいい。バンドの中心となるのはスタープレイヤーではなく楽曲だ。メロディだ。よく考えたらウチのバンドはルナサ、ラウー、ヴェーセン、全員、いわゆるスタープレイヤー系のバンドはいない。ヴェーセンはウーロフがメインメロディをいくが、3人全員がウーロフと同じくらい楽器が巧く、聴くに値するすごいプレイヤーで、3つの音が平等になっているから大好きなのだ。ウーロフ+バックバンドだったら私は興味が湧かないだろう。一方、マーティンとデニスは、これまたまったく別の次元のものなので、説明は省く。
例えば私が一番好きな日本人アーティストはチャーで、チャーは大好きだけど、PINK CLOUD(JL&C)以外に興味がないのは、ピンクラでは他の二人がチャーと同じくらい、もしくはチャー以上にかっこよいからなのである。
バンドは曲中心がいい。もちろんカリスマチックなリーダーが入れば、それはそれですごいのかもしれない。楽曲中心ということでいえばケンソーもそうだ。ケンソーの清水さんもスタープレイヤーというわけではない。ただメンバー全員が清水さんの書く曲を「なんていい曲なんだろ」と陶酔しながら演奏しているのが分かる。そこが本当に素晴らしい。
例えばこの上に貼付けた曲もよく聞いてほしい。一見サックスとトロンボーンがメインのように聞こえるが、2台のチェロ、そしてキーボード、ドラム、すべてが曲に向かって演奏している。これこそ、インストロックバンドの正しい手法なのである。
こういった条件をヴァサラットも満たしているから、私が好きになるのは当たり前なのである。うっとおしいメンバーのソロなどいらない。楽曲の持つセンティメントをお客に届けてこその音楽なのである。