数日前のブログに書いたダ・ヴィンチに引き続き絵画関係のドキュメンタリーが続きます。2014年の作品なので、もうすでに見た人が多いだろうし、今ごろ見ているのはわたしだけかも。
今年、秋に15年ぶりくらいで訪れたオランダはフェルメールの国。私はレコーディングでスタジオにこもっていたのでアムステルダム美術館でかろうじて「牛乳をそそぐ女」の絵を見ただけだったけど、フェルメールの地、デルフトを訪ねた撮影班のおじさんたちは大層感動していた。日本で人気あるよね、フェルメール。
フェルメールはデルフトで生まれ、デルフトで死んだ。この地を出た記録はあまりないらしい。そもそもフェルメールはそれほど作品点数がない。
フェルメール。光や影を描いた画家として人気があるのだが、実はこの写実的な技法はレンスを使った科学的なものだったのではないか…というわけで、アメリカのテキサス州の発明家ティム・ジェニソンが登場。
当時と同じ部屋を作り、モデルを含む小道具も配置し、フェルメールの「ピアノレッスン」を同じ技法で書き上げる、というもの。このテクニックを使えば、絵筆を持ったことのない自分でもフェルメールのような絵画が描けるというわけ。
そして、この実験は驚愕の結果をもたらす。また実験を行う上で出てくる細部。特に楽器の模様がわずかに湾曲しているなど、ティムの実験が正しいことは次々と実証されていくのだ。
この実験によれば、フェルメールは驚異的な「オタク」であり、乱暴に言うと特に絵の才能が特にあったわけではない、ということになる。
賛否両論呼びそうだし(実際呼んでいるのかも?)、全世界のフェルメール好きの人には、あまり夢のない結果となっているかもしれない。でもわたしはこのティムさんの実験は正しいと思う。私もフェルメールを描いてみたくなった! そもそもこの実験がフェルメールの才能を貶めるものだという結論になるということはない。私は逆にこんなことを発見して実行してみるフェルメールの才能にうならずをえない。
まだ写真などがなかった時代、自分の目に見えるものを忠実に再現する…という、その動機たるやものすごいものだったと思う。
そういえば、科学者の福岡センセはフェルメールのプロモーションに一役かってたけど、それは、フェルメールのそんな「オタク」で「科学」な空気に誘われたのかもしれない。福岡センセも科学と人間の間をしなやかに行き来する人だ。
このドキュメンタリー、Amazonなど配信で見ることができます。ぜひ。
そういやこんな映画もあった。『真珠の耳飾りの少女』。まぁお勤めに出た先の旦那様がコリン・ファースだったら、ちょっとドキッとするかもね(爆)
それにしてもスカーレット・ヨハンソンって、いつもいい役をゲットしてるよなぁ。「ロスト・イン・トランスレーション」もそうだけど、こういう感じの方がロマンチックだ。関係が成立しちゃったら、そこからは現実でしかないから。