写真はゲイトに向かう御大@関西空港。
いや〜ホントにご来場くださった皆さん、ありがとうございました。なんとか無事に終わってホッとしています。それにしても濃かった。濃いんですよ、御大のツアーは。普通の人の10倍くらいのテンションで生きている人だから。そしてラッキーだかアンラッキーだか1対1ツアーだから。
1対1ツアーは、ソロ・プロモーターのウチの場合,何度も経験あるんですが、ホントに大変なんですよ。何と言ってもお互いに逃げ場がない。例えばポールに「あいつの英語のRの発音が気に入らない」なんて思われても、どうしようもない。お互いにツアーが始まっちゃたら代わりがいないわけなんですよ。まぁ、もっともプランクトンさんでやってたころから私がほとんどずっと一人でアテンドしてたから慣れてるっちゃ慣れているんだけど。それにしても、まぁ、喧嘩もせずよく無事に終わったな、と。
今回も毎度ながら、ほとんどずーーーっと怒られてたけど…バシバシたたかれたり、蹴飛ばされたりしたけど(笑)…と書くと??と思われそうですが、ふふふ。まぁ、仲良しではあるんですよ。とりあえず仲良しのままで終われたのでホッとしてます。
今回は洋が合流してくれたのは最高に良かったし、なんといっても今回は食べ物が成功したよね! 京都の「やました」は本当に凄かった。ポールは京都の公演でステージ上からも「今まで行ったどのレストランよりも素晴らしかった」と絶賛してたし、「やました」って名前を覚えて「また行きたいなーやましたに行きたいなー」と何度も言っていた。「あれはライブと一緒だ」とポールは言ってた。お客様を迎えて、カウンターの前で料理をし(ポールは山下さんの目の前に座らせていただいた)、そして出口まで見送ってくれた山下さんにポールはCDをプレゼントしていた。
あと楽屋のワインも成功したね。ワインだけは白と赤と割と予算度外視で毎晩いい奴を準備した。それが成功した。ワインがいいと、ライブが良くなる。
しかし! 私が出来ることといったら本当にここまで。結局のところライブの良さというのは、お客さん次第なのだ。東京の3日間、そして京都。すべて全然違うライブだった。それは何が違うってお客さんが全然違っていた。(全公演おっかけの人も何人かいたので、そのお客さんには分かりますよね)
私が出来ることはせいぜい美味しいご飯を食べさせる事。アーティストになるべく海外にいるという不自由さを感じさせない事。そして会場のスタッフの皆さんにお願いし、演奏しやすい環境を作ること。せーぜーそのくらいだ。ステージが始まっちゃったら、もうお客さんとアーティストの問題なのだわ。
今回ポールがあまりに「いったい誰が自分のコンサートに来ているのか、分からない」「僕のお客さんというのはいったいどういう人たちなんだろう」と、何度も言うので、お客さんにポールの音楽とどういう風に出会ったか手紙に書いてきて渡してやってください、とお願いした。そしたら終演後のサイン会で結構な数の手紙があつまり、それを訳してあげたり、そのまま渡したりしたのもあるけど、御大はそのひとつひとつを丁寧に鞄にしまっていた。
翌朝、次のオーストラリアツアーへ向かう飛行機に乗るために関空へ向かう車の中で御大はいろいろ話をしていた。そこでもまた自分の音楽とはいったいどういうことなんだろう、というのをブツクサブツクサと言っていた。最後には「もう黙れよ、ポール」なんて自分で言っていた。ホントに御大って面白い。面白すぎるよ!
真面目ってことなんだろうか… 違うな… でもこんなに音楽にたいして真剣に向き合っている人をはじめて見た。
実は打ち上げでポールと話していてショックだったことがある。「僕は伝統音楽のミュージシャンにもなりきれない。ソウルシンガーにもなりきれない」あといくつかのジャンルをあげて「何にもなれない」なんて言っていた。私はそれを聴いてめっちゃショックだった。だってポールほど伝統音楽をこんなに効果的に次の世代に伝えている人がいるだろうか?って思うんですよ。「アーサー・マクブライド」だって、「ポンチャートレンの湖」だって、ポールがいなけりゃ誰も見向きもしない曲だったと思う。歌だって、あの独特のコブシ、ぎんぎんの歌声はどこにもないよ! ギターだって、ものすごいよ! だけど本人はそんな風に考えているんだね! ショックだった。
音楽はその音楽を奏でるミュージシャンよりも遥かに大きな存在だ。ポールは自分の音楽をもてあましているようだった。自分のコントロールの利かない、でも自分のものである音楽。ライブの前にテンパることについても、ポールは「あれは自分じゃないんだ」ってよく言い訳する。私に辛くあたったりするから、それを反省しているのかなぁ…(笑) ま、私は別にいいんだけどね、それが私の仕事だから。
しかし、あまりにもそんな風にあんまりポールがいろいろ言うから、いつだったかの樋口了一さんのエピソードを話してあげた。樋口さんのコンサートで、樋口さんが「1/6の夢旅人」の歌詞を間違えて、お客さんに「ごめんねー」って言ってたエピソード。ファンの中にその楽曲の思い入れが出来てしまったら、もうその曲はアーティストの所有物じゃない、って話。特にヒット曲とか、代表曲は…
そうなんだよ、音楽はいつも私たちよりずっと大きい。
そこでお客さんにお願い。なんとかこの素晴らしい音楽を、もっと友達や知り合いに広めてもらえませんか? それはご自分のブログとかTwitterとかFacebookとかでもいい。こういう時代なんだから一人一人が発信できる。そしてぜひ! またぜひポールのコンサートに来てほしいんです。
帰りぎわに「私は今、次の企画の話がしたくてウズウズしているけど、あなたは聞いてくれないでしょうね、もうオーストラリアのことで頭がいっぱいだろうから」って嫌味を言ったら、ちらっと「いつがいいんだ?」なんて御大はニヤって笑ってたけどね。はぁ〜また次の交渉も困難を極めるのかなー ん、もー!
御大も元気そうに見えるけど、もう65歳。チーフタンズのパディ・モローニは74歳で現役バリバリだけど、パフォーマンスの成り立ちがまるで違うからね。70までは出来ないんじゃないかと思う。運良く次にポールをまた呼べてたとしても、この次で最後かもな、と思っているんです。いや、脅すわけじゃないんですよ。でも絶対に今回観てくれた人には、もっと友達を誘ってほしいし、いろんな人にポールの素晴らしさを伝えてほしいし、来れなかった人にも次回は絶対に観てほしい。そんな風に思っています。それが同時代を生きる私たちの義務のようにも思えるんです。後の世代に「あのすごいアーティストのライブを俺は見たぜ!」って証言するために。
だから究極的には私は関係ない。お客さんとアーティストの問題なんだと思う。そりゃもちろん私のプロモーション力が足りなくて「なんだ、公演あったのかよ、知らなかった」って人もいるかもしれない。でも、私はそういう事実を棚上げにしてでもお客さんにお願いしたいと思っているんです。
それにしてもすごい公演だった。ポールの公演は結構時間がたっぷりで…まぁあれだけのレパートリー網羅するには、そのくらい必要なんだろうけど… 例えば初来日の時のLAUとか、先日のkanとか、そして私がマネージャーしてたころのケンソーとか、必ず私は「ライブは短めじゃないと動員が延びない」ってはっきりアドバイスしてきてた。でも御大にはそれは言えなかったね。グレンにも似たようなところあるけど、あんなにパワフルにすべてをステージ上から与えてくれる人を他には知らない。あんなライブ、ホントに他には存在しない。
ホントにいろいろ考える。いろいろ考えるよ、ホント!! この私の仕事もいったいなんなんだろう!ってね。いったい、どうすればこの音楽がより多くの人にリーチするんだろう!
御大終わって、心に穴ぽっかりで、寂しいけど、そこまで思い入れが出来る仕事が出来て私もなんてラッキーなんだろうと思う。普通大人になったら、こんなに感情移入しないよね。もっとも今朝起きて、御大から「朝ご飯いくぞー」という電話が入らない久しぶりの朝にホッとしたのも事実。朝、昼、晩、ずっと一緒だった。これに比べると他の仕事が薄くって…。でも次のバンドから、ガンガンとメールが入ってくるのが、今は有り難い。ごめんね、今まで待たせて。スタクラから、マルコから連絡ががんがん入る。次の仕事が存在しているのは、今はありがたい。次に行かなくちゃと、燃えかす状態の自分を団扇で扇いで必死に火をおこそうとしています。
ありがとう、御大。御大にあわなければ、私はこんなに濃いプロモーター人生歩めてませんわ。本当に感謝している。御大と御大の音楽に。
いや〜ホントにご来場くださった皆さん、ありがとうございました。なんとか無事に終わってホッとしています。それにしても濃かった。濃いんですよ、御大のツアーは。普通の人の10倍くらいのテンションで生きている人だから。そしてラッキーだかアンラッキーだか1対1ツアーだから。
1対1ツアーは、ソロ・プロモーターのウチの場合,何度も経験あるんですが、ホントに大変なんですよ。何と言ってもお互いに逃げ場がない。例えばポールに「あいつの英語のRの発音が気に入らない」なんて思われても、どうしようもない。お互いにツアーが始まっちゃたら代わりがいないわけなんですよ。まぁ、もっともプランクトンさんでやってたころから私がほとんどずっと一人でアテンドしてたから慣れてるっちゃ慣れているんだけど。それにしても、まぁ、喧嘩もせずよく無事に終わったな、と。
今回も毎度ながら、ほとんどずーーーっと怒られてたけど…バシバシたたかれたり、蹴飛ばされたりしたけど(笑)…と書くと??と思われそうですが、ふふふ。まぁ、仲良しではあるんですよ。とりあえず仲良しのままで終われたのでホッとしてます。
今回は洋が合流してくれたのは最高に良かったし、なんといっても今回は食べ物が成功したよね! 京都の「やました」は本当に凄かった。ポールは京都の公演でステージ上からも「今まで行ったどのレストランよりも素晴らしかった」と絶賛してたし、「やました」って名前を覚えて「また行きたいなーやましたに行きたいなー」と何度も言っていた。「あれはライブと一緒だ」とポールは言ってた。お客様を迎えて、カウンターの前で料理をし(ポールは山下さんの目の前に座らせていただいた)、そして出口まで見送ってくれた山下さんにポールはCDをプレゼントしていた。
あと楽屋のワインも成功したね。ワインだけは白と赤と割と予算度外視で毎晩いい奴を準備した。それが成功した。ワインがいいと、ライブが良くなる。
しかし! 私が出来ることといったら本当にここまで。結局のところライブの良さというのは、お客さん次第なのだ。東京の3日間、そして京都。すべて全然違うライブだった。それは何が違うってお客さんが全然違っていた。(全公演おっかけの人も何人かいたので、そのお客さんには分かりますよね)
私が出来ることはせいぜい美味しいご飯を食べさせる事。アーティストになるべく海外にいるという不自由さを感じさせない事。そして会場のスタッフの皆さんにお願いし、演奏しやすい環境を作ること。せーぜーそのくらいだ。ステージが始まっちゃったら、もうお客さんとアーティストの問題なのだわ。
今回ポールがあまりに「いったい誰が自分のコンサートに来ているのか、分からない」「僕のお客さんというのはいったいどういう人たちなんだろう」と、何度も言うので、お客さんにポールの音楽とどういう風に出会ったか手紙に書いてきて渡してやってください、とお願いした。そしたら終演後のサイン会で結構な数の手紙があつまり、それを訳してあげたり、そのまま渡したりしたのもあるけど、御大はそのひとつひとつを丁寧に鞄にしまっていた。
翌朝、次のオーストラリアツアーへ向かう飛行機に乗るために関空へ向かう車の中で御大はいろいろ話をしていた。そこでもまた自分の音楽とはいったいどういうことなんだろう、というのをブツクサブツクサと言っていた。最後には「もう黙れよ、ポール」なんて自分で言っていた。ホントに御大って面白い。面白すぎるよ!
真面目ってことなんだろうか… 違うな… でもこんなに音楽にたいして真剣に向き合っている人をはじめて見た。
実は打ち上げでポールと話していてショックだったことがある。「僕は伝統音楽のミュージシャンにもなりきれない。ソウルシンガーにもなりきれない」あといくつかのジャンルをあげて「何にもなれない」なんて言っていた。私はそれを聴いてめっちゃショックだった。だってポールほど伝統音楽をこんなに効果的に次の世代に伝えている人がいるだろうか?って思うんですよ。「アーサー・マクブライド」だって、「ポンチャートレンの湖」だって、ポールがいなけりゃ誰も見向きもしない曲だったと思う。歌だって、あの独特のコブシ、ぎんぎんの歌声はどこにもないよ! ギターだって、ものすごいよ! だけど本人はそんな風に考えているんだね! ショックだった。
音楽はその音楽を奏でるミュージシャンよりも遥かに大きな存在だ。ポールは自分の音楽をもてあましているようだった。自分のコントロールの利かない、でも自分のものである音楽。ライブの前にテンパることについても、ポールは「あれは自分じゃないんだ」ってよく言い訳する。私に辛くあたったりするから、それを反省しているのかなぁ…(笑) ま、私は別にいいんだけどね、それが私の仕事だから。
しかし、あまりにもそんな風にあんまりポールがいろいろ言うから、いつだったかの樋口了一さんのエピソードを話してあげた。樋口さんのコンサートで、樋口さんが「1/6の夢旅人」の歌詞を間違えて、お客さんに「ごめんねー」って言ってたエピソード。ファンの中にその楽曲の思い入れが出来てしまったら、もうその曲はアーティストの所有物じゃない、って話。特にヒット曲とか、代表曲は…
そうなんだよ、音楽はいつも私たちよりずっと大きい。
そこでお客さんにお願い。なんとかこの素晴らしい音楽を、もっと友達や知り合いに広めてもらえませんか? それはご自分のブログとかTwitterとかFacebookとかでもいい。こういう時代なんだから一人一人が発信できる。そしてぜひ! またぜひポールのコンサートに来てほしいんです。
帰りぎわに「私は今、次の企画の話がしたくてウズウズしているけど、あなたは聞いてくれないでしょうね、もうオーストラリアのことで頭がいっぱいだろうから」って嫌味を言ったら、ちらっと「いつがいいんだ?」なんて御大はニヤって笑ってたけどね。はぁ〜また次の交渉も困難を極めるのかなー ん、もー!
御大も元気そうに見えるけど、もう65歳。チーフタンズのパディ・モローニは74歳で現役バリバリだけど、パフォーマンスの成り立ちがまるで違うからね。70までは出来ないんじゃないかと思う。運良く次にポールをまた呼べてたとしても、この次で最後かもな、と思っているんです。いや、脅すわけじゃないんですよ。でも絶対に今回観てくれた人には、もっと友達を誘ってほしいし、いろんな人にポールの素晴らしさを伝えてほしいし、来れなかった人にも次回は絶対に観てほしい。そんな風に思っています。それが同時代を生きる私たちの義務のようにも思えるんです。後の世代に「あのすごいアーティストのライブを俺は見たぜ!」って証言するために。
だから究極的には私は関係ない。お客さんとアーティストの問題なんだと思う。そりゃもちろん私のプロモーション力が足りなくて「なんだ、公演あったのかよ、知らなかった」って人もいるかもしれない。でも、私はそういう事実を棚上げにしてでもお客さんにお願いしたいと思っているんです。
それにしてもすごい公演だった。ポールの公演は結構時間がたっぷりで…まぁあれだけのレパートリー網羅するには、そのくらい必要なんだろうけど… 例えば初来日の時のLAUとか、先日のkanとか、そして私がマネージャーしてたころのケンソーとか、必ず私は「ライブは短めじゃないと動員が延びない」ってはっきりアドバイスしてきてた。でも御大にはそれは言えなかったね。グレンにも似たようなところあるけど、あんなにパワフルにすべてをステージ上から与えてくれる人を他には知らない。あんなライブ、ホントに他には存在しない。
ホントにいろいろ考える。いろいろ考えるよ、ホント!! この私の仕事もいったいなんなんだろう!ってね。いったい、どうすればこの音楽がより多くの人にリーチするんだろう!
御大終わって、心に穴ぽっかりで、寂しいけど、そこまで思い入れが出来る仕事が出来て私もなんてラッキーなんだろうと思う。普通大人になったら、こんなに感情移入しないよね。もっとも今朝起きて、御大から「朝ご飯いくぞー」という電話が入らない久しぶりの朝にホッとしたのも事実。朝、昼、晩、ずっと一緒だった。これに比べると他の仕事が薄くって…。でも次のバンドから、ガンガンとメールが入ってくるのが、今は有り難い。ごめんね、今まで待たせて。スタクラから、マルコから連絡ががんがん入る。次の仕事が存在しているのは、今はありがたい。次に行かなくちゃと、燃えかす状態の自分を団扇で扇いで必死に火をおこそうとしています。
ありがとう、御大。御大にあわなければ、私はこんなに濃いプロモーター人生歩めてませんわ。本当に感謝している。御大と御大の音楽に。