テレビ朝日「TVタックル」で死刑制度が取り上げられました。
出演はビートたけし、大竹まこと、阿川佐和子のいつもの三人にアナウンサー江口ともみ。ゲストはミッツ・マングローブ、大宮エリー、鳩山邦夫、丸山和也、菊田幸一、寮美千子、坂本敏夫。
袴田事件をきっかけに議論が高まっている?死刑制度について取り上げられました。
町の声は死刑制度に賛成/反対/わからないなど様々。内閣府の調査では平成21年度、死刑存続をのぞむ声は85.6%とされている。
しかし世界の主流は世界廃止。日本にいる外国人にストリートインタビューするとほぼ全員が死刑制度は自分の国にはない。死刑制度にも反対だ…と。
国連は2012年総会にて死刑制度が残る国に死刑執行停止を求める決議案を提出。111ケ国が賛成している。(韓国では実行されない状況=モラトリアム、モンゴルでは廃止となっている。先進国であるのはアメリカの一部と日本くらい)
さらに現在ではEUは死刑がある国は加盟できない。EUの加盟条件としても死刑廃止は重要。
一方で凶悪犯罪は後をたたず…被害者が死刑を望む声も大きい。
まずはビートたけし「オレは死刑はダメなんですよ。俺は死刑は極刑だとは思えない。そんなんじゃ済まない、という部分もある。もっと生きてもらって人間とは何か、終身刑で勉強させるほうがいいのではないかと思う。中には死にたいから人殺しをするという奴もいる。人権的な意味ではなく、ヘんな意味で、もっと罰してもいいんじゃないか、とも思う」
まず今日の出演者に意志表示をもとめる…すると
反対:菊田幸一、大宮エリー、寮美千子
賛成:ミッツ、小薮千豊、丸山和也、鳩山邦夫
わからない:大竹まこと
まずは反対派の意見、大宮「国家が死をもって裁くというのが生理的にダメ。違和感がある」(でもこういうのが一番説得力がない意見なんだよね…)
条件付きで賛成という小薮「えん罪は可哀想なので、それは置いておいて現行犯だったら死刑でいいと思う。例えば道で人をたくさん殺してその場で捕まった人とかなら死刑。人間は罰がないと悪いことをするしダメだと思う」
丸山「日本はどちらかというと自分のしたことに命をもってつぐなうという文化がある」
寮「死刑囚は死ぬ権利はないんですよ。ちゃんと健康管理もあった上で、命を奪うという形で罰せられる。自分から命をささげるシステムになっていないのが、今の死刑制度です」(←これはすごく正しい!)「また85%と言うが、どんな場合でも死刑は廃止すべきが5.7%。そして、場合によっては死刑もやむを得ないというのが85.6%なんですよ」
阿川「質問の仕方が全然違うんですね」
また昭和55年の内閣府の調査では「あなたは重い罪を犯した人でもなるべく死刑にしない方がいいですか。そうは思いませんか」という質問に対して「なるべく死刑にしない方がいい」というのが25.3%、「そうは思わない」41.7%だった。つまりこのアンケートでは死刑があった方がいいと言う人が41.7%しかない、と寮さんは指摘する。
江口アナ「日本でも2009年に裁判員制度が始まりました。死刑判決は20件出ています。直接市民が死刑かそうでないか決断をしなけえればいけない場面に来ているのです」
菊田「判断するにあたって死刑について基本的な知識をもっと情報公開しろ、という声があがってきている」
ここで13人も執行した鳩山元大臣登場「これは日本人の文明。たくさん人を殺しておいて死刑にならないというのはありえないと思う。死刑を廃止している国でもよほどの時は執行する、とかあるわけですよ」(ちなみに死刑廃止は世界の半分。でも執行を事実上停止している国をいれると全体の7割)「文明が変わったら、考えてもいいかもしれないが…」
ミッツ「自分が裁くほうになる、っていう意識できているけど、実は逆に自分が罪を犯したほうになる、という場合を考えたほうがいいと思うんですよ」
大宮「そこが分からないのは、私は自分の命をもって償いたいと思うのであれば、私は死刑よりも自分で死ぬと思う。真摯な気持ちで死刑になる人がどのくらいいるか、ということなんですよね」
死刑執行の最終決定権を持つのが法務大臣。死刑は判決後、法務大臣のサインで実際に実行される。これらは過去の法務大臣が執行した数。
ずっと反対だった千葉大臣が執行したのはびっくりだったね…
あとは任期が短い…ってことはあるが、それにしても鳩山大臣の執行数は群を抜いてる…
自民党政権は死刑が好きだよね…
死刑はしない、って断言する大臣も過去にはいた。就任会見で「この問題についてはよくこれから相談していこうと思っている」といった杉浦大臣。
死刑は何人かの決済を経て、最後に法務大臣がサイン。サインされると5日以内に執行される。
鳩山「死刑を執行しましたが、それは厳粛な気持ちでやりましたよ。3時間くらい自分で裁判記録を読むんですよ。そうするとこんな残虐なひどい人間っているのか、という事になるわけです。再審制のもとでは、そういう本当にひどい人間しか死刑ってことになってないですよ。償うとか更生するとか…そういう余地のないところに死刑が出ていると思います」
菊田「あなたは紙しか見ていないでしょう。人間ってのはそんな凶悪だけで生きているわけではないんですよ。書面上はそうかもしれませんがね。裁判の過程においても出て来てない事が多い」
小薮「法務大臣が裁判所が決めたことに従わないのは良くないと思う」「死刑が進んでいないことも良くないと思う」
ちなみに死刑判決から実際の執行までは平均5年6ケ月と言われています。
丸山「裁判官だって苦渋の決断だと思います。永山基準というのがありますから」
永山基準とは日本の死刑判決における判断基準をしめしたもの。例えば2人以上殺すと死刑…といった基準として示された。
大竹「袴田事件ってのがあるんですよ。警察が調べて、裁判が死刑といって、48年間時間がかかって、それなのに今度の裁判官は正義に反する、と言った。一人の人間が無罪なのに刑の執行におびえながらすごす。家族も巻き込んで48年間。これがえん罪だったらどうするのか? 警察、検察のあり方が問題だと。可視化の問題も含めてね」
丸山「袴田事件についてはDNA検査の問題もあった。今の調査の状況だったらありえない事だ。えん罪は減ってきている」
たけし「犯罪者は命の大切さを分かってて奪ったわけではない、ということ。オレは拘置所に入って好きな食べ物食べろとは言わないよ。ちょっと更生して勉強して、きちんと生活して勉強して、時間通りに起きて労働して…そういうことが罰になったらいいな、という事なんだよ」
死刑制度がなくなったら凶悪犯は更生するのか…
小学校に押し入って8人もの児童の命を奪った宅間守元死刑囚については、本人が死刑をのぞみ1年あまりで執行された。
寮「ほんとうにひどい事件だと思うけど、彼が更生されるチャンスはあったか?というと、私はあったと思うんですよ」
小薮「(つまんない芸人の受け売りの発言は省きます)現行犯だったら死刑にしてもいいと思うんですよ。何かいけない事をしたら罪をかぶって当然だと思います」
寮「でも死刑というのは別です」
菊田「人間っていうのはどんなに近代化しても人を殺すんです。教養のある人も、ない人も人を殺すことはありうる。だからといって国家が被害者の代理で人を殺していいということはありえない。仇討ちは近代国家にはありえない。僕は終身刑というのがいいと思うんですよ」
丸山「そっちの方が残酷ですよ」
菊田「人間が死ぬか生きるかは他人が決めていいことではない」
寮「自分は真っ当な人間である、というのを前提としていませんか?」
鳩山「ハムラビ法典は民主国家ではあり得ませんが、人間が最初にもった倫理観だと思う。刑罰というのはまず懲らしめないといけないと思うんですよ」
大宮「自分のした罪の重さを分からないで死ぬというのはありえないと思う」
たけし「被害者の方の意思表示っていうのもありますよね。たとえば被害者に(絞首刑の)ボタンを押させるとして、あなたは押しますか、という疑問がありますよね」
と、ここで死刑囚の生活が紹介させる。死刑囚が収容されているのは刑務所ではなく、拘置所。つまり刑務所では通常仕事を与えられる。でも死刑囚は死ぬのが仕事なので、拘置所におかれ、そして死刑の執行を淡々と待つ、というのが仕事。
そう、健康に過ごし、執行を待つのが仕事。
死刑囚が暮らす独房。広さは7.5平米。131名が現在拘置所の独房の中にいます。
健康的に規則正しい生活。そのほとんどを独房の中で過ごします。(ちょっとここでホリエモンが仕事のある刑務所よりも、何もない拘置所に居たときのほうが辛かった、と言っていたのを思い出します)
死刑執行は当日の朝、知らされます。担当刑務官が独房を訪れます。別室へ移動し「残念ながらお別れです」と告げられます。遺書を書くこともできます。
これが実際の映像。
絞首刑所。
この3つのボタンのどれかが死刑を執行する。
丸山「当日の朝に告知、というのは僕は反対しているんです。たとえば5年待たされて、それでいきなりくるわけでしょ。これはありえないな、と。これでは家畜と一緒ですよ。事前の告知をして事前に自分で整理することは整理し、その中で出来れば執行の日を選ばせてあげたいですよね」
阿川「袴田さんにしてみれば死刑を宣告されてから、もう毎朝毎朝、今日なのかと思っていたわけですよね?」
丸山「知らせないのは精神の安定のため、とかいう法規があるんですけどね…僕はこれは残酷だと思うんですよ。本当の人権を考えたらね」
菊田「でも、そもそも殺し方が残虐かどうかと、という疑問自体ありえない。殺すことがすでに残虐なわけですから」
江口アナ「今、無期刑受刑者は30年以上たってから釈放というのが現状。仮釈放は1%に満たない。刑務所内で亡くなる人も多い」
ミッツ「映像見てみればすごく恐怖を感じるし残酷だな、というのはある。でも死刑は懲らしめるために必要だ。でもさきほどの無期刑受刑者の話でもあるように、世の中に悪い分子を世の中に泳がせないということが目的であれば無期刑というのはありだとも思う。ただ罰則としての死刑という事であれば必要な気がします」
さてここで無期懲役と死刑の場合との税金の違い。元刑務官の坂本さん。
坂本「受刑者は実は私が刑務官していた時代は年間100万くらい国庫に入れるような形になるんですよ。でも死刑囚は70万くらいかかる形になるんですね。それだけお金もかかる」
坂本「それを思うと刑務所にいれて働かせて、ちゃんと自分たちの食い扶持は自分たちで稼がせるのがいいと思いますけどね」
坂本「私が刑務官でいたときは無期懲役者などを入れる施設が8つしかなかった。今は20に増えている」
菊田「覚せい剤とか、本来は刑務所の処遇に馴染まない連中を刑務所に入れている。本来なら病院にいれるべき。(死刑を執行して)殺さないと増える、とかそういう問題ではないと思う」
たけし「たとえば農業とかやらせてみて、作物が取れなければ食べるものないんだよ、っていって生命の大切さを教える…くらいでいいと思うんだけどねー」
「哲学的で、人殺してまたもう一人殺す(死刑にする)のかという問題と、また人を殺したことで、その人の周りの人の人生も大変なことにしてしまって…という問題はあるよね」
この本めっちゃリアルです。お薦め。まずはリアルに死刑のことを知ってほしい。
EU代表部のシンポジウムに行ってきました「死刑廃止に向けて」