小田嶋隆「場末の文体論」を読みました

面白い。最高に面白いです。北区赤羽が生んだ最高のコラムニスト、小田嶋隆さんの人気コラム「ピース・オブ・警句」の連載をまとめたものなので、読まれている方も多いかも。でもやっぱり書籍は読みやすいし、最後に同じ北区出身の津田大介さんとの対談もあるので、やっぱり本の方がいいね。

今週の「謝罪会見2.0」も本当に面白い。まったく同感。ただ分かるんだけど、小田嶋さんのファン…というかtwitterフォロワーの人は、小田嶋さんにこうあって欲しい、って勝手な理想があるんですよ。

でも残念ながら人間は、例えば家庭内で妻や夫,ましてや自分の子供でさえも自由にならないように、他人なんて絶対に変えることは出来ない。そもそも誰かの理想を実現させるために生きている人間なんて誰もいないんだから… ところがそういうのが分からない人が多いんだよね。世の中。

とはいえネットの匿名性における問題はホント大きくて、人気商売にとっては税金みたいなものとはいえ、有名人や著名人の方がいろいろ理不尽に絡まれているのを見るたびに「そうだよね、万人に好かれなくっていいんだわ」と私も思いを新たにするわけです。小田嶋さんはそういう文化人の一人。ウチも例えばウチの事業を全面的にサポートしてくれる人がいて、年間何百万も投資してくれるなら、私の日頃のふざけた態度を改めるべく考えますけどね(…とか言うと、何か飛んできそう…)。

それはともかく小田嶋さんは、現代社会の「ポエム」化を指摘した人でもある。そっちを読まないといけないのだが、何せまずは「積ん読」の山をなんとかしないといけない。なので、こっちの方から読み始めた。

特に「談志中坊にやどる」という立川談志がなくなった時のコラムが中でもとても好きだ。極めて軽妙な語り口と抜群のユーモアのセンスで、しっかり本質の部分を捉えている。落語が好きだった地元仲良し三人組の下りなど、ホロっとくる。文化はそうやって、いろんな人をつなげていく立場の物でなくてはならない。私なんぞもこの業界の末端にいても、そう思ったりする。

あとするどかったのは橋下/週刊朝日問題での「文章において、書き手の真意はどんなに技巧的に書いても最終的には必ず読者に伝わることになっている」というところ。書き手がニセモノの感情を書いたり、ウソの理屈を並べても読者はそれを必ず見破る、という下りだ。「好きだと思って書くとその愛情は幾ら悪口で繕っても伝わる」というところとか…。いやいや共感した部分をあげていったら、キリがない。

こちらは書籍になるのは当分先だろうけれど、最近のヒットの小保方問題の「あれは女子力のイベントだった」という回も最高だったし、「友達が減っていくのが、大人のあかし」も素晴らしい。しばらく前では自民が圧勝してみんなが呆然となった時のコラムにもすごく救われたなぁ。世の中はホント世知辛くなっていく一方だけど、小田嶋さんのコラムがあるから、なんだか気持ちの落としどころがある、って感じ。ホントいいなぁ、一度赤羽で一緒に飲んでみたいよー!(爆)

まぁ、でも小田嶋さん、投票にはやはり行った方がいいように思いますよ。余計なお世話だけどね(笑)



PS
今日は偶然にもこんな話が重なった。
大倉眞一郎さんのブログ「病院行けよ」

それによって思い出したこんな出来事。
日本トランスオーシャンの写真差し替えと立派だったAviration Wireさん

こんな記事も…なんか考えさせられる。
「クリームソーダシティ 未完のまま連載終了」