矢沢永吉「成りあがり」を読みました。

読んだよー。矢沢永吉激論集「成りあがり HOW TO BE BIG」

HOW TO BE BIG…だって。なんか恥ずかしいよね…この副題。今ならもうちょっと気の聞いた副題付けそうだけど。いつだったか読んだヤンキー本に書いてあったとおり、永ちゃんを始めとする日本のヤンキーにはアメリカへの憧れがあり、バットセンスがある。

何故この本を読んだかというと… 飲み会でおじさんに薦められたからだ。おじさんはラジオ制作会社の偉い人で、会社がある六本木を歩いていると、その強面のルックスとスキンヘッドが災いして、よく道端で「お世話になっています」と、その筋の人に挨拶されるらしい(笑)。でも私がメーカー勤務時代…つまり25年くらい前からお世話になっている方で、中南米音楽を心から愛している優しいおじさんなのだ。そのおじさんと他のおじさんと3人で六本木の親父居酒屋で飲んでいたら、そこで「正しい右翼」みたいな話題になった。最近の安倍政権はなっとらん。オレが正しい右翼本を教えたる、ってんで教わった2冊のうち1つ。

すみません、永ちゃんファンの皆さん、ごめんね。でも基本的どちらかというと左寄りでオタクな私からしたら、永ちゃんなんてうんと右翼でうんとヤンキーに見えるのよ。詳しくはこの名著「世界が土曜の夜の夢なら」を読むとよろし。

何はともあれ…これ、糸井重里が永ちゃんの言葉を起こしてんだよね。でも発売当時は永ちゃんが書いたことになってたように記憶している。だから読みやすいんだけど、でも読みにくい(笑)

最初は読み進めるのがホントつらかった。そもそも永ちゃん口調になれてないし、いわゆる業界のひっくり返し用語が連発されている(ファン=ワンフーとか、オンナはなんだっけな、ナオンかな?/笑)のも痛いし…。でも永ちゃんって、意外と音楽をしっかり聞いていて…でもLPは自分では4枚しか買ってないとか言っているけど… 永ちゃんのルーツがビートルズってのも、なんか意外だったよ。

そして横浜に出て来て、奥さんに出会ったあたりから、すっごい面白くなってきて、お母さんとか亡くなるあたりは、もう号泣。広島の親戚との確執や(おばあちゃんとドラムのエピソードは…泣ける)、その後のゴタゴタが取り上げられたりしてるジョニー大倉さんに対してひたすら「あいつは優しい」と説明するところとか。レコード会社のことや事務所のことも結構赤裸々に書いてある。今でこそブログやら何やらでミュージシャンやアーティストがはっきり組織に物をいうこともあるけど、当時としては大変なものだっただろう。ミッキー・カーチスとフォノグラムに対してははっきり騙された、くらいのことは言っているし、すごい本だよな、と思った。そしてキャロルの前のバンドが解散していくところとかはホントに辛かった。

そして永ちゃん、真面目だね。すっごく真面目だ。こんな彼からしたら周りはふざけたやつばっかりで、周りはバカばっかに見えただろうね。「あいつは堅物だ」と言われながらも孤高のリーダーシップを取りつつ、家族を大事にしつつ… すごいわ、これ。もっとも苦労時代をささえた奥さんとはその後離婚してしまうらしいのだけど。

それにしても、これ28歳の時の話なんだよね。すごいよ。多くの人に名著と呼ばれているの、分かる気がするね。これは認めないわけにはいかない。そんな感じの本だ。