ウィリアム・トレヴァー短編集「密会」を読みました。素晴らしい!

積ん読本の中に新潮社クレストを見つけた! 装丁があいかわらず素敵で、内容も外れがない新潮社クレスト本。

アイルランド生まれ、現在はデヴォンシャーに住んでいるというウィリアム・トレヴァーの短編集だ。

アイルランド生まれの著名な作家ということで、これは読んでおかねばならぬだろう、と買ったのだろう。過去の自分にWell Done。うん、すごくいい本だった。

物語の題材に不倫が多く、悲しく暗くどうしようもない抜け道や落としところのない話ばかりなのだが、でもサラリとしていて、まったくウェットじゃない。そこがいい。

毎日お風呂のなかでお話しを1つ読む。それにちょうどいいくらいの長さで、毎日お風呂に入るのが楽しみになった。最後のほうは、読み終わるのが残念で、寂しく思われたくらいだ。

で、もっと彼の作品を読みたいなーと思ったら、なんと積ん読本の山の中に、もう1冊ウィリアム・トレヴァー見つけた! やはり短編集で「聖母の贈り物」しかもこっちは栃木伸明さんの訳。これを次に読もう!…というか、実はこの投稿を書いている間にすでに読みはじめていて最初のお話しの「トリッジ」でもうノリノリ中。いいわ、ウイリアム・トレヴァー。

特に好きだったお話は、アイルランド人のアメリカへの憧れってなるほどこういうことなのかも…と思った「大金の夢」、人生において何がその人の生きる力になるか分からないといった内容の「ダンス教師の音楽」、独身の男女のずるくて、とても褒められたものではないかけひきを書いた「夜の外出」、子供に同情される老教師の哀愁を描いた「ローズは泣いた」、家庭をひっぱり明るく頑張る女性。やるべきことをやらなかったのは彼女ではなく、世の中だった…という「聖像」などなど。