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2016年2月13日土曜日

映画「スティーブ・ジョブズ」観た!!


観た。初日に観て、めちゃくちゃ批判してやろうというネガティブなやる気満々で行ったのに、みるみる引き込まれちゃった。いや〜、素晴らしいです、これ。「スティーブ・ジョブズ

六本木ヒルズの映画館で初日の2回目(13:00〜)に観たんだけど、結構空いていたなー。あんまり世間では期待されてる映画じゃないのかな。前宣伝も自分の周りでは、あまり見なかったし。でもそんなことはさておき、これはきっとアップル・ファンには響く映画だと思う。

会場の入り口でジョブズのクリア・ファイルをもらった。中はソフトバンクの宣伝なんだけど、さすが孫さん。スティーブの映画だったら当然サポーツするよね。iPhone売ってる携帯電話会社は数あれど、こういう事してくれるのは孫さんとこだけだわ。あれこれいう人多いけど、やっぱりさすがだと思う。他の携帯会社は単なる電話機を売っているだけだと思う。

何度かここに書いているが、私は特にアップル製品のファンというわけではない。iPhoneは持ってないし、iPadは溺愛してるけど、アップルが新しい製品だしたからといって特に注目はしないし、アップル製品が薄いからかっこいいとか思ったこともない。ただ私がコンピュータを使い始めた頃、素人が使えるコンピュータはアップルだけだったし、それで使い始めただけだ。それから自然にパーソナル・コンピュータはアップルになった。

その後、ジョブズが亡くなってアイザックソンのバイオ本が出たのだが、それを読んで私はすっかりジョブズのファンになった。それでやっとスタンフォードのスピーチとか、iMac発表の動画をYou Tubeで確認したくらいだ。そのくらい遅れてやってきたジョブズ・ファンなのであるが、いや、ホントこのブログでも何度も書いているように、時々思うんだよね…。私の仕事好きのこのスピリットを理解してくれるのは、きっとスティーブだけだ、って(爆)

以前に上映されたアストン・カッチャーのジョブズ映画はしかし、イマイチだった。唯一カッチャーが真似てみせるジョブズの歩き方には感心したが。(あの映画に対する私の感想はここ)だから、この映画も批判する気満々で行った。どうせスティーブのことは、誰も分かっちゃいないんだ、と。ジョブズ・ファンはみんな心の底ではそう思っている。そして世の中が、映画が、本が、第三者がスティーブのことをこうだと提示してみせるたびに、しっかりと確認するのだ。お前はダメだ。お前は分かっちゃいない。本当のスティーブが分かるのは自分だけだと。そして本当の自分のことを分かってくれるのもスティーブだけだと。……と、このようにスティーブのファンはとても面倒くさいんだよ、すみません(笑)

しかし! この映画、すっごく良かった。映画が始まって20分で、そんな斜めな気持ちはすべて払拭された。いやはや、ものすごいセリフの量だ。ものすごい言葉の洪水。果たしてアップルの基本情報を持たない人が、これを見てこの物語をちゃんと理解できるんだろうか、とちょっと心配になるくらい。

とにかく喧嘩、喧嘩、喧嘩の嵐だ。みんなエゴむき出しですごい言い争いの嵐。が、そのセリフがいちいち良い。聞けば脚本はあの名作「ソーシャル・ネットワーク」の脚本家であるというじゃないか。あの映画はホントに名作だった。

映画は3つの新作発表会イベント…正確にはイベント前の40分を核に進行していく。最初はマッキントッシュの時。有名な「ハロー」を言わせた発表会。2番目はスティーブがアップルをクビになったときに設立したNEXTの時。3番目は再びアップルに返り咲いてiMacを発表した時。それぞれの楽屋裏のバタバタとスティーブのスタッフに対する無茶ぶり、それと同時にジョブズの隠し子(当時としての立ち場そうだった)リサとの確執などが折り込まれていく。

それにしても、イベント、もう始っちゃうよ!というハラハラ感が、映画の進行に緊張感を持たせる。とにかくハラハラドキドキ。一方のジョブズは「絶対に時間には遅れない」と主張する。観客はものすごい熱気でジョブズの登場を待ち構えている。

それにしても…と思う。確かにウチの公演もそうだし、イベントの前は確かに楽屋裏は大パニックだが、こんなタイミングで、この映画に描かれているようなヒステリックな言い争いが実際にあったとは信じがたい。そして、念のため書いておくが、ウチのお客さんは心配しないでほしい。私は絶対に開演前は、たとえアーティストの家族であったとしても第三者は楽屋には入れないから。アーティストには絶対に公演に集中させる。開演前の楽屋は私とアーティストの聖域であり、家族だって絶対に入れさせない。(もっともプロでわきまえている家族は別である。そうなのだ…ウチの仕事でよく言うことなんだが、私はミュージシャンは選べるのだが、ミュージシャンの家族や友達は選べないのだ。ま、この話題は深いので、また次回)

ちなみにさらに自慢しちゃうと、ウチは何年も公演を作ってきたが、開演が5分以上遅れたことは一度もない。一度だけ機材トラブルでアラマーイルマン・ヴァサラットとヴァルティナのO-WEST公演で、開「場」時間が大きく遅れたことがあったが(15分くらい)、あれだってちゃんと時間通りに開「演」したはずである。そして3時間にも及ぶようなダラダラ・コンサートも絶対にやらない。それはスティーブの言うとおりプロだったらそうするべきだと思っているからだ。(ところで15分開場が遅れた時のお客様、すみませんでした。あの時、天気が悪くてO-Westの階段は吹きさらしだし、ご迷惑をおかけしました。でも確か「〜分に開場します」っていって、いったんバラしたんだよね)

話が自慢話になっちまった(笑) 

だからジョブズと広報担当のホフマン女史とのやりとりは、ホントにいいな、と思った。ジョブズも女史を信頼しているのがよく分かる。しかし本番前の主役にこんなにチャチャが入るとは、イベントの責任を預かる主催者としては絶対に許せないはずなのだが…

まぁ、イベントの開演直前の楽屋裏の緊張感は、ものすごいものがある。お客さんはこのアップルの発表会を、大変な期待をもって待ち構えている。時間に追われる中でもひるまない言い争いの嵐からジョブズのちょっとした優しさや迷いがかいま見れる。ジョブズはアスペルガーだ、と言っている人は多いが、いったい本当はどうだったのだろうと思う。とにかく俳優さんの演技は最高に素晴らしかった。マイケル・ファスベンダー。ジョブズに顔はちっとも似てないんだけど、最高に素晴らしかった。うん。

そして…そんなジョブズを支え、ジョブズに何を言われてもひるまないマーケティング担当のジョアンナ・ホフマン女史を演じるのは「タイタニック」のケイト・ウインスレット。今回、女優としての彼女を初めていいなと思った。ちょっと小太りの垢抜けない雰囲気の女を演じるのはぴったりの女優さんだ。頭がよくセリフのテンポもよく、とにかくこの役には適任だったと認めざるをえない。こちらも合格。(って、オレなに様? 単なる1スティーブ・ファンです/笑)

それにしてもあのバイオ本を何度も読んだ読者の私であるが、果たしてこの映画がどこまで真実を描いているのかが、まったく判断できない。この人、こういうイメージなんだっけ?ってのは、映画をみていて何度もあった。リサとのことだって仲良くなるように仕向けたのは、ホフマン女史よりも奥さんのパウエルだと思っていた。もっともジョブズの周りにいて本当に彼のことをおもんぱかっている人は、絶対に娘とは仲良くするようにアドバイスしただろうが。絵にかいたお人好しのウォズも、映画ではスティーブにガンガンうるさくこだわるし、なんかイメージが違った。そしてジョン・スカリーも。だいたいこの映画によるとスカリーとは最後和解してたようだ。その辺も本を確認しないとなんともいえない。好きな伝記本で、4、5回読んでいるはずだが、もう記憶がさだかではない。この映画が、いったいどのくらい真実に近いのかは、そんなわけでよく分からないが、スカリー役の彼も良かった。

映画の内容に話を戻すと、それにしてもホフマン女史が考えだしたスティーブを表現する言葉「現実歪曲フィールド」は、素晴らしい言葉だと思う。何かを成し遂げる人は現実をある程度自分に都合のいいように世界を解釈する能力が必要とされる。人はそれを「勘違い」と呼ぶ。いや〜、勘違い上等。勘違いしなけりゃ、何かを成し遂げることなんて出来やしない。それは私のレベルであっても同様である。そして、やっぱりジョブズっていいなぁと思うわけですよ!! はい!

ほんとうに面白い映画だった。とはいえ、もう一回見たら印象がだいぶ変わるかもしれないし、もう一度伝記本読んで映画の感想を書いたら、また違う感想を持つのかもしれない。それはそれとして、あの映画は良かったといったんは褒めておこう。私と同じ気持ちでジョブズを好きな人なら、見に行って損はないです。

もう一回くらい感想書いちゃいそうな気分。もしかしたらまた後で(笑)



PS
ただこの映画の日本語のキャッチ「口先ひとつで、世界を変えた男」ってのはいただけない。口先ひとつなんかじゃないわけだから。全然わかっとらんな、と思う。

PPS
あと音楽ファンはパンフレットも購入するように! パンフレットには「青春の光と影」と「時代は変わる」の歌詞と中川五郎先生の対訳、そして中川五郎さんによるコラム「ジョブスの人生に寄り添い背中を押した、ボブ・ディランの音楽」が掲載されているのだ!(左の写真参照)

PPPS
映画の中でリサが「Both Sides Now」の2ヴァージョンを聞いたって言ってたけど、これのことかな? 若い頃のと歳とってからの。どっちも素晴らしい。どっちも泣ける。でも…歳とってからの方が私は圧倒的に好きかな。ジョニ・ミッチェルは後期が好き。